洞窟にて(その2)
4人はクニオとコルビー、コウとグレゴリーの二手に分かれてドラゴンのそばに近づいていく。まだ結構距離があるなという所でドラゴンは目を開き、むくりと起き上がった。4人の姿を確認しても何をするというわけでもなくただじっと見つめている。
先行したクニオとコルビーは、ある程度ドラゴンに近づいたところで、アマリアの盾から結界を展開した。クニオ一人では無理だが、コルビーの魔力、正確には放出する魔素の力を借りて巨大な半球状の結界がドラゴンを囲い込んだ。
「少しの間だけおとなしくしていてください」
クニオがそうドラゴンに話しかけるのと同時に、やや後方にいたグレゴリーとコウは洞窟の中へと駆け出した。
「面白い。この結界は魔力を帯びたものは通さぬようだな。ではこれならばどうするかな?」
クニオとコルビーは顔を見合わせた。予想外にドラゴンが人語を話したからだ。話してからドラゴンは大きく息を吸い込む。
「まずいよ。奴から魔力の気配が感じられない!」
コウが叫んだ。
そうしてドラゴンは口から強烈な炎を吹き出した。
「あれは純粋な炎だ!」
コウが再び叫ぶ。
「絶対防御!」
コルビーの前面に魔法陣が展開される。これは物理防御用だ。しかし魔王の成体ではないコルビーには自分の身を隠す程度の大きさに展開するのが精いっぱいであった。クニオとコルビーのいる場所は激しい炎に包まれた。炎の暴風と言ってもいい。それは勢いを持って、大きな圧力を伴うものだった。
クニオはすかさずドラゴンの周囲に展開していた結界を解き、アマリアの盾周囲に結界を集中させて炎を受け止めた。必死に地面を踏ん張るが、いまにも吹き飛ばされそうだ。
「これに耐えるか、面白い」
そう言ってドラゴンはまた息を吸い込むと、再び炎を吐き出した。今度は先ほどとは違って、魔力も上乗せした文字通りのドラゴンブレスだ。「絶対防御!」
コルビーは更に対魔法用の防壁も重ねた。魔法防壁を構えながらもクニオの方を見る。
クニオはアマリアの盾とその陰に入った体の部分を残して、跡形もなく蒸発していた。盾自体は元々の結界による防御力で耐えられても、クニオが拡張した結界部分はこの炎に耐えることはできなかった。




