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新世界へ
御伽話に登場した気分だった。
ホウキで飛び回るひとたちがいた。
黒猫や梟や蝙蝠が往来を闊歩する。
路地には不可思議な液体を煮詰め小瓶に分けて売る店がある。
そこは魔法の世界だった。
呆気に取られわたしの声は音を失う。
それを見て笑みを深めるスザクは、
「内緒だよ?」
そう、囁いた。
空中に浮かび、双眼鏡をわたしの眼に当てながら。
普通ならあり得ない距離からその双眼は世界を見せる。
「これを買った大地へ行くか?」
眼下に広がる大陸はわたしの瞳に憧れを映す。
「降りられるの?」
それに返事のコトバはなく唯、彼の背で翡翠色の翼が勢いよく羽ばたいた。




