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翼を持つ者、持たざる者  作者: Haruto
2/3

prolog

一人の子供と天使の物語の、始まり。


「…何だ、あれ?」

そう呟いて、子供は首をかしげた。


子供の見る先には、純白の綺麗な羽根を持った人間――…否、天使がいた。


子供は急いで駆け寄り、軽く天使の身体を揺さぶる。

「大丈夫?」

その声が聞こえたのか、小さく呻き声を漏らしながら、天使が薄く目を開ける。

「……………君……、は……?」

天使が何か呟いたのが聞こえると、安堵した様子でほっと息をつく。

「…良かった…。…僕は弓月。天使様だよね?名前を教えて」

自らを弓月と名乗った少年は、目の前の天使に向けて問う。

「…………私、は…エレミア。エレミア=レスクリーン」

天使が名乗ると、弓月は一笑した。

「よろしくね、エレミア様!!」

それからしばらくして、弓月が提案する。

「エレミア様、僕の家に来てよ。傷の手当てしなきゃ。」

「………ああ、ありがとう。」

そう言うと天使――…エレミアはふらつきながらも何とか立ち上がり、手を引かれながら弓月の自宅へと向かった。

「ただいま…」

弓月が、灯りを灯す。

すると、そこには。


『さっさと消えろ』

『孤児はママを探しに行け』


『この村から、出て行け』


そう、家中の壁に書き殴られていた。


エレミアはこの光景に嫌悪感を覚え、思わず顔をしかめた。

そんな彼の様子には気づかずに、弓月がのんびりと呟く。

「またやられちゃった…。消すの大変だなぁ」

「…君には、母親がいないのか?」

エレミアが問うと、弓月は変わらずのんびりとした調子でうん、と頷く。

「母親…っていうか、両親がね。僕を産んでしばらくして、強盗に殺されたんだって」

「そうか…」

しばらく、部屋が気まずい空気になる。

そんな空気を払拭したいのか、弓月が口を開いた。

「傷の手当てするから、傷見せて」「ああ………」

そう言って、エレミアが傷を見せる。その傷口からは血が溢れ出し、まだ出血が続いているが、そんな傷に顔をしかめることもなく、流れるように処置を施していく。

やがて処置が終わり、傷口に包帯を巻いて弓月が、終わったよ、と告げる。

「…ありがとう。…弓月、君にお礼がしたい」

「お礼なんて良いよ…天使様を助けたかっただけだから」

「良いから。受け取ってほしい」

そう言って、エレミアが弓月に近付き、掌を弓月の胸の前に翳すと、エレミアの掌から光が溢れ出し、弓月の身体に吸収されていく。

弓月はそれをただ驚いた表情で見つめていた。

「弓月、君に植物を成長させる能力をあげる。きっと役に立つ筈だよ」

そう言い残し、エレミアは空の彼方へと飛び去っていく。

弓月はエレミアが去っていった空をじっと見つめていた。


prolog、いかがでしたか?

感想をいただければ幸いです。

それでは、次回の更新をお待ちくださいませ。

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