high-five32ex.《ロッキーゲーム》
《high-five21関連》
ロッキーゲーム、琉球大会。
2年男子の王位を賭けたトーナメント。
シードの晴貴と各組の代表3名の、
31名で争われる。
晴貴は2回戦から登場。
簡単に8組の1位を秒殺。
準々決勝、相手は10組の2位。
初心者にしては手応えがあったが一蹴した。
晴貴には一日の長がある。
準決勝は10組の1位。
どうやら理系クラスが強いらしい。
確かにロッキーゲームは物理の応用だ。
ロッキー本体の強度に加え、
支点・力点・作用点、
自然に理解して、効果的に取り入れている。
しかも相手は二刀流の使い手。
自分の流派だとあくまで言い張るので、
認められた。
正面と斜めにロッキーをくわえる相手。
正直、見かけ倒しに過ぎない。
晴貴は斜めロッキーをあっさり弾き飛ばす。
こうなればもう敵ではない。
決勝戦の相手は9組の1位。
棍棒のようなアーモンドロッキーで勝ち抜いてきた。
レギュレーション違反ではない。
経済力も実力のうち。
世の中、生まれながらに全てが平等ではないのだ。
一高生の処世感を如実に表している。
おまけに遥香がセコンドにつく。
負けられない戦いが始まった。
晴貴は持久戦に持ち込む。
相手は基本素人。
俺は高萩直師匠に鍛えられた、格が違うのだよ。
接近しては先端をコツンと跳ね上げて離脱する、
決して致命的な一撃は受けない。
相手も遥香の助言通り、
虎視眈眈とカウンターを狙いながら、
晴貴の攻撃を受け流す。
晴貴はくわえたプレッツェルが、
唾液で湿らないように細心の注意を払う。
相手は次第に重さが負担になり、
しきりに唇でくわえ直そうとする。
コン、コン、コン、と下からジャブを打つと、
晴貴のロッキーが一閃、
逆に上から叩きつけた。
相手は辛うじて持ちこたえる。
尚も晴貴は攻め続ける。
相手は強度に自信を持ち、余裕の表情。
ポリポリポリ。
晴貴がくわえたロッキーを食べた。
長さは3分の2に。
相手もギャラリーも呆気にとられる。
再び下からジャブを打って、上から叩きつける。
晴貴の短くなったロッキーは威力倍増、
相手のアーモンドロッキーを叩き落とした。
2年5組、相賀晴貴。
初代ロッキーキング、戴冠。