プロローグ
年末に、しかもプロローグだけとか(汗) まぁ、桜月なんで。
思えば、私は恵まれていたのだと思う。
私は父に似てる。ええ、そらもうそっくり瓜二つ。中身が。ありがたいことに、外見は母似でよかったと周りに言われるし、父には悪いが私もそう思う。
父は、学生時代からモブ君やらステルスやら言われてたらしい。親友の奥さまからつけられたあだ名が「不憫君」という。なんか人生を表してる言葉だよね。
そう、あの「不憫君」ね。知ってる人は知ってる、最強のステルスと言われた、存在感ゼロの。
あの人の娘で得したのなんて、モテる幼なじみ達絡みのあれやこれでしかないわ。
でも、だからこそ思う。
私は家族にも幼なじみ達からも、周りからも愛されていた、と。
こんな時に気づくなんて遅すぎだろう、私。身体は動かないし声も出せない。手足が冷たくなってきてるのがわかる。耳鳴りが酷くて、周りの音も聞こえない。
近くに誰かいた気がする。なにか叫んでたと思う。わからない。痛みがないのが怖い。助かるなんて楽観的に思えない。だって、私はトラックにーー。
こんなとになるのなら、伝えればよかった。たった一言だったのに。
後悔役立たず。ほんとだね、真桜ママ。まったくもってその通りだよ。今度があったなら、今度こそちゃんと言うよ。
大好きだよ、ーーちゃん。
始まります。頑張ります。