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……………… 国民スポーツ大会ブロック大会二日目


 二日目も夏休み最後の土日に相応しい、陽射しに灼かれながら会場に着いた。幸いなことに今日の会場は屋内だから、暑さも風も問題ない。


「おはよう、優生くん」

「おはよう」

「おはようございます」

「今日は紬も連れて来たんだ。紬はさ、学校だと優生くんと話す機会ないし、()()()()加賀美小太郎氏の応援も出来るから」

 

「部活が復活してから、みんな加賀美弓道場に来なくなったから、会えなかったもんね」

 ショートカットのさくら先輩は大抵いつもシンプルな格好しているけど、紬さんは制服の時でも他の人とちょっと違う着こなしをしている。私服の今日はふわふわでもヒラヒラでもないけど、シュッとした格好……ボクにファッションの知識がないから表現できないけど、とりあえずお腹は見えている。


「どうせ近的負けなしでしょ? 紬と帰りに遊園地の横のモールに寄るんだけど優生くんも行く?」

「ご飯かお茶だけでも一緒しようよ。おしゃべりしようよ」

 あれ? ボクって女の子枠?

「閉会式と表彰には戻ってくるので、それまでなら」

「よし。昇段試験の打ち合わせとかもしようね」


 ひとまず、近的の会場へ。

 インターハイの時の屋内会場に似てる。ここは普段サッカーとかの施設らしい。

 仮設の安土を作って、出入り口とかはパーティションで仕切ってある。

「インハイの時の屋内会場より、音が響きますね」

「天井の高さとかかなぁ。話し声に注意だね」

 さくら先輩を真ん中にして、三人で座った。話す時は小声で下を向いて話した。


 小太郎先輩は近的も(おち)だった。学年関係ない実力ってことだ。

 そして今日も、皆中。

「おい、必死じゃねえか」

 さくら先輩が小太郎先輩を見てつぶやいた。余裕あるように見えるけど?

「微笑ましくてねぇ」

 紬さんはちょっと笑った。

「こっちはこっちで、キラキラした目で見つめちゃってさ」

 多分、ボクのこと。

「微笑ましくてねぇ」

 紬さんは平常運転。


 少年の部は小太郎先輩たちのチームは総合二位で本大会出場を決めた。これから成年の部で、その後、閉会式だ。

「さー、ご飯行こう」


 駅近くのモールに移動した。初めて来たけど、隣の遊園地と同じテイストで関連グッズ売ってたり、ちょっと他には無いものを扱ってたりする。映画館やレストランもある。

 日曜日、普段と比べてどうなのかは分からないけどそこそこ混んでいる。

 ボクたちはテーブルがそれぞれ独立したような、区切られたお洒落レストランに入った。

 友達同士ではファストフード店しか入ったことがないボクは少しドキドキしていた。

「大丈夫だよ、お洒落なファミレスみたいなとこだよ」

 ボクを見てさくら先輩が言った。多分、気後れして目が泳いでいたかも。

 

 

 アイスコーヒーとクランベリージュースとオレンジジュースで乾杯をした。

「お疲れ〜」「お疲れ様」「お疲れ様です」

 店内は涼しくて、外にはもう出たくないくらいだった。ボクたちはパスタのセットを頼んだ。

「はー、お腹減った」

「部活真面目にやってると、家でのんびりする土日とかなくない?」

 紬さんが、クランベリージュースのストローをクルクルしながら言った。

「加賀美小太郎氏くらい大会とか出るようだと、本当、休み無しなんじゃないの?それでも、今年はインハイ本選出ないからまだマシだけど」

「勉強とかもしなきゃなんないんだから、尊敬する」

「マジそれ。まぁ、本人のやる気っていうか、目標作ってゴールするのとか大好物だから」

「あー……ね」


 カルボナーラをフォークに巻き付けながら、ちょっとだけ勇気を出して聞いてみた。

「さくら先輩と小太郎先輩って、すごく仲良い感じですが、言葉で表すとなんていう関係です……か?」


 アラビアータをフォークに巻き付けていたさくら先輩と、ボンゴレを食べていた紬さんが止まった。

「キタ」

「いいね」

 そしてとても嬉しそうに、

「「その質問、待ってた」」


「友達、同級生、幼馴染、親戚。ちなみに紬は加賀美小太郎氏にとっては、友達、幼馴染、それだけ」

「親戚なんですか?いとこ……とか?」

 さくら先輩と紬さんが笑い出した。

「いや、あんま言いたくないんだけど、私、加賀美小太郎氏の叔母にあたる」

「え?」

「血縁上はね。戸籍上は私と加賀美小太郎氏はいとこちがいって言うのになる」

「??」

「加賀美小太郎氏のお父さんが私の血の繋がった兄なの。加賀美小太郎氏のお祖父さんは自分の妹の子を養子に取ったの」

 わかる気がしない……。

「つ……つまり?」

「なんとなく分かればいいよ。面倒なら、いとこと思ってくれてもいい」

「いとこ」

「何代か前から加賀美家は直系の血が繋がらない家なんだ。とにかく私の方が叔母だから偉いわけ。よかった。この話したかったんだけど、聞かれないのに言うのも変で言えなかったんだ」

「優生くんがそんなことを聞いて来るってことは、気になってるって事だもんね。加賀美くんのことが」

「いや、なんか二人、普通より仲良さそうだから……付き合ってる……とかだったら、ボク……」

 狼狽えるボクを尻目にセットのデザートも食べ終えて、昇段試験の話をざっくりして、解散した。ボクはもう一度会場に戻った。


 成年の部も関東ブロック代表が決まっていた。代表の発表だけで、個人の表彰とかはなかった。


「優生くん、あれ? 斎藤桃子さんと日下紬さん一緒じゃなかった?」

「小太郎先輩、関東ブロック代表おめでとうございます」

「ありがとう」

 うわっ、照れたような笑顔、眩しい。

「さくら先輩たちはモールで買い物して帰るそうです」

「あ、じゃあ、優生くん、一緒に帰る?僕も今日はもうここで解散だから。監督に声かけてくるから待ってて」

 戻って来てよかったぁ。


 少し待って、小太郎先輩を迎えに来た木村さんの車に一緒に乗って帰った。

 小太郎先輩が、昨日今日の試合の話を身振り手振り付きで話してくれるのがすごく嬉しかった。


 

 


 

 

 

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