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迷宮少女  作者: 奇妙な海老
11/11

暗闇と少女

少女はその日、自分の弱さ、特に全てにおいての拙さを思い知った。


骸骨の動きは素早かった。

逃げることすらできないで、ここでただ鉄剣を降り下ろされている。

とても敵う相手ではなかった。

まず、得物の使い方が違いすぎる。

その細腕で繰り出す技は全て達人の域に達していて、少女の振るう牙の攻撃など赤子を捻るように叩き伏せてしまう。

足取り、重心、立ち位置。

全てが完璧に重なりあい繰り出された必殺の一撃。

少女はこの化け物を見た時、逃げ帰ってしまうべきだったのだ。


しかし、もう遅い。


断絶して聞こえる鉄の衝突する音に耳を澄ませる。

もはや痛覚はない。

間隔を捕らえ、機会を伺う。


腕に力を込める。


再度意識を失いかけ、なんとか踏みとどまる。


歯を食い縛る。


歯の割れる音が掻き消される。

口内に溢れる鉄分を味わい、全身の震えに何度も怯む。

視界が反転し、衝撃で元に戻る。 


あと一歩。


意識を繋ぎ止め背を動かす。

衝撃に耐え微動を繰り返す。

骨が軋む音、地面に思い切り頭を当てて、一気に身体に力を込めた。


ごろごろと地面を転がり、なんとか剣から抜け出した。

そのまま自分の血液に足を滑らせながら、地面に転がる牙を握る。

そこで力尽き、膝が折れた。

何時間、いや、一体何日間拘束されていたか分からない。身体中が引き裂かれ、頭を動かすための血液は余りにも足りない。

だが死なない。死ねない。

骸骨の追撃を牙で受け、なんとか横へ受け流す。

止まるわけにはいかない切り合い。

再度攻撃を受け、また前の状態へ戻っては、正常を保てるかどうか分からない。


袈裟斬りをまともに受け、圧倒的な髄力で弾き飛ばされる。


背中を打ち付け転がる少女。


死線が、見える。







十八年間、これまでで一番、いや、恐らくこれからも訪れることのないだろう最大の山場が、ミリアムに迫っていた。


「何故、私なんですか?」

「一つは、お前が御子を除いて最もサインに近しい者であると言うこと。もう一つはお前が士官学校の卒業生であるということ」

「で、ですが、他に適任がいるのでは」

「いない。儂は長生きしていると言うだけで、確固とした知識があるわけではない。それに、これに勝てばお前の未来は成功したも同然だぞ?」

「それはそうでしょうけど、もし勝てなかったら……」

「どちらにしろ、お前の未来は決定される」


溜め息を吐いて、ミリアムは頭を下げた。

どんなに良い条件でも、しかしどんなに難易度の高い依頼であっても、ミリアムには受けるしか選択肢がないのだ。

なぜなら、その依頼は__


「宗教裁判で、サインちゃんを無罪にすること……なんて」


第四部隊本部の門前。

サインが第一部隊に拾われたあの日から、野外はずっと寒く、ミリアムは白い息を吐いた。

彼女の感情を表すように青空はどこかくすんでいて、太陽は爛々と輝いているのに明るい気がしない。

こんな気持ちになるのも当然だった。

サインを助けたいと思っていたミリアムだったが、彼女のためにできることが光塔教、ひいてはミラと光の御子に対してサインが魔王ではないと認めされることしかないとすれば、その重圧は凄まじいものだ。

得るものはとてつもなく大きい仕事だが、失敗すれば全てを失う。光塔教に対して謀反を起こした罪で捕らえられ、どんなによくても終身刑は逃れられないだろう。さらに家族にまで被害が及ぶに違いない。魔王を庇った魔女の親として、迫害されるのが目に見えるようだった。


「サインちゃん……」


出ていった第四部隊の玄関から目を逸らして、光塔教本部を眺めた。

とてつもなく巨大な城だ。

日の光を反射して輝く姿は、まさに光塔教本部と呼ぶにふさわしい尊厳さを持っている。

それがさらに気を重くさせる。


そう、ミリアムはやるしかないのだ。

サインをここで死なすわけにはいかない。何故かは分からないが、巨大ななにかが動いていることは分かった。

第四部隊に入って分かる、緊迫した空気。

断っても良いと言われたが、ミリアムの選択に全てがかかっているのを身に染みて感じた。


進めば光塔教に殺される。


引けばなにかに殺される。


そして自分にも殺されかけている。 


年端もいかない少女の生死を任されているのに、全く自信がなく、逃げ出したくて仕方がない。


そんな自分が、腹立だしくて仕方がない。


「……怖い」


しかし、怖じ気づく。

称賛は無いに等しい。いくら国内最高の高等教育機関を卒業したからといって、経験はなにもない。対して相手は光塔教の最高位である。知識、経験、そして権力にも優れた怪物である。


「……でも、助けないと」


ミリアムは前に向かって歩き始めた。

無理でもなんでも、やるしかない。

自分のできる全てを駆使して、サインを救い出す。


ミリアムはこの宗教裁判において、サイン側の弁護士に選ばれた。

理由は宗教裁判について知識があることと、他の適正のあるものが誰も依頼を受けてくれなかったこと。

キュエラ王国士官学校を卒業した者として一定の知識は持ち合わせているミリアムだが、それでも本業とはほど遠い。

ベールの弁護は見事だった。普通の法廷裁判と宗教裁判の違いをよく理解した好戦的な演説だった。


なぜベールが弁護しないのだろう。

誰の目から見ても、ミリアムよりはベールが弁護する方が適任なのは明らかである。しかしベールはこの件をミリアムに任せる事にした。その真意は……


ミリアムは溜め息を吐く。


このままなにかに殺されてしまうならばいっそ、すべてを解き明かしてやるつもりで動いてやる。


ミリアムの足には迷いがなかった。







暗闇の中で少女は目を覚ました。

自身を取り囲む窓ひとつない壁に、世界から少女を隔絶する鉄格子。

それに少女は何を言うでもなく、目を覚ましたままの場所から身を起こした。


両手両足に無骨な錠が掛けられている。それに不便さを感じながらも、外そうとはしない。


ふと、少女は声をあげた。

些細な疑問だった。完全にただの独り言だった。


ここで、何日経ったのだろう、と。


「君がここに来て、七日経つ」


少女の声に返答する者がいた。

少女の視界には映らない、老人の落ち着いた声。

それは隣の部屋から聞こえてくるようだった。


「この七日間、光の塔の攻略が終わることはなかった。今もまだ続いているだろう。全ては勇者の独断と、御子の異常によるものだ」


薄暗い牢屋の中で、老人の萎れた声だけが僅かに反響している。

これは、まだ夢の中の世界なのかもしれない。

唐突に少女はそう思った。


「勇者がその力を使わなくなったのは四日前のことだ。それまでの三日間は、攻略は勇者の力によって順調に進んでいると思われた」


深い海の底にいるような暗い視界で、松明が必死にその身を燃やし続けている。

パチパチと弾けるような音が心地よい。 

その温もりに触れたくなって、少女はふと手を伸ばした。


「しかしその次の日。勇者は突然力を使わなくなった。戦わなくなったのだ。常に部隊の後方に位置し、魔物の前に出ることを避けた。そうして、主力がいなくなった攻略部隊は次々と喰われ殺されていった。戦えるのはもう一方の勇者のみ……しかしその勇者は、あの人数を支えるほどの力は持ってはいなかった。まぁ、それも当然だ。何せ彼女は……」


炎に手は届かない。

少女は温もりを求めて、膝を抱えた。

小さく丸まって、ぼんやりと意識に潜っていく。深く、深く入り込んで、無意識の真相を探り当てて行く。


「……今となってはもう遅い。我々にできることはなにもない。こうやって、我々は牢獄に閉じ込められてしまった。この枷は私には取れないようだ……思えば、御子には悪いことをした。彼女は、今もずっと我等を私欲の塊とでも思っていることだろう。本当は一番に、御子のことを思っていたというのに……」


嗄れた老人の声。

牢に入ってもなお拭えない後悔の思いに、その声は震えていた。


松明が燃えている。

パチパチ、パチパチ、と音をたてて燃えている。


__そんなほんの僅かな光が、こんなにも煩わしいなんて。


「……我等は主教院。太古より前から光の塔と人間達の関係を管理する者。今や均衡は破られた。光が遂に策をとった。我等も動かなくてはなるまい……」


サインの頭に何かが浮かんだ。

この暗闇、この石壁。

まるで、昔見たあの世界。


「魔王よ……まだ、分からないのか。今こそ、勇者に決着をつけるときぞ」


もう少しで、思い出せそうなんだ。







なにかが狂いはじめていることを、雑兵達はようやく思い知らされた。

魔王が捕らえられてから、一度光の塔から引き返した攻略部隊は、ミラの光塔教本部との『話し合い』が終わってから、すぐに攻略を開始した。


一日目。

ミラの力で危なげなく十三階層へ。

二日目。

同様に十五階層へ。

三日目。

これも同様。二十階層へ到達。


しかし四日目。

勇者は突然戦わなくなった。


「どうして攻略を止めないのですか!」

「御子の意思だ」

「兵の数はもう最初の三分の一にも満たないのですよ!」


テント内でティーガーが声を張り上げた。

対してミラは反応を示さず、御子の意思と何度も連呼している状況だ。


二十一階から二十二階へ上がる階段で、部隊はもう三日立ち往生している。

階段を上がって、部隊は強烈な打撃を受けた。普段ミラが全てカバーしていた魔物の大軍を、ミラが前線に出てこなかったことで対処できなかったのだ。

既に魔物の数は一階からは比べ物にならないほど増殖し、膨大な人間の軍隊を半ば飲み込むようにして襲来。ティーガーの死ぬもの狂いの戦いによってなんとかその場は切り抜けたものの、一階上がるのに膨大な数の兵を失ってしまった。

これ以上進むとなると更なる被害は防ぎきれず、引き返すのが妥当な判断だとティーガーは訴える。


しかし、御子はこの訴えを受け入れることはなかった。


三日間、ティーガー達は光の塔が太陽の光によって明るくなる朝から、太陽が沈み月光によって照らされる夜まで勝ち目のない戦闘を強いられていた。

翌日には死んでしまうかもしれないという恐怖の中、兵達の中には自殺をする者まで現れている。


あまりにも悪い空気だった。

士気は低迷し、ティーガーの身体も既に戦闘ができる状態ではなかった。


しかし、御子は止めない。

塔外から増援を求め始めたのだ。


「外から来た新兵達はほぼ全てがここで命を落としています!増援に意味はありません!ここは撤退して、体制を整えるべきです!」

「……御子よ、こう言っているが、どうするんだ?」


一際豪華な長椅子に座ったトワはその質問を受け、すぐにティーガーから目を逸らした。


「……攻略を止めるわけにはいかない」

「何故ですかっ!?」

「貴女には関係のないことだっ!」


トワが叫んだ。顔には疲弊の色が見えている。

そう、彼女がなんの傷も無しにこのような選択ができるわけがないのだ。


ティーガーは思い出す、あの時のトワの顔を。

まるで自分のことのようにティーガーの事情に同情し、悲しんでいたあの表情を。

演技でできるようなものではない。本当に心の内から漏れた悲しみ。


本当は、トワという少女は誰よりも優しい存在である筈なのだ。


「ッ……悔しいです、私一人ではどうすることもできないこの状況が。貴女なら、どうにかできる筈なのに、私には、できない……!」


奥歯を噛み砕かんとする力でティーガーは歯を食い縛る。

勇者の名を預かっている者として、自分の不甲斐なさに呆れ、瞳から滴を零した。

全てはミラが前線から離れてしまった事によって起こった損失だ。その圧倒的な戦闘力に、ティーガーを含めて、部隊は皆頼りきっていたのだ。

もしティーガーにミラに追い付くような力があればこれだけの兵士が死ぬことはなかった。

異例である二人の勇者の片方として、ティーガーはなにも果たすことができなかった。


「ふん、精々悔いるが良い。自分の無力さに貴様はなにもできん」

「……最後に一つ、教えてください」

「何をだ」


ティーガーはゆっくりと息を吸った。

俯きがちで、しかしはっきりと声を出した。


「貴女達は、いったい何をしようとしているのですか」


トワの顔は見えなかった。

ただ尊大な、ミラの雰囲気だけが部屋を支配していた。


「……良いだろう。無力で無知な貴様に教えてやろうか」


ミラ大儀そうに立ち上がった。

煌めく長髪をかき揚げて、一切の色がない声で語る。


「私はな、溜めてるんだよ。魔王を処刑するための力をな。そしてそのまま根元を殺す。それが我等の目的だよ」

「……根元とは」


「星だ」


ミラが微笑を浮かべた。

人形のように左右対称な顔が、うっすらと歪んだ。


「勇者は神使だ。光の使いだ。ならば、土から生まれた貴様等は、いったい何者なんだ?」


何かがミラを覆っていく。

彼女の輪郭が薄れる。あやふやになった頬と空間の境界で、ミラは人間ではなくなって行く。


ティーガーは一つ疑問を持った。

突拍子もないもので、疑い用のない絶対のものを初めて本物かと疑った。


「主が待っている。さぁ、今日も攻略を始めろよ」


__光とは、いったい何者なのだろう。







キュエラ王国一の大図書館。この国に関する記述はすべてここにあるといっても過言ではない。

しかし、それはあくまで『キュエラ王国』の全てにすぎなかった。

この図書館の本質は、キュエラ王国についての歴史などというような薄っぺらな物ではない。

この図書館のさらに奥、秘蔵とされる一角には、『光塔教』に関する書物が詰まっている場所がある。

それこそが、この図書館が造立された目的なのだ。


そもそも、キュエラ王国は副産品にすぎない。この『光塔教』と呼ばれる巨大な宗教を形作るものとして、発生した集落のようなもの。


ならばなぜ、この集落は光塔教という宗教の総本山でありながら巨大化しなかったのだろう。


それは、キュエラ王国が自ら勢力を大きくしようとしなかったからだ。

光の塔を取り囲んで、来るものを徹底的に拒んでいた。

なにかを守るように、なにかを入れされないために。

いつしかそれは風化し、キュエラ王国自身も忘れようとしていた。


「とうとう、やってしまった……」


ミリアムは今日、生まれて初めて犯罪を犯した。

第四部隊のように魔法の使えないミリアムは、催眠薬を持ち前の知識で改造して、霧状に散布する兵器を作った。

光塔教に関する記述が詰まっていると言われる秘蔵の一室。

そんな場所で、兵士は全く警戒することなく賭け事に興じていた。


そんなので良いのか光塔教と思ったミリアムだったが、まぁ好都合だったので遠慮なく侵入させてもらう。

なかを警備している兵士には例の催眠薬をすってもらって、ミリアムは口に布を当てて急いで換気した。


この一手間になぜ霧状にしてしまったのか少しばかり後悔したが、今更悔やんだところでしかたがない。

 

眠った兵士を紐で縛って、とりあえずミリアムは見かけた書物を適当に漁っていくことにした。


どれもこれも、大した記述は無い。

士官学校で習ったことが殆どで、ミリアムに有利になるような情報は得られなかった。


しかしミリアムは学生時代は勤勉家で、今でも変わらない。

本を読むことに抵抗はなかった。

一日中、永遠に読んでいられるほど彼女は活字に強かった。


その内、奇妙な本を見つけた。

それは表紙も背表紙もない紙の束で、字も直筆で書かれている。

昔、誰かが興味本意で調べたような紙の束。本というよりは論文であった。


そこにはこう書かれていた。





 


『勇者と光塔教の関係性について』


光の勇者とは、『秘典』にも書かれているように、神の剣であり、光の塔を攻略するため、そして百年毎に光の塔から現れる悪魔や大魔を滅する為に存在していると思われる。


ならば本来光塔教はそれを助け、共に戦う存在にならなければならない。

だがこれまでの歴史上、光塔教はそれらしきことを『一度』も行っていないことをここに記しておく。

第六部隊は光塔教の管轄ではないし、物資の支給も光塔教からは一切ない。勇者のする全ての行動について、光塔教は見ているだけで、何も言わないし、何もしない。

そして、それどころか勇者の攻略を妨げるような動きすらしているのだ。


光塔教は無論国の組織する集団ではない。故に国の方針に従わないこともあるだろうし、国もそれを咎めていない。

だが勇者は光塔教が生み出す英雄だ。つまり、光塔教の管轄の下、作られた魔物に対する兵器と言える。

しかしなぜ光塔教はそんな勇者を塔に放したきり、そこからは何もせず、あろうことかその攻略の邪魔までし始めるのだろう。

光塔教の武装集団、俗に言う『第七部隊』を従え、攻略中の塔に割り込んで行く。

そして何も言わず魔物と共に人間に襲いかかり、魔物に食われ散っていく。

全く、その行動原理は理解に苦しむ。攻略に甚大な損失を与え、これが原因で中止となった攻略はとても多い。

しかし悪魔等、百年毎現れる強力な『魔』と戦っている最中の勇者には手を出さない。共通の敵だと思ったのだろうか、加勢することだって少なくはなかった。


この不可解な両者の関係は一体何なのだろうか。

これらの結果を踏まえて、もし、光塔教の行動が正しいならば、私はこの説を提唱しようと思う。


それは__







「ここから先は破られてる……」


ミリアムはふと我に帰って、辺りを見渡した。

兵士は未だ眠りこけている。

自分の作った兵器の強力さに恐怖を覚えた。


「勇者と、光塔教の関係性について……か」


ミリアムの頭の中で、何かが繋がったような気がしていた。

兵士にした拘束を解きつつ、その説について考える。


『私はこの説を提唱しようと思う。それは』


ここから続く説の名前。

それはおそらく、こんなものだろう。 


「人間性悪説……なんてね」


光塔教が正しいとするならば、そうなるだろう。

人間は光より生まれた者ではない。 

つまり、光は人間の神ではないのだ。


ならば、人間はどんな神から生まれたと言うのか。 


まず、前提から否定しよう。

人間は、神が産み出したのではない。

そもそも、ミリアムは母親から産まれた存在だ。

母親はもう死んでいるが、その血肉は土となって地面に還っている。

他の人間も大体皆それぞれの母親から産まれたものだと考えられる。

その母にも母がいる。

その母にも、その母にも、その母にも、その母にも……


ならば、神とは一体何者か。

光とは何者か。 


その答えは、光塔教が知っているだろう。

光塔教は人間に大切なことを隠し続けている。


それは恐らく、神の正体。


ミリアムは思い出す。

光の塔とは、人間が神と謁見することを唯一許した、選ばれし者のみ登れる聖道である。

しかし闇はその神を消滅させようとして魔物を送り、その為光の塔内には魔物が蔓延っていると秘典には書かれている。


だがもし、それが虚偽の記載であり、ミリアムの予想が当たっていたならば、光塔教の不可解な行動にも説明がつくのではないだろうか。


勇者に一切の援助をせず、攻略を止め、しかし悪魔とは共に戦う。


その真意は__


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