high-five36ex.《のんびりお花見の部》
《high-five23関連》
「ねえ、ねえ、日曜日のさくらロードレースだけれど……」
長島依子が尋ねる。
「みんなジャージで走るの?」
「そのつもりだけれど、どうして?」
西津悠が小首を掲げる。
「のんびりお花見の部は、自由な格好で歩いているよ」
沼尾柚亜は前年の写真をダウンロードして示す。
「それじゃあ、久しぶりに……」
根岸桜芽が楽しそうに提案する。
「コスプレイエスタオッチモ!」
相変わらずのリオこと野村寿里。
「じゃあ、ナガトコスで決まり?」
長島依子が小木津亜弥と多賀冬海に問いかける。
「私はあの制服を持っていないわ」
「亜弥はそうだよね。冬海姉さんはどうするの?」
多賀冬海は困惑気味に答える。
「あの制服はもう着られないかも……」
入学当初から比べれば健康的に痩せた。
「私はどちらかというとアヤナミ派なのだけれど」
西津悠の独り言に沼尾柚亜が反応。
「私は、エンマアイちゃん派」
根岸桜芽が不思議そう。
「無口キャラばかりじゃない。
……って言うか、全員一緒じゃなくても良くない?」
「テーマがあった方がまとまるよ」
「タンキメニーナス」
「リオ、何って?」
「タンクガールズ」
「ああ、パンツァーメートヒェン」
「それいいかも!」
小木津亜弥が諸手を挙げて賛成した。
「じゃあ、誰にしようか?」
「大勢いるからね」
「チームで揃える?」
「7人チームってあったかな?」
「3人、4人で分ければ」
「学園艦それぞれ揃えようよ!」
「むしろ隊長限定とか」
「制服とジャケットどちらにするの?」
「ちょっと待って、自作するんだよね」
「買ったら高いよ!」
「ねえ、ねえ、当日まで秘密にして、
スタート前に発表ってどう?」
「誰かと被ったらどうしよう?」
「それはそれで良いじゃん」
「それじゃあ、みんな勝負よ!」
「一番人気はコスプレクイ~~~ン!」
7人のコスチュームは多くの耳目を集めた。
それぞれの人気は甲乙つけがたい。
気軽に写真撮影に応じながら歩いたので、
桜のトンネルを抜けるのに30分以上かかった。
沼尾柚亜がスマホ片手に大会のつぶやきを報告する。
「大変だ、今回からは完走後のあんパン無しだって!」
「嘘~~~っ!」
「どうしよう!」
「楽しみにしていたのに!」
「バナナは? バナナはどうなの?」
「さっき、配布所はあったような……」
「品切れなんてしないよね……」
「大丈夫だと思うけど……」
「けど、何?」
「なんか『バナナ欲しかった』ってつぶやきが……」
『……』
不確かな情報により、7人は疑心暗鬼に陥る。
徐々に早歩きになり、遂には競争が始まった。
「バナナなくなっちゃう!」
「待ってよ!」
「早く、早く!」
「一緒に行こうよ!」
「早い者勝ちだよ!」
「写真はゴール後にね~!」
「ケルコメールバナ~ナス!」