第四話 魔法の種類
「ただいま!」
「お〜!お帰りなさいませルト様!ご無事で何よりです!」
「お帰りなさいませルト様。ご無事で何よりでございます」
「うん!ありがとうね!ゴウさん!ガザンさん!」
ちょうどお昼の時間にルトは家の門の前に着き、門番をしている二人に挨拶をした後、白い門を二つ左右に開けてもらう。
最初二人の名前聞いた時、名はあるのに姓がないから何でだろうと聞いてみたら、貴族ではないからという理由だった。母さんと父さんに俺は貴族なの?って聞いたら違うと言っていたけど、どういうことなんだろ?
「どうぞルト様!」
「お入りくださいルト様」
「うん!いつも家を守ってくれてありがとうね!」
「おお!ありがたき幸せ!それが私達の勤め、ですから!」
「左様でございます」
「それでも、だよ。それじゃー!」
ルトは開けてもらった門を潜り、急いで中に向かう。
ここまで成長されたルト様…とてもお優しい方になられて…。私達はラスティア家に使えて改めて本当に良かったと心から思いました。
入っていったルトを見てゴウは、改めて良かったと心から思えた。
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「ただいまー!」
「お帰りなさいませルト様」
「「「「「お帰りなさいませ!」」」」」
ルトが帰ると、左右にいたメイド達が一斉に頭を下げ、中心にいたメアリも頭を下げる。
いつ見てもこれだけは慣れないな。
「ご無事で何よりですルト様。お風呂の準備ができておりますのでごゆっくりとどうぞ。服等は、こちらで用意させていただきます」
「いつもありがとう!じゃー俺はお風呂に入ってくるね!」
「いえ、当然のことです。行ってらっしゃいませ」
メアリは、頭を下げてルトを見送る。はぁ〜やっぱり風呂がある生活は最高だよ!最初異世界だからシャワーか魔法で綺麗にするのかと思ったけど違ったよ!この世界でもお風呂はある!毎日がルンルンだよ!
脱衣所で服を脱ぎ、腰にタオルを巻いた後扉を開けて中に入る
「う〜ん!この風呂はやっぱり広い!こんな広々としてると一人じゃ寂しくなるな…。でもね?」
鏡とシャワーがある所に座り、魔石に自分の魔力を流してお湯を出してると後ろから扉が開く音がする。
いつもどおり毎日来るんだよね〜。メイドさんが!しかも毎日違う!ここの女性って美女、美少女ばかりだから嬉しい気持ちもあるけど罪悪感もある。
「ルト様!お背中を流しにきました!今日はミミが務めさせていただきます!」
入ってきたのは少し小柄で、黒い瞳、茶色の髪を後ろに束ねた美少女が、体にタオルを巻いて入ってきた。胸はぷくっとタオル越しでもわかる膨らみ、白い肌、桜色の綺麗な唇、スタイルはいい。うんいい。
ミミはメイドの中では一番歳下だから皆んなに、可愛がられている十五歳の少女。俺とは今日で十歳違いで、もし俺が向こうの世界で出会ってたら絶対に一目惚れしてたと言っていい程のレベル。だけど今は俺五歳だし、まだまだ先は長い!俺にも春がきっと来る!この世界で!でも今は…。
「ありがとうミミ!早速だけどお願いしていいかな?俺怖くて頭洗えないんだ!」
「ルト様の為です!分かりました!洗わせていただきます!」
俺は今こうして五歳として振る舞ってる。それが今俺ができること。振舞うのも大変だけど、まだその時期じゃない。
「うん!ミミの洗い方が一番俺は好きかな?きもい良くて寝ちゃいそうだよ」
「はわぁ!?あ、ありがとうございます!精一杯ルト様を洗わせていただきます!」
丁重にミミは、ルトの頭を洗い、体も強すぎず、弱すぎずとちょうどいいぐらいの強さで洗ってくれる。
あ〜この生活最高。
「さっぱりしたよ!流石ミミ!」
「あ、ありがとうございます!」
洗ってもらった後はお風呂の方に行き、桶でお湯をすくって体を慣らす。
うんちょうどいい温度。
ルトは腰にタオルを巻いたまま、ミミはタオルを取った状態で入る。
「ふぅ〜気持ちい〜。お風呂は最高だよ〜」
「ふふ、ほんとルト様は五歳だと思えないほどですよ。あっ!いえ!決して変な意味では!」
後ろであたふたしている為、ルトの背中に小さな胸が更に当たる。
何故かって?俺は今ミミにもたれかかってるから。というよりミミが俺を股の間に入れてギュッとしてきたと言った方がいい。
「分かってるよミミ。俺がお風呂好きなのは一日の汚れが綺麗さっぱりして気持ちよく寝れるからだよ。それに…毎日メイド達が俺の為に洗ってくれるからかな?本当にメイド達には感謝しかないよ」
「ありがとうございます!これを聞いたら皆さん喜ばれると思います!」
その後も楽しく話していると熱くなってきたので、出ることにした。
「そろそろ出よっか」
「はい…ルト様との時間楽しかったです」
「はは、大袈裟だよ。俺が一五歳になるまでこの家にずっといるんだし、いつでも話せるんだよ?」
「そうですね!ですよね!」
笑顔が戻ったミミを見て、ルトは安心をした。
うんうん!笑顔が可愛いからいつでも笑顔でいてほしいよ!
よいしょとルトは、そのまま出ようとすると急に優しくミミに抱き上げられ、ルンルン気分で扉に向かっていく。
「ミミ…俺自分で歩けるんだけど…」
「ふ〜んふふん〜」
てぇ…聞いてないし。まーいいか。
そのまま抱き上げられた状態で脱衣所に戻ると数名のメイドが待っていた。
「ルト様、湯加減はどうでしたか?」
「うん!今日も良かった!毎日ありがとね!」
「いえいえ、ルト様が喜んでくださって良かったです。ミミ、ルト様を下ろして差し上げて。そのままだと風邪をひいてしまいます」
「す、すいませんルト様!直ぐに下ろしますね!」
慌ててルトを下ろして、ペコリと一礼をする。
ミミ…ずっと言わなかったけどタオル巻いてないよ?忘れてってるよ?素っ裸だよ?いいの?とはあえて口にしない。
気づくかな?
「ルト様、ではこちらに」
「うん!」
「あっ…ルト様…」
寂しそうにルトを見ているミミは、自分が素っ裸だと気づかずに、扉に向かって歩いていく。
もっとルト様と話したかったです。この時間は貴重ですので、もっと入りたいです。ですがまたいつになるのか分かりません。それに…王都にある家に回されたら私は当分ルト様とは出会えないです。それだけはいやです。なのでここは我慢してもっと頑張ります!
「ミミ!そのままで行ったらダメだよ!風邪ひいちゃうよ!」
「えっとルト様?どういう…あっ…。す、すみませんでした!直ぐに着替えます!」
扉を開けて廊下に出ようとするミミを、ルトは急いで止める。
危なかった〜!そのまま出てこうとするもんだから急いで止めたよ!気づくと思って言ってなかったけど、こうなるなら言った方が良かった。
慌てて着替えたミミは皆んなに一礼した後、顔を真っ赤にして出て行った。お風呂の中にタオル忘れてるよ…。
「全く…仕方のない子です。ルト様、お体をお拭きしますね。ネイとルルカはルト様の髪を乾かしてあげて」
「承知しましたナツミさん」
「了解ですよ!ささルト様!私は風魔法、ネイは火魔法で調整しながら乾かしていきます!もし熱かったら言ってください!」
「うん!」
ナツミさんは、綺麗に整えられたショートの黒髪に、黒い瞳。スタイルもよくて、メイド服が似合う。しっかりした人で、今ではメアリさんの次に、メイドの中では偉い?というのかな?
ネイさんは腰まで伸びた綺麗な青髪に、金色の瞳。いつも無表情で何を考えているのか分からないけど、テキパキと仕事をこなすネイさんは凄いと正直思う。
ルルカさんは元気があるメイドさんと言った方がいいかな?後ろに三つ編みした茶色の髪、茶色の瞳。胸はメイド服越しでも分かる大きさ。ルルカはこう見えて、物凄く運動神経がいい。でもよくお皿を落とす。その度にメアリさんに怒られている。
「終わりましたルト様」
「ルト様終わりましたよ!熱くなかったですか?」
「うん!ちょうど良かったよ!」
髪も自分で乾かす事できるけどここではやってくれる。しかも体も拭いてくれるとか俺はどんだけ甘やかされているんだ。でも楽でいい。最低だな俺。
「拭き終わりましたルト様。さてあなた達、ルト様に服を着させてあげて。ネイ、ルルカは今日の準備の支度をお願いします」
「「「はい!」」」
「分かりました。失礼します」
「分かりました!失礼します!」
髪を乾かし終わった2人が扉から出て行って、次は3人のメイドに服を着させてもらう。
ルトは貴族が着る様な豪華な服を着て、その上に子供用の黒いローブを羽織る。
うん!バッチリ!この格好が一番しっくりくるよ。特にこの黒いローブ!中二心がくすぐられる。
「終わりましたルト様。お疲れ様です。ではお昼の用意が出来ていますのでリビングに移動しましょう」
「分かった!」
ナツミと手を繋いでリビングまで向かう。勿論扉などは全てメイドさんが開けてくれるから自分で開けなくてもいい。
「父さん、母さんただいまー!」
「おー!ルト!無事に帰ってきたか!どうだった?道に迷ってない?狩は成功したか?変なおじさんに着いてってないか?」
「もう…あなたったら…。ルト、お帰り。無事で良かったわ」
リビングに入ると片方の白いソファーに、ザストとスレインが二人一緒に座っていた。
父さんは心配しすぎだよ。でも、愛されているのはかなり伝わる。
「初めての森凄かったよ!楽しかった!狩も成功したよ!後で見せるね!」
帰ってる途中に猪見つけたから、走りながら風刃で首を切断したんだよね。そのまま異空間収納に入れても良かったけど、家で出した時に血を含んだ状態だと周りに飛び散る可能性があるから抜いておく事にした。勿論味も落ちる可能性もあるからでもあるよ。だからその場で血抜きをしたんだよね。まずは猪を木に吊るして準備をする。んでその下の地面にちょと深い穴を開けてその中に血を流していく。注意することはそのまま血抜きをしてもいいけど、血の匂いにつられて肉食の動物がよってくるかもしれないから地面に穴を掘って、その中に血を流し、埋めること。今日の夜は猪のステーキだ!
「おー!それは良かった!父さんも嬉しいよ!流石俺の息子、初めての狩で成功するとは!しかも五歳で!天才だ!」
「私もルトの成長が嬉しいわ。五歳で狩を成功させたなんて、天才としか言いようがないわね。流石私達の子供。未来が楽しみだわ」
そこまで褒められるとめちゃくちゃ嬉しいな!俺本当に幸せだな〜。でも…瑠奈は向こうで元気にやってるかな…。俺がいなくなってもう五年経つ。十九歳になって成長した瑠奈を見たかったな。元気に大学通ってるかな?彼氏できたかな?いや、瑠奈なら絶対にできるな。はぁ〜…この世界も楽しいけどやっぱり心配だな。俺はもう地球には戻れないことは分かっている。だから今は異世界を存分に楽しむ!十五歳になったら何処に行こうかな〜。旅でもするか。
大きな窓から見える空を見ていると。
「どうしたルト?」
「どうかしたの?」
「あ、ううん!なんでもない!あれ?アイリは?」
「内緒よ」
「そうだな。内緒だ」
アイリと言うのは一つ下の妹。この世界の血の繋がった妹と言うべきか。二人して内緒って…まーアイリ一人では何処にも行かないだろうし護衛の人がいれば安心できるからいいかな?
「内緒ね。分かった。もうお腹すいちゃったから食べよ!」
「そうだな!」
「そうね。食べましょう」
二人はソファーから立ち上がり、無駄に長いテーブルに向かい、椅子に座る。
俺はいつもテーブルの先端に座るんだよね!んで右に父さんで左に母さんが座る!
座って待っていると、メイド四人が扉から入ってきた。一人は料理を乗せたカートを引いている。四人のメイドがテーブルに着くと、ゆっくりと三人のテーブルの前に並べていき、全部載せた後は蓋を開けていく。開けた後は一人だけ料理を乗せていたカートを引いて扉から出ていった。部屋に残った三人のメイドはそれぞれ三人の左後ろに立つ。
「おー!いい匂い!」
「そうだな!よし!食べるか!いただきます」
「そうね。いただきましょう」
毎日フォークとナイフを使っていると慣れてくるもんだな。最初の時なんてまず無理。ずっと箸を使っている生活から、箸がない生活になったし。フォークとナイフで食べないといけないもんだから焦った。やっぱ慣れって怖い。おっ、このハンバーグ美味い。
「ルトはいつも幸せそうに食べるわね」
「そうかな?」
「ええ、私まで幸せになるわ。ルトやアイリの幸せな顔を見れるのもメイド皆さんのお陰です。感謝します」
「いえいえ奥様。私達は当たり前のことをしているだけです。それがルト様やアイリ様の幸せ、家族皆様の幸せになってもらえるのなら私達はそれだけで嬉しく思います」
ふふ、とスレインは微笑み、再度料理を食べ始める。
改めてここの人達皆んないい人だな〜。俺も皆んなを守れるようにもっと頑張らないと!そうだ!今日あの男に会ったこととか、適性と神獣の事話さないと!
「ねーねー父さん、母さん!今日ね、森で変な人に会ったよ!何か眼の色が両方とも違った!それでね、その人が俺に適性とか神獣とか言ってきたけど何?」
勿論嘘だけど。あの熊野郎が壊したせいで石壊れてあの男、化物が復活しやがったし…。今の俺では絶対に勝てない自信があるな。最大の一撃を何事もなかったかのように消し去るようなやつに。
その話をした瞬間、二人はナイフとフォークをテーブルの上に落として汗をツゥーと流しながら固まる。落としたナイフとフォークはメイドが片付け、再度新しいのを置く。
「えっ?どうしたの?」
「ル、ルト?その両目の色が違うっていうのは本当かしら?」
「うん?そうだよ?何かね、右目が赤で左が緑だったよ?それでね、その男の人が俺に近づいてきて適性いくつだ?とか神獣の場所が〜とか言ってた」
すると二人はまずいことを聞いたみたいな顔をして、お互い目でアイコンタクトした後、ルトの顔を見る。
分かってたけどやっぱりあいつヤバい奴だよな?だって二人の顔見たら分かるもん。ものすげー真剣な顔してる。
スレインはハンカチで口を拭いて、口を開く。
「ルト、その男性にもう一度会ったら絶対に関わっちゃダメよ。これはお父さんと、お母さんからの約束よ」
「そうだぞルト。絶対に関わっちゃダメだ。何があっても。理由は言えないが、そいつに出会ったら直ぐ逃げろ」
「う、うん分かった。約束する」
「ルトを信用してるわ。そうだあなた!適性よ適性!モヤモヤがやっと消えたわ!」
スレインは、真剣な顔から一気にパァー!となり、ほんかわと可愛らしい笑顔になる。
毎日とは言っていないけどルトには魔力制御をなるべくやった方がいいと言ったわね。でもルトが毎日魔力制御をしてる所をよく見るけど、実際に魔法を使ってる所を見てなかったわ。何でだろうと思ってたけど、私ったら…ルトに魔法の種類と適性を教えるの忘れてたわ!いけない私ったら。
「おー!そういえば!ルトが魔法使ってる所を見たことがないな!何でだろうとは思っていたがそういうことか!スレインってばおっちょこちょいだな!そこがスレインの可愛らしい所でもあるけどな!」
「もう!あなたったら」
「はぁ〜…」
また始まった。この夫婦ラブラブすぎて口から砂糖出るは。仲がいいのはいいけど、俺がいる中普通にイチャイチャしてるのは勘弁してほしい。見てるこっちが恥ずかしいは。
「よし!そうだな!食べ終わった後でも調べてみるか!」
「ええ、そうねあなた。でもまずは魔法の種類から教えないと」
「そうだな。そうと決まれば早く食べよう」
ペースをあげてお昼ご飯を食べているが流石というのだろう。二人はペースをあげながらも汚い食べ方や音を立てたりはしていない。
俺もペースをあげて食べてるけど二人みたいにはできないな。
「「ごちそうさまでした」」
二人は食べ終わると、手を合わせてごちそうさまと言う。お皿やカップはメイドがスゥ、と片付けて運んでいく。
いただきますとごちそうさまは、俺が言っていたら何それ?と言ってきたから教えた。その意味を教えたら素敵な言葉!今後使いましょう!とか言って、それ以降使うようになった。この世界ではこの言葉がないみたいだし、俺が当たり前のようにしてる行動が不思議がられることもある。例えばオムライス。ケチャップご飯はあるのにオムライスがなかったからメイドに言ったら、困ったような顔された。だから俺が教えたら凄い!天才です!とか言われて、これも一つのメニューになった。お昼に食べてるのはハンバーグ、スープ、パン。ハンバーグも一つのメニューとかした。父母の飲み物は紅茶。自分は普通のお茶。うん普通にお茶美味しい。
「ごちそうさまでした」
ズズズとお茶を飲んだ後一息して、口をテーブルに置いてあるハンカチで拭いて、手を合わせる。今日も美味しかったです!ごちそうさま!ここのメイドの料理は美味しいから癖になる。勿論瑠奈の味も負けてない。
「食後のデザートをお持ちしました」
「食べ終わったことだしルトの適性…の前に魔法の種類を教えるわね」
「うん、お願い母さん!ありがとうメアリさん」
メアリはルトの座っているテーブルの上に、苺が載っているホワイトケーキをテーブルに載せる。おー!デザートが食後に出てくるのが定番だね!昼ご飯か、夜ご飯の後に俺だけ出てくるんだよね〜。だが!毎日食べてるのに太らないのは体質だから気にせず食べる!これ女性に言ったら恨まれるから言わないけど。
「う〜ん!美味しい!作った人に美味しいデザートいつもありがとねと言っといて!」
「かしこまりましたルト様。皆さまとても喜ばれると思います」
一礼をした後メアリは扉から出て行く。俺好みの甘さに合わせてくれているから、いくらでも食べれそう…というのは流石に無理だな。一回瑠奈とケーキの食べ放題行った時に直ぐギブしたし。一個で十分だ。
「ルト?食べながらでもいいで聞いてね?」
「うん分かった!」
「説明してくわね。まずは魔法は全部で十五種類あるわ」
「それって多いの?」
「どうなのかしら?私にも分からないわ。まだ未発見の属性もあるかもしれないからね」
ふむふむ、魔法の種類が十五種類もあると。未発見の魔法!それは探すしかないな!これからの楽しみが増えた!
「属性は何があるの?」
「そうね〜、火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、光魔法、闇魔法、雷魔法、氷魔法、回復魔法、支援魔法、特殊魔法、空間魔法、時空魔法、神聖魔法、固有魔法ってところかしら。固有魔法も貴重だけど、時空魔法、神聖魔法は特に貴重ね」
「何でその二つは貴重なの?」
「そうね〜」
スレインは、人差し指を口につけてう〜んと考えた後、ルトの方を再度見る。
「この二つの適性を持ってる人がまずいないとしか言いようがないわね。まずは時空魔法。この適性を持ってる人は現在存在しないわね。この魔法は魔力量が多いほど触れた対象の時間を遅くしたり早くしたりすることができる時間を長くできるのよ。例えばこの紅茶ね。私が飲むと勿論なくなるわよね?」
「そうだね!」
「でもね?飲み終わった後のティーカップを触れて、飲む前の時間に戻せばティーカップの中に紅茶が湧いてくるのよ。壺を割っても時間を戻せば治る。更に自分の老を若い時に戻したり、早めたりすることできるわ。でもね?昔持ってる人がいたらしいけど危険すぎてその人物は…ととこれは言えないわね」
分かってるよ母さん。俺がまだ小さいから言えないんだよね。その人物は殺されちゃったと言いたいんだよね。母さんは本当に優しいよ。父さんも勿論優しいよ!稽古の時だけはめちゃくちゃ厳しいけどね…。だって手加減一切してくれないし。
「言えないならいいよ母さん!」
「ごめんねルト?」
「うん!」
「じゃー次話すわね?次は神聖魔法。この魔法は死んだ人を蘇らせることができるのよ。神の使う聖なる魔法とも言われているわ。この魔法も現在持ってる人はいないわね。ただこの魔法、自分の魔力を相当使うらしいのよ。何故現在存在しない魔法なのに分かるの?と思うでしょ?それはね、お城の図書館にある厳重エリアを、王の許可もらって見せてもらったのよ」
蘇生できる魔法だと!もしこの魔法使えたら大事な人とかを救える可能性大だよ!あるか分からないけど早く俺の魔法適性を調べたい!と言っても火魔法、水魔法、風魔法は使えるのは確かだね。それ以外はまだ使った事ないかけど。それによく分からない自分で編み出したネタ魔法はどこの分類だ?まさかいきなり未発見の魔法だったりして!とと、話がズレちゃった。
「 へぇ〜!お城一度でも行ってみたいな!」
「一回はお城に入れると思うぞ!ルトやアイリをお披露目するからな!と言っても一部の人のみだが」
「やったー!」
父さんまじで!お披露目は目立つから嫌だけど入れるのなら行きたい!また一つ楽しみが増えた!
「そうね、ルトが十五歳になったらね。さて、話を戻すわよ?お城の図書館の厳重エリアには魔法の歴史などが書かれた本が置いてあるのよ。そこで私は神聖魔法について調べてみたのよ。それでね?驚いたことが神聖魔法で使える魔法は蘇生のみ。それ以外はないみたいなのよ」
これ本当に五歳に話す内容なのかとは思うけど理解できるからいいや。もし俺じゃなかったら今頃飽きてどっか行ってしまうな。多分だけど。
「ねぇー母さん!火魔法みたいにアローとかウォールとかの種類を使えないってことだよね!神聖魔法は蘇生のみ発動するって感じかな!」
「ス、スレイン?本当にルトが五歳だと思えないのだが?天才じゃないか?」
「そ、そうねあなた。本当にルトが五歳だとは思えないわ。流石私達の子供ね。教えてもない魔法を知ってるなんて…。しかも理解もしてるみたいよ」
二人はルトの方を見て驚いた表情をしていた。後ろにいたメイドも流石ルト様と言わんばかりの眼差しをルトに向けている。
わーお、ここまで言われるとは思わなかった。俺異常なのか?そうでもないよな?だって普通に考えたらそこら辺は分かるだろ…分かるのか?
「て、天才じゃないよ!何となくこうかな〜て思っただけだからね!適当に言ったら当たった感じだよ!」
「いいやアイリもそうだがルトも天才だ!五歳にしながら魔力制御を上手にできる!更には教えてもない魔法を自分で考え答えを出すことが凄いぞ!」
「そうね、ルトでアイリも天才よ。でも、だからこそこれからこの先、気をつけないと悪い人達に利用される可能性があるわ」
「大丈夫だスレイン!そんな奴らがいたら俺が倒してやるよ!」
「その時はお願いねあはた?」
「おう!」
本当に何度もいちゃうほど仲がいいな父さんと母さん。はぁ〜でもここまでとなると少し手加減しながら敵を倒す必要があるなこの先。んであいつみたいな奴が出たらへんしーん!したいけどできないから地味なローブ買って正体バレないように魔法ぶっ放す。それなら俺がやったと分からないだろうし、家族にも被害が出ないだろう。完璧!よし、次は俺が気になった特殊魔法と固有魔法を聞きたいな。
「ねぇー母さん!ちょといいかな!」
「どうしたのルト?」
「そのね!特殊魔法と固有魔法はどんな魔法なの?」
「そうね〜まずは特殊魔法。この魔法は自身の魔力を他者に与えることができる魔法ね。これも一つしか発動しないわね。この魔法の便利なところはもし仲間の魔力が尽きかけて衰弱状態になってしまった時に自身の魔力を渡すことによって魔力の回復をできるのよ」
これも神聖魔法と同じで一つしか使えないのか。でも特殊魔法の適性があればもし仲間の魔力がピンチになった時に直ぐ渡せるな。その前に自分が使い切りそうだけど。
「じゃー固有魔法は!」
「固有魔法は一言で言うと強力な魔法ね」
「強力?」
「そう強力。この魔法は絶対に他の人とは被らない自身の魔法が使えるのよ。例えば私の持ってる固有魔法、【範囲回復】と【回復強力】の二つね」
おー![癒しの魔法師]と言われるだけあるな。回復に特化した魔法を使うのか!俺の固有魔法は何かな何かな!
「ねぇ!なら俺にも固有魔法あるかな!」
「それはちょと難しいかな?固有魔法を持ってる人はごくわずかなの。それにね?メリットが大きい分デメリットも付いてくるのよ。例えば私の【範囲回復】のメリットは自分の魔力を多く消費するほど遠くの人に回復できる効果、使用時の魔力半減。でもね?デメリットは適性の回復魔法を持ってないと使えない、無防備になってしまうから的になってしまうことね」
「んで俺がスレインを全力で守ってたんだよな!剣と魔法を駆使しながらな!」
「その時のあなたの姿に私は惚れたのよ。かっこよかったわ」
「スレインこそ全力で民を守ってる姿は美しかったぞ!だがそのままのスレインも美しい!そこに私は惚れたのだよ!」
「あなた…」
よう子供の前でできるなその会話。でもそっか〜。母さんは人を全力で守ってたんだね。俺も母さんみたいに皆んなを守れるようにならないと。父さんも母さんを全力で守りながら戦ってる姿を想像するとかっこいいな!
「ねぇー母さん!俺にも固有魔法あるかな!」
「十五歳にならないとあるかないかとか分からないわね」
「そうなの!?早く十五歳になりたいな〜」
「ふふ、ルトったら。まだ焦らなくてもいいのよ?成長したルトやアイリの姿もいいけど、今のルトやアイリもお母さんは大好きだからね」
「俺も母さんとアイリのこと大好きだよ!勿論父さんも!」
「ル、ルト〜!俺も好きだぞ!」
ザストは右腕で顔を押さえ、感動していた。
大袈裟だよ父さん…。うわ〜鼻水出てるよ。あ、流石メイドさん。直ぐに新しいハンカチを父さんに渡した。
「もうあなたったら…。ありがとうルト。じゃーまた話すわね?この二つの固有魔法は私だけが使える特別な魔法なの。それにねルト?固有魔法を一つ持ってるだけでも希少なのに、二つ持ってる人は本当に希少なの。今現在二つ持ってるのはわたし合わせて今は三人だけかな?知ってる人の中だけどね」
「ほえ〜固有魔法俺も持ってるといいな〜!そういうのはどうやって調べたら分かるの?」
魔法属性の適性の調べ方もそうだけど、どうやったら自分がこの魔法を使えるのかとかを知りたいな。
するとスレインは、はあっ!とした顔になり、ザストに目を向ける。
絶対に忘れてたな。母さん分かりやすい。
「流石というべきか…スレインのそう言うところも可愛いな」
「あなた…」
あ〜もうそういうのはお腹いっぱいです。はい。
「かあさ〜ん?」
「ご、ごめんなさいねルト?説明するわね。それは全体に自分の魔力を通すようなイメージしてそれを一気に核、心臓部に流す。そうしたら頭に自分の固有魔法があるかないか分かるわ」
「今やっても意味がないかな?」
「そうね〜練習と思ってやるのもいいわね。因みに魔法適性は魔石から作られた特殊な水晶を使って、適性を調べるのよ。魔法適性の場合は一つから二つ持ってるのが普通ね。三つ持ってる人はレア。四つだと希少。五つだとそれはもう超がつくほど希少ね。五つ持ってる人は国からの支援を受けることができるわ。その代わりにこの国に留まって王国を守ってね?というものがあるわ。なるかならないかは自由だけどね」
なるほどなるほど、俺の場合レアに入るのか。なら俺の適性は決まったな。火魔法、水魔法、風魔法の三つだね。ならあのネタ魔法は何?謎が深まる。
「よし!やると決まったら庭に行くぞルト!」
「待ってあなた。まだ適性を調べてないでしょ?」
「そうだったな!例のものを頼む!」
「かしこまりました」
ザストの左後ろに立っていたメイドは一礼すると、扉から出て行った。
例の物って何だろ?気になる。
「ここにずっと座ってると腰が痛くなる…というのは冗談で、ソファーに移動しましょう」
「そうだな。俺達はまだ二十四だしな。腰が痛くなることはないな。だがソファーに移動しよう」
「うん!」
三人は、立ち上がるとソファーに向かい座る。片方にルトとスレイン、机を挟み、もう片方にザストが座る。勿論その後ろにはメイドが付いく。他のメイドはテーブルにティーカップ、砂糖の入った瓶を、音を立てずに置いていく。メイド達が置いた後は、扉からティーポットを持った執事が入ってきて、三人のカップに注いでいく。
あ〜このふかふかのソファーいつ座っても楽だな〜。本当向こうとは違う生活だな。贅沢すぎだよ。瑠奈にもこの幸せを分けてあげたい。今何してるのかな〜。