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其の十八  八幡廓落成式・第弐編

鈍斎「八幡、居るか? 忙しい身である私が『わざわざ』手伝いに来てやったぞ……」


鈍斎「……。なんで誰もいないんだ……ッ!!」


―――台所―――


八幡「どうした~大丈夫かぁ? 氏……は……る?」


葵「何やってるんですか氏治様! あぁ! 大根も蕪もこんなに分厚く皮をむいて! 豆腐もぐちゃぐちゃじゃないですか!!」


氏治「ご、ごめんなさい……」


八幡「……葵、どうかしたのか……?」


葵「八幡様! 氏治様を連れて広間に戻ってください! これではお仕事が進みません!」


氏治「ごめんなさい……」


八幡「お、おぅ……戻るわ……」


――――――


鈍斎「……」ムス


八幡「……今日はいつになく不機嫌だな」


鈍斎「人にまたされれば誰でもこうもなる!」


八幡「……いや、お前呼んでないけど」


鈍斎「なんで呼ばないんだよ!」


八幡「いや、お前自分で忙しいから来てやらないって言ってたじゃん……こっちも無理に呼びつけるのも悪いと思ってさ。つか、それにしたってくるの早すぎるだろ」


鈍斎「わ、私は小姫ちゃんに会いに来たんだバカ!」


八幡『こいつのは素でやってるのか……?』


八幡「なんでお前は氏治の予定を全て把握してるんだよ……まるでストーカーだな……」


氏治「……」


鈍斎「ところで、小姫ちゃんはなんであんなに落ち込んでいるんだ?」


八幡「あぁ、葵の料理手伝ってたら失敗ばかりするから締め出されたんだよ。以外だよな、氏治にできないことがあるなんてな」


鈍斎「それは当たり前だろうが……今こそ守護職は佐竹に奪われてはいるが、小田家は日の本に六十余国しかない守護職の一家で、しかもそこの姫様なんだぞ? 私みたいな貧乏城主なんかとは住んでる世界が違うんだ。すべて使用人が料理するに決まってるだろ」


八幡「言われてみれば……それもそうか」


鈍斎「はぁ……たく、仕方がないな。台所の方は私が手伝ってくる」


八幡「鈍斎って料理もできたのか?」


鈍斎「生憎、貧乏城主だからな」


太兵衛「八幡様、お茶入れてきました……って、鈍斎様! 八幡様がまた何かしでかしましたか!?」


八幡「おい太兵衛。俺をなんだと思ってやがる」


鈍斎「あぁ、太兵衛殿。ふふ、大丈夫だ、八幡とはすでに仲直りもしているから」


太兵衛「そ、それならよかった……ところで、そちらは台所の方向ですが、何か御用でも? 私が代りに行ってまいります故ごゆるりと」


鈍斎「あぁ、私は葵の料理を手伝いに行こうと思ってね。気にしなくていいよ」


太兵衛「台所が人手不足なのですか? 先ほど私も幼子しかいない台所が心配で手伝おうとしたら、木下という近所のご婦人にも手伝いを頼んだから大丈夫だと」


鈍斎「でも、だいぶ多くの料理を支度するんだ。人数は多いに越したことないさ」


太兵衛「それもそうですね。では私もお手伝いに参りましょう」


八幡「太兵衛も料理できるのか?」


太兵衛「生憎、貧乏侍ですので」


八幡「そういや自炊してるんだったな……じゃぁ、俺もなんか手伝おうかね」


氏治「え!?」


八幡「どうした?」


氏治「八幡も料理できるの!? というか待ってよ! それじゃ私一人此処に取り残されるじゃない!」


八幡「まぁ、家庭科でやるくらいの手伝いは出来るし……そうだな。帰っていいぞ?」


氏治「八幡にまで足手まといにされるなんて……泣きたい……」



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