表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

神殿へいこう!

もうちょっと無邪気なハルちゃんをお楽しみください。

「おい、ハル!忘れモンはねぇか?」

「大丈夫だよ~、父さん。持っていくものなんてそもそもないでしょ?」

「ならいいんだけどよ……。あーそうだこれ、持ってけ。昼の弁当だ」

「ありがとう!!父さんのご飯美味しいから大好き!」

嬉しくなって父さんに飛びつくと、大きな体でしっかりと抱きとめてくれた。

「お前は、俺とアイツの娘だからな。何も心配してねぇよ。……行ってこい」


「父さんありがとう!行ってきまーす!!」


神殿までの道は一本道だ。ちょっと疲れるけど、てくてく歩いていけばそのうちたどり着くことができる。

一般の人が神殿に行くのは、人生で3かいだけだ。

1番最初は生まれたとき。『無事に生まれることができました』と感謝をしに。

2番目は13歳になったとき。『無事に大きくなりました』と報告と感謝をしに。

3番目は死んだとき。『無事に生き終えることができました』と感謝と、受け入れをお願いしに。


13歳は大人になるための儀式なのだ。

詳しくは「行けば分かる」と誰も教えてくれないけれど、神様にお祈りをすれば大人になれるらしい。


今日はいい天気だなぁ……。

神様も祝福してくれているのかな?



てくてくてくてく


まだ先は長い。


てくてくてくてく


あ、鳥さん。


てくてくてくてく


疲れてきたなぁ、ちょっと休憩。


空が青いなぁ。今は暑い時期だから、高い空ともこもことした雲を見ることができる。

休憩終わり!頑張って歩くぞー!


しばらく歩いていると、石に座っている人を見かけた。


「どうかしましたか?からだの調子悪いんですか?」

「いやぁ、ちょっとバテちゃってさ。今にも吐きそうで休んでいたんだ」

そうだ!昨日もらった胃薬!!

「あのっ、よく効く胃薬持っているので、1つあげます。ここにお水もあります!」

薬瓶のラベルを見せると、彼の顔色が変わった。

「そ、それは中心都市でも有名なめったに手に入らないやつだぞ!?大事にとっておけ!」

「私は体は丈夫なので大丈夫です。お薬ってね、つらい人のためにあると思うんですよ。だから遠慮なんてせず飲んでください、さぁ」

1つ取り出して水と一緒に押し付けると、観念したように飲んでくれた。


「いやぁ、ありがとう。助かった。こんなにいい薬もらったんだ。なにかお返しをしなきゃな」

ナップザックの中をガサゴソとあさり始める。


「悪い、こんなもんしかねぇわ。風邪薬と、こっちは傷薬だな。風邪薬は1日2錠で直ぐに効く!ってやつだ。自慢じゃないが俺は体が弱くてな。傷薬は塗った後清潔な布を巻いておくと治りが早くなるぜ」

「こんなにたくさん……。ありがとうございます!」

「いいってことよ。そんくらいいいもん譲ってもらったってこった。この道は神殿にしか続いてねぇと思うが、もしかして13になったのか?」

「はい、そうなんです!これからお祈りしに行くんです」

「そうか、気ぃつけていくんだぞ。心を強く持てよ」

「?は、はい。ありがとうございます。行ってきます!!」


心を強く持てなんて初めていわれたなぁ。

神殿って怖いところなのかな?

神殿ってどんなところだろう。神様って本当に会えるのかな?

今まで全く考えてこなかったことが頭の中をぐるぐると回る。


ぐうぅぅぅぅ


お腹の音で足を止める。

そういやお腹すいたなぁ……。

木陰の岩に腰かけて、父さんのお弁当を取り出す。

何の葉っぱだろう?何かの葉っぱと厚切りベーコンのサンドイッチだ。

ちょっとしっとりしたパンと、ジューシーなベーコンがとっても美味しい!

美味しい!美味しいよ、父さん!!

父さんとピクニックしたいなぁ。お仕事忙しいから無理かな。

明日からは、私は看板娘!!いっぱいいっぱい働いて、お父さんに楽させるんだ!

そうと決まれば、早く神殿に行かなくっちゃ!


勢いのまま歩き出したスピードは徐々に落ちていったけれど、大きな建物までたどり着くことができた。


白い壁。白い門。見上げきれないくらいの大きな白い建物が建っている。


「門番さん!ここが『神殿』ですか?」

「あぁ、そうだよ。ここが神殿だ。13の祈りかい?」

「えぇ~っと、そうです、多分」

「では、ここを通ることを許可いたします。どうぞ中へ」


そうして、開いた大きな扉の中に私は足を踏み入れたのだった。

持ち物

良く効く胃薬

傷薬軟膏

風邪薬


前世の記憶取り戻せませんでしたね。次回こそは、次回こそは、、、。

明日更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ