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異世界建築士  作者: 十三岡繁
僻地にて
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僻地にて(その9)

 これにはテーブルにいた全員が固まった。


 数秒の沈黙の後コウが笑いながら話し始めた。

「それってパーティーに入るってことだよね?建築士だけでもレアなのに、魔王がパーティーのメンバーとか面白過ぎるでしょ」

「前代未聞でしょうな」

 グレゴリーもそう言ってからガハハと笑う。


「魔王城の構想は覚えていても、おぼろげながら建築に対する知識をどこで得たのかまでは分からなかったんですよ。過去に比べても未来の記憶はより断片的になるんです。この本に書かれた絵と図面を見てようやくわかりました」

 コルビーはすっかりその気になっているようだが、クニオは心の整理がつかない。


 確かに前にいた世界でも建築士の世界は徒弟制度の色合いが強かった。しかし魔王が弟子…下手すると世界を変えてしまうような気がする。そもそも冒険者パーティーの究極の目標は魔王討伐ではなかったのか?でもそれは誰が決めた事なのか?


「面白そうだから、深く考えなくてもいいじゃん。何か新しいことが起きそうでワクワクしない?」

 コウは相変わらず適当だ。

「拙僧は賛成ですな。というかあそこに魔王城が存在しているという事は、これは逃れらえない運命とも言えましょう」

 なにかグレゴリーは珍しく坊主のようなことを言っている。適当ではあるが二人とも俄然乗り気の様だ。クニオはティアマトの方をチラ見してみた。止めに入るかと思ったが、目が合ったとたん彼女は視線をそらした。魔族は自分より強者に従うという事を忘れていた。


「まぁなるようになりますかね」

 クニオの人生観も実は二人とそう変わらなかった。


 そうして所属メンバーが4人となった新生『キュリオシティーズ(物好きな4人)』ができあがった。

 新生『キュリオシティーズ』の冒険譚についてはまたどこかで語るとしよう。


 コウは半分のぼせ気味で、浴槽を出てふらふらと開口部の方へ歩いていくと、浴槽の中からは見えなかった眼下をのぞき込んだ。遠くに見える魔王城から伸びる街道は、道沿いにやや大きな建物があって、その後ろに低層な造りの民家、更にその後ろには農地が広がっていた。全体で長く大きな街を形成している。それぞれのエリアは同色系の屋根や作物で色づいて、幾重にも重なりあう帯の様だ。コウはこの景色が気に入っている。魔王城の手前にある平原では、もくもくと湯けむりが上がっている。きっとコウ温泉のものだろう。


この魔王城へと続く道を、今では人々は『クニオ街道』と呼んでいる。


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