過激な淑女
場所は中華人民共和国、北京にある財閥関係者などしかいないような料理店。
田舎の農家育ちの私にはどうしてもまだこの感じが慣れない。
毎日のように兆単位の人民元がたった一言で動いていく。
そして豪勢な料理が席いっぱいに広げられている。
前のステージではダンサーが過激な程の露出をした服で踊っている。
やはり慣れない。
大手の社長たちは毎日これをしているのだから都会生まれの人はすごいとしか言えない。
私みたいな田舎育ちの元農民は来て
はいけないのではないかと思ってしまう。
そのくらいの豪華絢爛さだ。
ただ金はある。
その幸福を分け合う人はもういない。
だからこうして高い料理と高いウーリヤンイエを頼み「一人ではない」と自分を錯覚させ昔の賑やかな生活とは程遠いが、それは私の中で一つだけの楽しみでありそれが生き甲斐であった。
仕事だからであろうか。
ステージのダンサーは毎日私のところに来て共に飲食をする。
彼女はヴェネツィアワインを頼みそれだけを飲み、いや、嗜んでいるのか。
そして半分くらいになると決まって煙草を私にも渡してくる。高そうな龍を刻まれているライター
だ。
これを吸うと何故か少し後ろめたく感じる。
背徳感、とでも言おうか。
気があるわけではないが彼女の所作の一つ一つに目がいく。
煙草を渡す時のけしの色の爪、ライターを持って火をつける時の視
線。
気があるわけではないが目を惹かれる。
今日は「この後、良かったら一緒に近くで泊まって話しませんか?」と言われた。
金はあるし帰る家もある。
帰るべき理由はない。
私はその答えに少し待ち答えた「ああ。是非」と北京最大のホテル。
これまたとても材料のある人々が集まって夜を過ごしている。
私の様にダンサーなどと夜を共にする者も少なくはない。
一面の大理石。
白い大きなベッド。
豪華な照明。
やはり慣れない。
彼女は豹のような目でアイコンタクトをすると私は少し考え抱き上げベッドへ運んだ。
何故だろう。
私はそこから何故か少しの間動けなかった。
その日はあまりよく覚えていない。
ただ、今朝起きた時はバスルームで目覚めた。
全裸で寝転がっていた。
何処も別に痛むところはなかった。
彼女が何かしてくれなのだろうか。服は綺麗にに畳まれ置いてあった。
会社に行かなくてはならない。
だから着替えなくてはならない
服を着た。
下着、海外ブランドのシャツ、最近買ったオーダーメイドのスー
ツ。
シャツの胸ポケットに手紙が入っていた。
「昨日はありがとう。また店であいましょ。」そこには電話番号が記されていた。
その番号を携帯電話に登録した。
会社に行かなくては急いでチェックアウトを済ませた。
料金は彼女が払ってくれていた様
だ。
早速電話で感謝を伝えた。
気にしないで、と帰ってきたら。
今日も会社に行き、店に行くだけの日。
だがその無意味な行為にも理由が生まれた。
そんな日だったと思う。
YMOの「過激な淑女」をモチーフにしました。




