序章
序章 ―終焉は開幕―
魔王「勇者よ、よくぞここまで辿り着いた」
勇者「今こそ決着の時だ…魔王!」
魔王「さて、始めに言っておくが…私を倒しても第二第三の魔王が必ず現れるだろう」
勇者「いや待て、それは始めに言うセリフでは無いだろ」
魔王「倒されてからでは言えないからな。それに…大事な事だから先に言っておいた」
勇者「倒されるのが前提なのか!?」
魔王「それはさて置き…勇者よ、私と手を組まぬか?手を組むのならば、世界の半分をやろう」
勇者「断る!」
勇者「魔王…キサマのせいでどれだけ大勢の命が失われたと思っている!?そんな相手と手を組むなど、出来る筈が無いだろう!!………それに!」
魔王「お前の恋人の事だろう?言わずとも判っている。あ奴を魔族にした事…そして、そのせいであ奴を自らの手にかなければならなくなった事…それを恨んでいるのだろう?」
勇者「っ…軽々しく口にするな!!お前はこのまま、何も喋らず朽ち果てろ!」
魔王「そうは行かぬ、お前とはまだ語るべき事はあるからな。そう…例えば、お前の先代、先々代の勇者の話…」
勇者「勇者エイベル…勇者ノーブル…彼らは勇敢で優しい、勇者の中の勇者だった…そんな彼らの死まで侮辱する気か!」
魔王「そんなつもりは無い…ただ、語るべきが義務と感じただけだ。勇者と魔王の会話としてな」
勇者「ほざくな!」
魔王「そもそも勇者よ…お前は勇者という立場が故に何も知らない。これでは公平とは言えないだろう」
勇者「………どういう事だ?」
魔王「問いで返して悪いが、そもそも勇者とは何だ?」
勇者「勇者とは………魔王、貴様を倒す者だ!」
魔王「そう、正解だ。正確には…魔王と争う事が出来るだけの力を獲た、勇気ある者の事を指す」
勇者「それがどうした!!」
魔王「では次に…魔王とは何だ?」
勇者「貴様がそれを問うのか……っ!」
魔王「この際問い手は気にするな、答えよ」
勇者「………良いだろう、答えてやる!魔王とは…全ての人間の敵、魔族の王。そして、勇者に倒される存在だ!」
魔王「ふむ…思ったよりも核心を射ている答えだな。その通りだ」
勇者「っ………ふざけるな!!!何故魔王の立場でそれを肯定する!今言葉にしたのは、俺の言葉だ!俺の信念だ!勇者である俺の言葉だ!それを………魔王である貴様が肯定するんじゃない!」
魔王「事実、概ねそれで合っているのだから仕方があるまい。後は…付け加えるならば、勇者が魔王に命を奪われる…という結末もある事くらいか」
勇者「当たり前だ!勇者と魔王はその命を賭けて雌雄を決するのが宿命なのだからな!!」
魔王「では問おう…その『宿命』は誰が決めた?」
勇者「つくづく下らない事を…! 決めたのは俺と貴様、勇者と魔王だ!魔王が人を苦しめ、殺し、魔族に堕とし…この世に絶望を振り撒いた!だから勇者が立ち上がらねばいけなくなったんだ!」
魔王「それだけの認識があるならば…そうだな、良いだろう。そろそろ決着を付けよう」
勇者「何だと言うんだ…貴様の言いたい事の意味がさっぱり判らない…いや、違うか…元々こんな戯言に付き合う方が可笑しかったんだな…ハハッ…」
魔王「いずれ判る」
勇者の攻撃
クリティカルヒット! 勇者は魔王に9999のダメージを与えた
魔王はようすを見ている
勇者の攻撃
クリティカルヒット! 勇者は魔王に9999のダメージを与えた
魔王はようすを見ている
勇者の攻撃
クリティカルヒット! 勇者は魔王に9999のダメージを与えた
魔王はようすを見ている
勇者の攻撃
クリティカルヒット! 勇者は魔王に9999のダメージを与えた
魔王はようすを見ている
勇者の攻撃
クリティカルヒット! 勇者は魔王に9999のダメージを与えた
魔王はようすを見ている
勇者の攻撃
クリティカルヒット! 勇者は魔王に9999のダメージを与えた
魔王はようすを見ている
勇者の攻撃
クリティカルヒット! 勇者は魔王に9999のダメージを与えた
魔王はようすを見ている
勇者の攻撃
クリティカルヒット! 勇者は魔王に9999のダメージを与えた
魔王はようすを見ている
勇者の攻撃
クリティカルヒット! 勇者は魔王に9999のダメージを与えた
魔王はようすを見ている
勇者の攻撃
クリティカルヒット! 勇者は魔王に9999のダメージを与えた
魔王はようすを見ている
勇者の攻撃
クリティカルヒット! 勇者は魔王に9999のダメージを与えた
魔王「………………」
魔王は倒れた
勇者は 65535の経験値を得た
勇者はレベルが上がった
勇者はレベル100になった
勇者は覇者の叫びを覚えた
勇者は魔王の兜を手に入れた
勇者は魔王のマントを手に入れた
勇者は魔王の鎧を手に入れた
勇者は魔王の剣を手に入れた
勇者はノーブルの指輪を手に入れた
勇者は宝物庫の鍵を手に入れた
勇者「終わった…これで終わったんだ…これで終わったんだ…エレナ」
勇者は恋人の名を呟いた
―――勇者は長き旅を終えた