1.解離性同一性障害と学校
私はとある日に転生した。
死因?
通り魔にグサーっと、ね?
ちなみに転生先は魔族がいる魔界という世界で、普通の世界と違った。
悪魔になったうえ、これはこの世界だからある物なのだろうか。
「クグツ、いる?」
『あぁ、いるぞ。』
私は人間で言う、解離性同一性障害という病気(?)を持っていた。
これは、1人の身体の中に2つの人格が入っている人の事を指す。
普通なら一緒に話すことは出来ないらしいが、私の場合は一緒に話すことが出来た。
例えば...。
「『あー、いー、うー、えー、おー。』」
こんな感じだ。
ただ...。
「自分から2つの声が出るってやっぱ気色悪いな。」
『酷くね?』
転生前は自分の声は1つだったから、変な感覚しかしなかった。
けど、嫌だとは思わなかった。
それに、そう思わないとクグツに失礼だからね。
『それで、お前これからどうするんだよ。』
「あー...どうしよ。」
ちなみに現在...親に隠していたクグツの存在がバレ、キモがられて家から追い出されちゃったんだ。
「本当にこれからどう生きようかねぇ...。」
のんびりと見知らぬところを歩く。
『お金はあるんだけどなぁ...。』
「これ学費にして学校行く?この世界について全く知らんし。」
『魔法とかは使えるよな。なら、入学試験は行けるだろ。』
「筆記は?」
実技が出来たとしても、筆記ができなきゃ話は別だ。
『筆記は大体前の異世界知識でいけるだろ。』
「そか。」
私は異世界が大好きだった。
色々な話を読んでいたので、知識はあった。
それでいけるなら、簡単なものだ。
『貴族なら、入試の手続きを事前にしなくていい学校が1つあったはずだ。一様俺等は元貴族...名前は知られているし、家系専用特殊能力(略:家系能力)を見せれば納得はしれくれるはずだ。』
「ん?その言葉だと、今日テストだと言ってるような...。」
『そうだ。あいつ...三つ子の兄リアスと三つ子の妹ユアナと同じ学校だから、話は聞いていたんだ。』
私の家系は3つ子だった。
そのため、その2人と一緒なのは少し嫌だが、仕方がない。
「しょうがねぇ、行くか...クグツ、場所は?」
『とりあえず、そこを右。』
「了解。」
クグツの説明の元、その学校へ向かう。
『ここからは俺に任せろ。』
「見た目女子なのに男子の声て...平気なんか?」
『まぁ、大丈夫だろ。身体も借りていいか?』
「おけ。」
私とクグツは身体を与え合うことも出来た。
ただ、主導権は元の身体の私だ。
『あの、すみません。』
「ん!?あっ、えっと...どうしたのかな?」
女子から男子の声が出てるのは、やっぱり驚いてるみたいだ。
『えーっと...レイ・リリアンスです。ここの入試を受けたくて...。』
「リリアンス家の...家系能力は...。」
『【幻視】です。』
クグツがそう言った瞬間、目の前にいた角が生えた教師の首が取れる。
これは家系能力の幻を見せる力...【幻視】。
ちなみに私はクグツの力もあり、幻を見せるだけでなく、その感覚まで幻で作ることが出来る。
つまり、幻で首が取れる風に見せたら、ついでに首が取れる感覚まで再現出来るのである。
ただ、話しながらのクグツは流石にそこまで出来ないだろうと思ったので、私がやってあげた。
「っ!?あ...れ...?」
『これで、分かりました?』
「あ、あぁ...うん、会場、行っていいよ。」
『ありがとうございます。』
そうして入試会場と書いてある方へ行った。
『さっきの能力、助かった。感覚までやってくれるとは...。』
「せっかくだし、強いって事、教えときたいじゃん。」
『そうだな。ここからはお前の番だ。任せたぞ。』
「うん。おやすみ、クグツ。」
ピンで止めていた右側の前髪を下ろす。
クグツが寝たので、右目はクグツが起きるまでは開かない。
なので、変に思われないように前髪を下ろして見えなくしたのだ。
「さて...頑張るか。」
まずは筆記試験。
私は転生前の記憶を最大限に思い出していこうと決意したのだった。