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1 魔を統べる王となれ

目を開けると、うっすらとした木漏れ日の中に、立たずむ軍服のような服を着た老人の姿が見えた。


「来たか、永人」


「来たか?・・・・、何処かで、あったことあります?ここ、どこですか?」


「まて、お前、俺のことわからないのか?」


「全然・・・・・・」


あれ?

よく見ると、あの顔には見覚えがある。

子供のころによく見たような・・・・・・・、ん?

まさか・・・、でも、これがそうなら俺は死んでいることになるけど・・・・、


「え?・・・、まさか、じいちゃん?」


「そうだ。もっと早く気づくべきだろ!ちょっと傷ついたぞ」


「死んだ爺ちゃんが見えるってことは、俺死んだの?ここ死後の世界?」


「違う」


よく見ると、じいちゃんは透けているが、俺の体は透けていない。

あれ、ていうか・・・、俺の体って、こんなに細かったっけ?

それに、妙に体のバランスがとりにくい。


水たまりに顔を移すと、見たこともない整った顔の男が立っていた。


「ええええええええ???」


「びっくりしてるな。用意したかいがある」


「どういうこと?なんで、おれは・・・・こんなになってるの?」


「まずな、俺は転生したんだ」




爺ちゃんが言うに、じいちゃんは俺がまだ小さいころ、此方の世界に勇者として召喚されという。

幾たびの戦場活躍し続け、魔族を悪として倒していった。


しかし、魔族の数が人間よりも圧倒的に少ないために、一方的に人間が土地を手に入れるために虐殺しているだけだと感じた爺ちゃんは、バラバラだった魔族を終結させ、魔王として魔族を統べることにした。


裏切り者の勇者として、魔王として人間と日々戦い続ける毎日が続いた。

だが、魔王としての力に覚醒したことで人間は退き、平和が訪れた。


だが、人間が再び勇者を召喚したことで状況が変わってしまう。

もともと魔法のある世界から来た勇者は二つの能力「聖武具使い」と、「聖魔法使い」を駆使し、魔族を大量に虐殺した。


魔王として戦ったものの、勇者としての能力では負けているうえに、魔王としての能力も勇者の体に適合しているわけではなかったため、最大に力を使いこなせずに敗北したという。


深手を負った爺ちゃんは城に帰り、二代目として俺を召喚する準備を始めた。

秘術の解析、魔王の能力に耐えられるホムンクルスの体を作成するが、努力むなしく、城にまで人間が到達したため、二つの能力を宿したホムンクルスの体をもって、勇者のいる場所から遠い人間の森に転移したらしい。



「待ってくれ、今の話を聞く限り、俺は魔王になるの?」


「そうだ・・・・と、言いたいところだが、状況が異なる。魔王としての権力も土地もすべて失った。当初予定していた形とは全く異なるものとなった」


「なら俺は、なにをすればいいんだ?」


「いいか、よく聞け。俺の体は地中深くに埋めた。見つからないようにな。そして、俺の霊体だけを体から抜き、最低限の延命措置のみを取っていることでぎりぎり生きている。俺は、お前を待つ間に、現在の魔族がどうなっているかについて調べていたんだ」


「現在の・・・・」


「そうだ。男の魔族は残念ながら殆ど殺されてしまった。子供を除いてな。残った魔族は100人だ。全員力のない女子供で奴隷として厳しい目にあわされている。お前に望むことは一つ、みんなを助けてやってくれ」


爺ちゃんが頭を下げた。


どうすればいいんのか、正直分からなかった。

だって、全く知らない人たち、しかも種族までちがう人種を助ける必要があるのだろうか?


「死ぬかも、しれないんだよね?」


「ああ、ホムンクルスは自己修復機能が付いているが、心臓部にある核を破壊されれば死ぬ」


「・・・、わからない。どうすればいいのか・・・・・」


「そう・・・・か。なら、自分の目で確かめてみるといい」


霊体のじいちゃんが俺に手をかざすと、様々な映像が流れてくる。


「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


目からとめどなく涙が流れ、嗚咽する。


「ひどすぎる・・・・・、これが、人間のすることなのか?」


「もう一度言う、手荒ですまないが、俺の大切な仲間たちなんだ。頼む」


「・・・わかった。だけど、条件がある」


「なんだ?」


「しんだら、ばあちゃんのところに真っ先に行ってちゃんと許してもらえ。ずっと、待ってたぞ」


「・・・・ああ」


爺ちゃんの目に涙が浮かぶ。


「じゃあ、そろそろ俺は行く。俺の体には4体の悪魔が封じられている。死んだらすぐに俺の体から飛び出すだろう。能力の使い方はわかるな?」


「ああ。なんとなく、わかるよ」


「・・・・、あらかじめ言っておく、ありがとう。ばあさんに許してもらえたら、お前を二人で見守ることにするよ」


爺ちゃんは消えていった。


突然、森の中に怪しい霧が立ち込める。


「さて・・・と、悪魔とのご対面と行きますか」


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