2 闇の霧より出でる影
木漏れ日がさしていた森に霧が立ち込め、あたりが暗くなる。
霧がまるで竜巻のように4つに分離し、それは4体の化け物に変化した。
「出たか・・・、悪魔ども」
{貴様・・・、何者だ}
{お前から目を離せぬ。一体・・・・}
{まさか、魔王と同じ能力を持っているというのか}
{くそ、逃げられぬ。また封印されてたまるか!!}
四体の悪魔は恐ろしい形相で迫ってくる。
同時に、俺の頭にはある文言が浮かんでいた。
「魔の王たる我が命じる。我が僕となりて凶災を払え!!!!」
その時だった。
俺の体から飛び出た鎖が悪魔を拘束したのは。
{なんだと・・・・???}
「封印!!!!」
{ぐぅおおおおおおおお!!!}
苦しそうな声を上げ、悪魔が体に入っていく。よく見ると、彼らが封印された胸や、背中などに悪魔の紋章がそれぞれ掘られていた。
「これで、奴らを召喚して、能力を使えるようになったはず・・・だよな」
{gruuuuuuu}
「こいつは・・・・」
唸り声のなった方向には全身緑の巨人が立っていた。
「オーガってやつだよな」
{guooooo!!!}
オーガが此方に向かって走り出す。
「丁度いい、試させてもらうぞ。召喚 サイモン ドラリア コルク メダン」
4体の小さな悪魔が怪しげな黒い霧から飛び出す。
能力「悪魔憑き」は体に悪魔を封印する能力だ。
封印された悪魔を召喚することもできるが、悪魔は弱体化してしまう。
そして、「魔支配」だが、悪魔の能力を把握し、自らの力として行使することができるようになる。
「我が意に従え、サイモン!!」
サイモンと呼ばれた悪魔が俺に霧となって纏わりつく。
霧が晴れると、全身を炎が纏っていた。
「魔弾:火炎」
両手を突き出すと、無数の炎の銃弾が生み出され、発射される。
{gyaaaaoo}
オーガが焦ったように体に突き刺さた炎を振り払い、俺に肉薄する。
「我が意に従え、ドラリア!!」
体からサイモンの炎が消えて、再び霧に包まれ、全身を緑のオーラが包む。
「魔槍:黒針樹」
無数の枝が地面から生えてオーガを襲う。
よけたものの、足を貫通した樹木に悲鳴を上げるオーガ。
「我が意に従え、メダン!!」
体を再び霧が覆い、手には大きな刀が握られていた。
「魔剣:首切り」
剣などもちろん握ったことはないが、不思議と使い方は理解できた。
剣を振るうと、オーガの首は簡単に寸断された。
魔王のスペック、半端ない。
これなら、奴隷解放だって、簡単にできそうだ。
「じゃあ、町に向かうとしようか。我が意に従え、コルク!」
コルクと呼ばれた悪魔が霧となって俺を包む。すると、背中に大きな烏の翼が生えた。
「悪魔の黒翼」
俺は空を旋回しつつ、森の外にあるという人間の街を目指した。