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ふわふわのアクアマリン

 不意に視線を感じる。

 わたしに興味と好意をもっている眼だ。

 そのまま放っておく。

 いまは巫女になるかいなかを考え中だ。

 でも何となく落ち着かない。

 ものを考えるフリで俯いて、それをやり過ごそうと決める。

 ひょこ、ひょこひょこひょこ。

 足音が近付いて来て、わたしの視界先に落ちかける影に顔を上げる。

 アクアマリンの目、透き通る頬、薔薇より深いツインテール、ふわふわの真っ白なスカート、可愛い……。

 ふわふわの女の子は水いろの涙を潤ませ、

「巫女……様? 巫女様、ですよね?」

「は、まあ……」

「ずっと……ずっとお会いしたかったんですー」

「え? あ、はい……」

「ほんとにほんとに!今日はミラクルな日ですっ、さいっこーの日よりですー!!」

「そ、そーですか」

「生きて来てほんとによかったあ」

 それは又、大層な。

「えーと、綺麗な御目おめめですね」

「そ、そんなぁー」

 ふわふわの子はその頬に手を当てる。

 これ……素、なんだよね?

「巫女様、わたくしは羅名です。覚えといてくださいね?」

「羅名ちゃんね?」

「はいっ!! 巫女様、お衣装を着ましょう?お衣装」

「お衣装?」

 話がいきなり飛ぶな?

「お衣装、いいでしょう?」

 羅名はアクアマリンの瞳に期待を光らせる。

「え、えっと……?」

「ね?」

 そう言って羅名はにこやかに笑う。

 あかい髪から髪留めのピンを一本、引き抜く。

 見ててね、とでも云うようにわたしに向かって片目をつむる。

 ふうっ、とピンに息を吹きかけた。

「お、っと」

 突如現れた白衣びゃくえと緋袴を両腕に抱えたふわふわの子は、裾が土を吸わぬよう爪先立ちになりながら、巫女装束を差し出す。

「着てください、ね? ねっ」

 着てみるだけならと、わたしはベンチから立ち上がり、それを受け取る。

 羅名は不可思議な能力を使うけれど、わたしに向けられる善意? は、本物だろう。



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