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8/21

公爵家は他にもいます!

宜しくお願い致します。

昨日の事だが、あれはやり過ぎた。


我も反省はしている。


だが、あのロイがいけないのだ。


なんだかんだと言い訳をし、我にやきそばパンを渡さぬからいけない。


そのくせ諦めも悪い。


伏して謝罪すればそれで良いと言う我の恩情を無為にするばかりか、公爵家の我に謝れという。


我の護衛に敵うはずもない。


あれだけの怪我ならば、恐らく数週間、あるいは数ヶ月は休学となろう。


それだけの期間を休学すれば、次の試験では落第となろう。


そうすれば我はやきそばパンを二度と...


えぇーい!そうなれば我が学院との間に入り、追試を受かるまで受けさせれば良いだけだ。


そう、それで全て丸く収まる。


これで兄上にも納得して頂けるだろう。






我の予想に反し、ロイは翌日ケロリとした顔で登校した。


なにもなかったの如く。


あり得ぬ!


あれだけの傷を癒すには中級以上の光魔術が必須だ。


それだけの力を持つ治癒士を教会が放っておくはずもない。


いや...聖水か?


市場には出回らぬまでも奴の家の商会なら或いは...


ん?


護衛か?


それも女の13-14才程の若き女だ。


学院に女を連れ込むなど...


!!?


この女は...


「美しい!!」


アレスは恋に落ちた。


最も憎い男の妹に。






ーーー「おはよう!」


ロイは教室に入るなりいつもの挨拶をする。


しかし返事はない。


昨日の尾を引いているのだ。


しばらくは続くのかな?憂鬱な気分でいると


「きさ「おはようロイ君、今日も良い天気ですわね。」


アレス君がなにか言おうとした感じはしたけど1人のクラスメイトが応えてくれた。


シータ・ヴァイオレット


ヴァイオレット家の令嬢、1人娘。


茶髪の縦巻きロールのよく似合う綺麗な人だ。


そしてこの国で5つしかない公爵家の令嬢だ。


「いいの?僕に話しかけちゃって。あとで困らない?」


僕は心配になり、少し小さな声で問う


「構いませんわ、同格の相手なら基本は不干渉。ワタクシになにかするという可能性はまずあり得ないですわ。それに挨拶をしてきたのはロイ君のほうでしょう?された挨拶を無視するなどヴァイオレット家、引いては人として最低限の教養もないのかと疑われてしまいますわ。そうでしょう?」


シータさんは澄んだ声で、しかし声量は大きめでクラス全体に聞こえるように言った。


シータさんはいつでも自信満々で、リリィのようだ。


だから僕からの返答はこうだ。


「ありがとう、シータさん。シータさんのそういうところ僕は大好きだよ!」


するとシータさんは微笑んで言った。


「あら、ロイ君もお口上手ですわね。ワタクシとしてはいつも美味しい昼食を頂けて助かってますの。お互い様ですわ。それで...」


言いにくそうに口籠るシータさん


「ん?あぁ、護衛のリリィの事かな?妹だよ!」


!!!!


クラス全体がざわつく。


なによりリリィがびっくりした表情を...あ!


言ってた、確かに登校中にリリィが言ってた。


親戚の護衛という事で話せって。


「あ、間違えた!妹じゃなくて親戚、親戚のリリィだよ!リリィ・アーデって言うんだ。しばらく一緒に登校するから宜しくね!」


リリィが頭を抱えていた。


あの顔は呆れてる時の顔だ。


「リリィ・アーデと申します。妹のように可愛がって頂いております、アーデ家の分家の者です。以後お見知り置きを。」


リリィ、それも無理があるんじゃないかな?


だってリリィは今、僕よりおっきいよ?


「そ、そうですの。ワタクシはシータ・ヴァイオレット、ロイ君のクラスメイトですわ。随分美しい方ですのね、嫉妬してしまいますわ。」


シータさんは続けていう。


「ロイ君、聞きたかったのはそれもありますが、色々と気になる点はございますが、今聞きたいのは一つですわ。本日も昼食は買えますの?ワタクシはロイ君の持って来てくださる昼食の大ファンですの!」


僕も大好きです!


美味しいよね、毎日楽しみだもん。


でも...


「ごめんね、昨日の今日だから流石に...持ってきても誰もいらないかなと思って。でもありがとう!リリィが作るご飯は美味しいよね!ホラ!言ったろ?リリィの作るご飯を楽しみにしてる人はいるって!」


リリィは驚いたような、恥ずかしいような複雑な表情をしている。


「お待ち下さい!そちらのリリィさんがお作りに?...では本日放課後お暇ですか?もしお時間があればロイ君のお家にお伺いできませんこと?無理にとは「いいよ!」言いませ...ありがとうございます。それでは本日放課後、ワタクシがロイ君の自宅にお伺いしますね。宜しくお願い致します。」


シータさんはやはり大きめの声でうちに来たいと言っていた。


リリィのご飯が美味しいと言ってくれたのだ。


ダメなはずがない。


リリィの方を向くとやはり複雑な表情を浮かべていた。


それからシータさんは手を差し出していた、握手だ。


それに応えようと僕が手を伸ばすと


「ダメッ!!」


リリィが大声を上げ僕とシータさんの間にはいる。


リリィの手はバチバチっと音がして、軽い火傷のような痕が残っていた。


「リリィ!大丈夫!?なんで...?」


「ロイ兄、中級結界を張るから誰かとの直接の接触は控えるように言ったでしょ?今日はいつも以上に浮かれ過ぎ。」


そしてリリィはライトヒール、と声を上げて手を治す。


そうだ、確かにリリィは登校中にそんな話しをしていた。


うっかり忘れていた。


なんてダメな兄なんだ、僕は。


「リリィ、ごめんよ。」






ーーーなんてこと。


リリィ・アーデ、あれは人外の領域に足を踏み入れし者。


ワタクシ、シータ・ヴァイオレットは魔眼の持ち主だ。


ヴァイオレット家はそもそも初代公爵になったブエル・ヴァイオレットが魔眼の力にて領地を開拓し、貴族位を上げた家系だ。


代々生まれながらに魔眼を持つ者が生まれやすい家系。


それが魔眼のヴァイオレット。


とはいえ、親の世代と、その上の世代に関しては魔眼が出現しなかった。


3世代ぶりの魔眼の持ち主、それがシータ・ヴァイオレットだ。


シータの持つ魔眼はヴァイオレット家に伝わる魔眼とは少し異なる。


希少な魔眼の中では比較的にポピュラーな魔眼。


魔力眼だ。


人を見ればどの程度の魔力を持つかがおおよそ掴める。


魔術を見ればその魔術の性質を理解できる。


そして人と目を合わせればその相手の魔術刻印数や種類、性質、それらを理解できる。


ロイが部屋に入るなり、後ろからついてきた護衛が異常な魔力の持ち主とすぐにわかった。


異常という言葉では生温い程の魔力量。


シータの目にはリリィが垂れ流している魔力が学院を埋めるかの如く広がっているように見えていた。


「どうしてこの魔力量を持ちながら、秘匿しないの?いや、魔眼の持ち主がいることを知らない...?」


極め付けはロイにかけていた中級結界だ。


それ自体も素晴らしいが、問題はそこではない。


魔眼の持ち主であるシータが魔術の存在に気付けなかったのだ。


魔力は抑えれば、秘匿できよう。


しかし、魔術は違う。


発動させたならどうやっても痕跡は残る、なんせ魔力を使用しているのだ。


だが気付けなかった。


それはどのような手法だろうか?


他の貴族になんて絶対に手出しさせない。


ワタクシの目的のために...





放課後


シータさんの馬車に乗って自宅へと帰ってきた。


こんな良いクラスメイトがいたなんて...とはいえロイ兄はまだまだ危うい状況。


どうにかロイ兄を守ってもらえるように味方になってもらえないかしら?


なんて下心を持ちつつ私は作る。


作る。作る。作る。


なにを?当然大量のご飯だ!


やきそばぱんに各種パスタ


お土産ようにナポリタンドッグも用意して、デザートには試作品のプリンも用意している!


これはまだロイ兄すら食べてない秘密兵器だ!


やっぱり女の子は甘いもので落とすべき!


「お待たせしましたー!どうぞお召し上がり下さい。」


ケビンは昨日の一件で調べ物に王都へ行き、ヘレンもそれについてく形で家を空けていた。


やはりショックではあったんだろう...


今は使用人しか家にはいない。


私がしっかりしないと!


「あら、とても美味しそうですわね、でもその前に少しお話しをいいかしら?」


あの中級魔術のことかな?それともライトヒールの無詠唱...


「ん?なにかあった?」


ロイ兄は早く食べたいのだろう、ナポリタンを見ながら話しを促す。


「リリィさん、貴方はロイ君の妹さんですわね?恐らくは昨日の一件で危機感を感じ、気持ち禁呪を行使した。呪文はグロウアップ。そうですわね?」


私は内心驚きつつもポーカーフェイスを装う。


が恐らく無駄だった。


素直なロイ兄は驚いた顔をしているし、呪文まで当てられたのだ。


確信があるのだろう。


上手くいかないなぁ、なんでわかったんだろう...



「なぜ?とロイ君の顔に書いてありますから答えたいところですが、そちらばかり暴かれるのも良くないですわね、まずはヒントから。このパスタのうち、リリィさんが作成したのはナポリタンと焼きそばパンですわね?」


...これはなにかの魔術だろうか、魔術教本に載っていた魔術しかわからない私には彼女がなにを行使しているかわからない。


しかし正解だ。


「その通りです。魔術刻印による無詠唱魔術を使用して判別した、という事ですか?」


シータさんはやっぱり、といった顔をすると答えてくれた。


「リリィさん。魔眼、というのをご存知ですか?ワタクシにはそれがありますの。見ただけであらゆる魔力量がわかり、魔術を見ればその性質がわかる、人を見れば当然魔力量がわかりますし、なにより魔術刻印数やその種類等もわかります。今のはこのお料理を魔眼で魔力量を確認しただけですわ」


!!


とんでもない事をいう、つまりはクラスに入った時に私の正体は分かっており、尚且つそれが禁呪である事も...。


「単刀直入に言いますわね。ワタクシはリリィさん、貴女に協力を要請しにきたんですの。貴方はこの国で唯一の光魔術の超級術師。他に可能性のある方はいません。どうかお力をお貸し頂きたいわ。勿論見返りは求めるだけご用意します。」


あれ?


ある意味では私に都合がいいのでは...?


「ダメ!ご飯を食べたいっていうから連れてきたのに、リリィを利用しようとするなら話しが違う!」


内容を聞こうとした私より先にロイが話してしまった。


「それに関しては謝罪致しますわ。しかし、状況的にお困りなのはそちらも同じでしょう?ワタクシと手を結んで頂ければお役に立つと断言しますわ。これでも公爵家の跡継ぎですもの」


ロイ兄が何か言う前に私が話す。


「謝罪は受け取りました。まずはお話しをお伺いしましょう。」


ロイ兄はこっちを見てなにか言いたげだがあとでプリンで機嫌をとろう。


秘密兵器はきっと男の子でも効果はあるはずだ。


「ありがとうございます。それでは、ワタクシの曾祖父様を救って頂きたいんですの。曾祖父様がかかってる病...いえ、あれは呪いですわ。」


呪い?


浄化系の魔術なら上級までは習得している。


それで対応できるなら...いや光魔術の魔術士が少ないとはいっても教会には上級まではいるはず。


公爵家ならば上級魔術士を呼べたのではないか?


とすると必要なのはそれ以上かな?


「レベル4、あるいは5以上の光魔術が必要という事ですか?」


シータさんは笑み崩さずに言った。


「驚きましたわ、ロイ君の妹さんはまだ2才にもなってないと記憶しております、グロウアップにて成長されたとしても精神面に関してはそのままのはず。予想以上に理知的で驚きましたわ」


ええまあ。

中身は貴方より年上ですので、とは言えない。


「その通りですわ。必要なのはレベル5、天級の光魔術。呪文はディスペルと言います」


レベル5は天級というのか。


天級呪文ディスペル...聞いたこともないけど。


「ワタクシはその詠唱を知っています。そしてディスペルでグロウアップの状態も解除されますわ。」


!!!


え!?


なんで解除したい事を...


「驚く必要はございません。いずれ死に至る呪いの解除方法を知りたいと思うのは至極当然ですわ。そしてこの呪文は我がヴァイオレット家によって秘匿された呪文。他では決して見つかりません。」


断る理由はない...かな。


ただ今の適性レベルでは恐らく使えない。


なにから聞こうか...


「シータさんの曾お爺様は、どんな呪いをうけたの?」


悩んでいるとロイ兄が聞いていた。


あぁロイ兄はこういった話しになれば必ず協力したいというに違いない。


「石化の呪いですわね、そしてその呪いは子にも受け継がれる。ワタクシの左足を見て頂いても?」


私は即座に頷く


ロイ兄も頷く


するとシータさんは靴を脱ぎ、左足をみせる


左足のかかと付近までもが石になっていた。


「曾祖父様は偉大な魔術士でした。かつてはこの大陸で最高の魔術士と呼ばれるほどの、時の魔術の使い手だったそうですわ。」


時の魔術


たしか基本属性と別の闇、光、時の3つの魔術士が絶対数が少ないという話しだったはず。


「かつての大戦を終わらせた英雄、とワタクシは聞いて育ちました。ですがそれには大きな代償を伴いました。一族全てが生まれてから30年で全身全てが石になる、といった呪いですわ」


一族全て!?


規模がでかすぎる。


それは私の力で治せるのだろうか?


それを治せる呪文ならば確かにグロウアップの呪いなど打ち消せそうだけど。


「何故呪いにかかったのか、時の魔術に関してはヴァイオレット家には多数の呪文、効果、副作用等が書物で残されていましたがわかってはおりません。ディスペルは曾祖父様がかつて調べ上げ残して頂いたという呪文ですわ。」


理解はできた。


恐らくはシータさんの秘密でもある石化の呪いまでも話した事から真実だと思う。


でもこれは...


「他の貴族の方や公爵、王家の方に協力は要請できないのでしょうか?」


恐らくはこのまま進めばヴァイオレット家は消える。


それも公爵家。


国にとっても一大事なはず。


「できませんわね、かつては確かに大戦の英雄として名を馳せた一族ではありますが、それも魔眼と曾祖父様がいてこそ。現状では協力を要請したところで、他の貴族は公爵に成り上がるために足を引っ張るという可能性の方が高いですわ。何より、呪われた一族ですもの。原因も不明な以上出来る限り関わりたくないはずですわ。」


なんてこと...このシータさんは1人でこんな問題に立ち向かっていたのか。


助けてあげたい。


「それが国の...王族のする事か!困ってる人を見殺しにし、何が王だ。そんなの...」


ロイ兄が大声をあげる。


でも


「ロイ兄、それはダメ。思っても言ってはいけない。」


ロイ兄は正しく、優しい。


でも王族が呪いを受けたら今度はこの国が潰れる。


正しいけど、間違っている。


「シータさん、僕で出来る事なら全力でお手伝いするよ!だからお願い、絶対に呪いに負けたりしないで!諦めないで!」


ロイ兄ならそう言うと思った。


私に出来るかはわからない。


でも


やろう!


こんな人を救いたいと思って得た力なのだから。


「ロイ兄、私も協力する。シータさん、私に出来る事なら出来る限りやります。一緒に呪いを解きましょう!」


シータさんは変わらず微笑んだまま言った


「まだワタクシがそちらに対しての報酬をお伝えしていませんよ?それでもやるというんですの?」


ロイ兄が即答した。


「困ってる人がいたら出来る限り助けるんだ!お父様はそうやって助けた人に支えられて商売がうまくいったと言っていた。シータさんは困ってるじゃないか。なら助けるよ!それに、リリィの呪いを解けるかもしれない呪文を教えてくれるんだ。それだけでも十分な報酬じゃないかな?」


確かにいつもケビンは言っていた。


出来る限り人を助けなさい。


困ってる人がいたら話しを聞きなさい。


でもこうも言ってたはずなんだけどなぁ。


自分の手に負えないと思ったら周りの人に相談しなさいって、あぁロイ兄は私がいるからもう相談したのか。


私もロイ兄が居たから相談したってことで。


「困った兄弟ですこと。こちらの用意していた報酬の数々、話術でもって説得する気でしたのに。これでは用意したこちらの苦労も水の泡ですわ」


そう言ってシータさんは今日1番の笑顔を見せた。







「昨日、ロイさんのご自宅をワタクシの家の者に監視するよう命じたところ、他にも3組程が監視していたそうですわ」


え?


監視?


昨日?


あっ


アレスか。


それにしても3組...


「ワタクシは毎日強大な魔力に包まれている昼食を持ってくるロイさんの家にどのような魔術士がいるか気になってましたの。とはいえ、魔力には害意や悪感情はありませんでしたので普通に美味しく頂きましたが。」


ごめんなさい。


ロイ兄の件でアレスと、恐らく私の魔力が原因で他にも目をつけられた、ってことだよね。


「まずはリリィさんには魔術についての常識からお伝えしていくべきでしょう。まぁそのおかげでワタクシもリリィさんに出会えたのですからお相子、という所でしょうか」


はい。


すいません。


「リリィさんの魔術刻印は異例ですわ。その年齢でそれだけの数を揃えるのは努力だけでは不可能です。当然その魔力量も。どういったスキルをお持ちで?」


なるほど、なにかしらのスキルで魔術刻印を刻んでいる、と解釈したのか。


でも私にもわからない。


「正直にお伝えします。なんでかは私にもわかりません。スキルは持っていますが、魔術刻印を複数得て、レベルが上がった後に習得したものです。何故かはわかりませんが、適性レベル内なら一度詠唱すると今のところ必ず魔術刻印が刻まれます。」


そういうと初めてシータさんの笑みが崩れた。


「スキルではない!?一度詠唱すれば魔術刻印が刻まれる!?そんな...でも納得もしましたわ。その年齢でその刻印数は異常ですもの。ワタクシも刻印はありますが、5年かけて初級をようやく1つですわ。」


シータさんも刻印持ちかぁ。


実は他の刻印持ちと会うのは初めてかもしれない。


5年、努力したんだろうなぁ。


「そこでシータさんにお願いがあります、超級の光魔術の詠唱を複数揃えて頂けませんか?現在のレベルでは天級を扱う事はできません。ですが超級の魔術刻印を複数刻めば「あるいは」」


「道は開きましたわね。しかし...光魔術の超級の詠唱、超級クラスになれば間違いなく秘匿されますし、その上で光魔術は教会が多くの実権を握ってますわ。そうなると過去の遺跡などの発掘か、ダンジョンに潜るといった方法が有力そうですわね。」


ダンジョン?


何故ダンジョンなのだろう。


「ダンジョンにいくの!!?」


ロイ兄がキラキラした目で言っていた。


そうだよね、男の子はダンジョン好きだよね。


わかるよ、私も元男の子だもん。


「え、ええ。ダンジョンには魔石や魔剣等といったものが常に生産されますが、詠唱付きの魔術書といった物も多く発見されていますわ。恐らくは曾祖父様の残したディスペルもそのダンジョン産だと思われますわ。」


おぉ!!


魔剣に魔術書!


「とはいえ超級クラスにもなると深層まで行かないと厳しいかとは思います。レベルも上がり、財も入り、目的の物も入る可能性もある。効率はいいのですが、かつてのヴァイオレット家ならいざ知れず、今の没落寸前の形だけの公爵家にそこまで派遣できる実力者を複数用意はできませんわね。」


ですよね。


私攻撃魔術使えないしなぁ。


接近戦できないし、難しいか。


「面白い話ししてるじゃねえか!聞かせ...リリィ?」





ーーーそこには復帰したのであろうヴォルフさんが立っていた。

ヴォルフさんのターン!

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