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……………… 女子会

 昇段試験は三人とも無事に終えた。

 学科試験も実技試験も問題なかった。紬さんと一緒に受けられて、心強かった。

 実技は小太郎先輩の言う通り、堂々としていた受験者が、的を外したけど合格していた。

 三人、合格したのでお祝いに遅い昼ご飯に行く。


「喋り倒す」

 と言ったさくら先輩が、「時間無制限ならファミレス一択」と言うので、駅近くのファミレスに入る。

 そして宣言通り、さくら先輩と紬さんは弾丸のように話し出した。毎日会ってるのに、そんなに話があるってすごい。


「進路とか考えてる?」

 さくら先輩がたまにボクにも話を振ってくる。

「ぼんやりとですね。二年生の後期ってもう結構具体的ですか?」

「大体の受験先は決まってるかな。試験勉強が上手くいけばここ。ダメならここ。くらいかな。学部とかは大多数が決めてるんじゃないかな」


 ドリンクバーから紅茶を持って紬さんが戻る。訂正、温かい紅茶と冷たい烏龍茶を持っていた。取りに行く手間を省くんだそう。

「何校も受けるし、同じ学校で同じ学部も何回も受けるよね。無理筋の記念受験も。奇跡を願って」

「お二人はどうするんですか?」

 ストローをクルクルさせている紬さんを見ながら、さくら先輩が言った。

「理系と文系だから同じ大学にしたって学部校舎違うところ多いから、都内で一緒に暮らしながら違う大学に通うかな」

「一緒に暮らして、朝から晩まで喋り倒すんですね」


「そりゃあね」

 紬さんが顔を上げて、さくら先輩を見た。

「ももと、一緒に起きて、朝ごはん食べて、洗濯とか掃除とかして、大学に行って、一緒に晩御飯作って食べる。すっごい楽しそう」

「言うて今と大して変わらないけどね。今も自由な時間はずっと一緒にいるもん」

「変わるヨォ。顔を見ておはようとおやすみが言えるんだよ」

 流石のさくら先輩も少し照れた顔をして、ボクに話を振ってきた。

「優生くんは?」


「……ボクは医者になる学力も財力もないので、専門学校へ行って医療系の技術職とかになろうかなと思ってます……けど、ストーカーみたいですかね?」

「別にいいんじゃない? 資格取っても、どこまで思う通りに行くかはわからないし」

「彼氏がスパダリすぎて大変そう」

「『スパダリは可愛い後輩に追いかけられたい』ラノベのタイトルみたい」

 結局、なんだかんだ夕方まで喋って、帰ったら夜だった。すごい。一瞬で時間溶ける。


「お疲れ様でした」

「お互い、合格おめでとう」

「おやすみなさーい」

 嶺南の駅で解散した。遅い時間なのでさくら先輩のお母さんが車で二人を迎えにきていた。会うのは二度目だけど、小太郎先輩のお祖母さんってホント? って思うくらい若く見えた。うちのお婆ちゃんと比べちゃダメだな。

 

「昇段試験どうだった?」

 チャットアプリで小太郎先輩に聞かれる。

「三人とも合格です。もっと早くお知らせしようと思ったのに、ずっとファミレスで喋ってました。遅くなってごめんなさい」

 驚いたスタンプ。

「よくあの二人と話込めるね、お疲れ様」

「二人は高校卒業したら、ルームシェアして大学へ通うそうですよ。紬さんが顔を見ておはようとかおやすみって言えるのがいいって言ってました」

 なんて言うかな? 小太郎先輩は……。ボクもそういうの、憧れるけど。

「それ、小学校時代から言ってたな。もうすぐだな、後一年ちょっと」

 そうか、三人は幼馴染だもんね。

「先輩は大学とかどうするんですか?」

「都内かな。実習とかで通えなくなるまでは家から通うと思う」

「好きな人とか、友達とかと一緒に住むの憧れます」

 エイッと送った。自分でも、なかなか攻めたと思う。

「おやすみなさい」

 スタンプを送って言い逃げした。


 昇段試験の後しばらくして、さくら先輩がまた入院した。

「さくら、教室で倒れたんだって」

 二年の先輩が部活で言っていた。

「なんか、また手術になるって」

「え〜大変。こんな度々じゃあ。受験の時、具合悪くなったらどうしようもないよね」

「後一年ちょっとしかないじゃん。今度こそ、しっかり治ってくれないとね」


 翌日、紬さんのクラスを教えてもらって、ドキドキしながら行ってみた。

 一階下がるだけで二年生の教室はなんとなく雰囲気も違う。行ってみると、ボクの教室の真下だった。造りはおんなじはずなのに、不思議。廊下を歩いていると、二年生がチラチラみてくる。視線が痛い。


 出入り口近くの席の人に声をかけた。

「日下? え〜っと……見当たらない。どっか行ってるね」

 立って、見回してくれたけど、近くにはいないっぽい。


「優生くん」

 後ろから、紬さんの声がした。

「ももの話でしょ? 部活前に時間ある? 自転車置き場前のベンチで話そうか?」

 大丈夫ですと答えて、紬さんのチャットアプリのIDを聞いた。今までさくら先輩経由だったから。

「じゃあ、そこへ行ったら連絡します」

 ざわつく廊下の二年生たちを縫うように歩いて、自分の階に戻った。

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