カウントダウン さん
お久しぶりです、すみません。
どうしても獲物が欲しいなら、私達の屍を超えて逝け。
女傑ふたりの巨大な壁は、越えられないほどハードモードでした。てか、いつの間に保護者に? ヤロー共がアテにならないからですねわかりますー。
私への執着は命取りとようやく察した愚か者共が引き下がった所で、国王陛下の臨席が声高々に告げられた。
男女共に礼をしたまま待つ。女性はカーテシー、男性は左胸に手を当てて頭を下げる。どっちも長くやりたくない体勢だ。「楽にせよ」とお声を頂いて、顔を上げた。これ、聞こえた人から順に上がって行くから、傍から見たらウェーブ状態。壇上にいたら笑いそうだ。
シーラさまの額と頬にキスをした宰相閣下が、陛下の斜め前に立つと、陛下に言葉を促した。
うむ! と上機嫌で応える陛下。どうでもいいけど、どういうセンスしてたらあんな原色で虹色な礼装が出来上がるんだろう。
「みな、今日はご苦労である! この良き日にここに立てることを喜ぶがいい!」
いや、喜べないよ。どこが良き日なんだよ。
「今日の宴は、余の妃の懐妊祝いである! 世継ぎの誕生を言祝ぐがよいぞ!」
は? とホールの人々の心がひとつになった瞬間だった。
まだ産まれてないのに世継ぎって、あれ、側室達って子供いなかったんだっけ。
「やだ~ヘーカったら~♡ そんなことおーごえでぇ~♡」
……いたのか真っピンク。今日も今日とてブレない真っピンク。陛下の衣装の派手さで気づかなかったわ。
陛下の腕にぶら下がる真っピンク。オフショルダーのドレスはリボンもレースも生地も宝石も真っピンク。センスもなにもあったもんじゃない。
「陛下、本日の宴の主旨が変わっておりますが」
「先程判明したばかりだ! めでたかろう!」
「おめでとうございます。本日は勇者一行の凱旋の宴です」
会話が成立しないけど、気づかない陛下と気にしない宰相閣下。慣れてるー。
視線での指示に、勇者一行の入場が宣言された。無視された真っピンクがぷう、とふくれたけど、気にしたのは陛下だけ。
「おい、宰相! 今日は妃の懐妊祝いであるぞ! 我らを祝うのが先であろう!」
まばらに起こる拍手の中、陛下が叫ぶ。……子作り頑張りました! と大声で報告された方が恥ずかしいんだけどなー。真っピンクとの子供がまともに育てばいいけど。
そもそも、真っピンクは逆ハーレムを諦めたの? 今も周りをキョロキョロイケメン探してるけど?
「これほど静かな入場は見たことないわー」
エナさまがからからと笑う。え、入場終わったの? 陛下に挨拶は? ない? うん、まぁいいか。
「ハリェス嬢、気をつけて」
エナさまの忠告に視線を戻すと、前から脳筋阿呆騎士がずんずん歩いて来るのが見えた。白の礼装である騎士服には勲章がいくつかついている。ああ、そういやそれなりに優秀なんだっけ。
「ハリェス嬢! 今日は一段と美しい! わたしのためになんたる褒美か! けっこ」
「黙れ犯罪者二度と私に話しかけるなこれ以後私を見ることも許すまじ」
「は? え、ハリェス嬢!? どこにいったのだ!?」
接触禁止令を忘れた脳筋阿呆騎士が叫びかけるのを遮って、言葉に呪をかける。あんたには身重の嫁がいるだろう。
「困った人だこと。連れて行って」
「あれでもう見えないのー?」
見えなくなった私を探す、脳筋阿呆騎士を連れ出すよう指示するシーラさまとニヤリと笑うエナさま。
「阿呆限定で、私が見えなくなっています。半永久的に効果は続くはず」
不倫を疑われても困るし、ストーカーは死ぬべし。私を認識出来なきゃ被害もないだろう。周りに迷惑かけないといいけど。
「ハリェス嬢、勇者さまと神官さまがいらしたわ」
シーラさまの視線を追うと、神官服を着た少年? と貴族の礼服を着た人、が。
「……すぅちゃ」
心臓が止まったかと思った。
やっとキターー!




