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巫女様

 ぬるい風と神秘の匂いにわたしの身体は包まれた。

 街外れの草原くさはらに降り、自分の足で立つ。

 草原を渡る静けさに胸の高鳴りがうるさい。

 わたしはスザクの一歩前を歩き、彼の後ろを翡翠色の羽から人型に戻った羽仔が歩く。

 街を囲む高い壁が目に入る。

 そのとき、スザクがさっとわたしの肩を抱いた。

 いきなり、わたしと彼の周りが緑色のドームに覆われる。

 キラキラと光る半透明のそれの向こうに羽仔の背中が見えた。

「何これ……」

 羽仔の前には、わたしたちを取り囲む集団があった。

「何用だ」

 これまで聞いた事のない程、羽仔の声は低い。

 集団から、返事はない。

 唯、雨あられと降って来る魔法の光線や異形の生命体や使い魔たちがことごとく緑のドームに当たっては掻き消えていく。

 わたしは息を呑んだ。

「大丈夫だよ」

 わたしの肩を抱くスザクの腕に縋るしかなかった。

「羽仔……ちゃんは?」

「羽仔は強いよ」

 その通りだった。

 瞬間、敵の集団が消えた。

 代わりに現れたのはさえずる小鳥たち、パステルカラーの羽色、ピンク、ライトブルー、ミントグリーンなど、カラフルだ。

 襲いかかる攻撃がなくなった緑色の結界は霧散する。

 羽仔はこちらへ振り返る。

 見た所、無傷だ。

 わたしは羽仔に駆け寄る。

「何も、ない?」

 羽仔はきょとんとし、何を思ったか微笑する。

「あたしは無敵よ」

 わたしは羽仔の、手を握る。

 何も出来なかったわたしは弱い。

 だから誰かに守られた。

 何も出来なくても。

 失恋だけは信じない。

 巫女様になろうがなるまいがきっとこの想いは引きずったままで。

 現実さえ受け入れずに運命だけを呪うだろう。

 我が儘であさましい気もちをくせないならいっそ。

 わたしはスザクの方へ向き直る。

「スザク」

 信じる。

 いまは好きなひとと会えないけれど。

 この恋を。

 このいまを。

 スザクは忘れさせてくれるだろうか?

 巫女様と云う非日常で。

「わたし……巫女様になれるのよね」

「ああ、当然さ」

 それを云えば。

 前向きな諦めではなく、ぐじゃぐじゃの明日がもらえるなら。

「巫女様になるよ」

 成就を望まない恋は失くさない。

 失恋げんじつ非日常いまで打ち消す。

「そう。よかった」

 スザクが微笑む。

「羅名が着せちゃったその巫女装束、本当は着られるのって巫女様だけなんだよねー。しかもそれに袖を通した時点で契約成立だし」

「じゃあ、羅名が様子おかしかったのって……」

「勝手に巫女服着せちゃったんだねー」

 羽仔が明るい笑い声を上げた。

「羽仔、ありがと」

 わたしの呟いたコトバはしかし、カラフルな鳥たちの囀りに紛れて聞こえなかった筈だ。

もはや何を言っているのか自分でもわからなくなってきました。

あはははは~


スマホ投稿ですが今月のデータ通信の残量少なくなったので暫くおやすみします。

すみません……


次回投稿は5月7日頃になりそうです。


いままでありがとうございました。

これからも読んでいただけるとうれしいです。



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