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ポーションを作ります!

宜しくお願いします!

ヴォルフさんに食べて貰いたくて作り出したパスタ。


ソースのバリエーションも増え、あれから一週間毎日食卓に出続けている。


そして、他国レシピ本から麺の存在を優先的に試しているアーデ家の誇るコック


ポールさんがうどんも完成させた!


サラダうどん的ななにかは非常に美味しかった!


実はサラダうどんは私も初めて食べるのでこれが日本のに比べて的な感想はなかった。


普通に美味しい!


ただ一点


醤油がないのが悔やまれる...


醤油があれば釜玉うどんが


味噌があれば味噌煮込みうどんが


あの神の調味料さえあればもっともっと色々作れるのに。


まあ無いものは仕方ない。


そんな事よりヴォルフさんだ。


ヴォルフさんに食べて貰いたくて作り出したパスタだが未だに食べてもらえてない。


理由はヴォルフさんが冒険者を休業しているからだ


ケビンに理由を問いただしたが、銀狼族は一年のうち約3週間程休眠に入るそうだ。


まるで熊のようだ。


しかし休眠期が終われば顔は出すだろうとのことで私は大人しくその日を待つことにする




そういえばあの事件から新しい魔術の練習もしなかったなと思い、魔術の幅でも広げようと思い立った。


まずは現在のステータス確認からだ。


初級の光魔術はほぼ刻印したためすぐにでも確認可能だ。


「ステータス、オープン!」


リリィ・アーデ

LV16

光魔術適性LV4

水魔術適性LV1

土魔術適性LV1

スキル

魔力操作LV4

魔術付与LV1


えぇ!!?


なんで!?


基本のレベルが上がるのって魔物を倒してーとかじゃないの!!?


光魔術適性もいつのまにか上がってる...


なによりスキル!


スキルが増えたのは嬉しいんだけど、いきなりLV4ってどういうこと??


ダメだ...これは自己解決できる気がしない。


困った時のケビンパパだ!




ケビンは書斎で寛いでいた。


声をかけるととりあえずステータスを見せて疑問を投げかける。


「これは...凄いね!もうパパのレベル抜かれちゃったよ!リリィは凄いなー!天才だなー!」


言いつつケビンのナデナデラッシュが始まる。


違う!そうじゃない!


なんでこうなったかが知りたいのだ。


「レベルって魔物等を倒した時に上がるものなのではないですか?」


「そうだよ。一般的には魔物等を倒して一定の経験を得るとレベルはあがるね。だけどそれだけじゃないさ。剣術だって練習すればするほど上手くなるだろう?魔術も一緒だ。繰り返し練習するうちにレベルはあがる。勿論スキルを得るためには相応の練習必要だし、スキルレベルをあげるのはさらに練習量はあがるよ。」


確かに。


だけど納得できない部分が多すぎる。


「リリィは光魔術の初級をほぼ全て魔術刻印として身体に宿したよね?魔術刻印はただ魔術の発動を簡易にするためだけのものではないよ。刻印があれば詠唱に比べてカットできる部分が多くなるから消費魔力が大幅に減る。刻印があればその魔術は肉体に宿している形になるから魔力絶対量が増加する。絶対量が上がった事によって肉体が活性化して基本のレベルが上がる。光魔術のレベルが上がったのは光魔術の魔術刻印を宿した分だけ成長したんじゃないかな?他の魔術適性は上がってないだろう?」


なるほど!


って魔術刻印凄くない?


「スキルの魔力操作は適性レベルがあっても魔力操作がないと一定の発動しかできないよ。光魔術でいう所のライトとかでリリィはより明るくしたり、逆に光を弱くしたりって出来るよね?それが魔力操作。仮に魔術適性のレベルが3で、魔力操作のレベルが2だとレベル3の魔術の操作は出来ず、一定の発動しか出来ないってこと。恐らくリリィはステータス確認しばらくしてなかったからないと思ってただけで、魔術使い出した時にはこのスキルを得てたんじゃないかな?」


確かに強弱はつけられる!


「では魔術付与のみが今回新たにレベルアップした事で得たスキル、ということですか?」


「そうだね!それにしても魔術付与かぁ。面白いスキルを得たね。少し試してみようか?」


「はい!」


この時の私はまだ知らない。


魔術付与を得た事で大きな事件に巻き込まれることを。





「簡単にいうとね、物体に魔術を付与するスキルなんだよ。火魔術を石に付与すると火薬に、水魔術を剣に付与すると切った物を凍らせる、みたいなのが代表例かな。」


なるほど。


なら...


「私の場合は光魔術なので水に付与して回復薬みたいなのを作成できる、ということですか?」


ポーションが作れる!


「そうだね、実際に聖水と呼ばれる回復薬はあるんだけど、光魔術の適性持ちは少ないのと、光魔術適性持ちで尚且つ魔術付与のスキル持ちとなるとさらに少ない。一般市場にはまず出回らないね」


これがあれば冒険者の人ももっとリスクを減らせるのではないか?


ケビンがこないだの瀕死の大怪我もなんとかできるのではないか?


これは凄いスキルだ!!


「では早速作っていいですか?この水にハイヒールを!」


「リリィ、流石にハイヒールは無理じゃないかな、まだレベル1だから初級魔術のライトヒールがいいよ。熟練した魔術付与持ちでも成功率は1/10位って聞くしね。」


そうなのか!


ライトヒールか...あれじゃそんなに傷は癒せないんだよなぁ。


まぁまだ始めてすらいないのだ。


焦らず少しずつやっていけばいい。


「はい、それではこの水に「ライトヒール」」


水が白く発光した。


そのあとは...普通の水のように見えて少し水が輝いている?


「じゃ、試してみよう。パパの指先にちょうどささくれがあって痛かったからこれにつけてみるね。」


ささくれ...


実際に指に数滴垂らすとみるみるささくれは治っていった。


成功だ!


「初めてで成功かぁ。やっぱりリリィは凄いなぁ。」


なでなでラッシュは止まらない。


その後10回ほどライトヒールを付与するとどれも成功した。


同じく初級魔術のライトキュア(解毒魔法)も試すもこちらも同じく水が淡く発光していたがこれの効果を試す事は出来なかった。


自宅に毒なんてないのだ。


「うーん。全成功、かぁ。これは魔力操作のレベルが高いからなのかなぁ?それにしたって100%成功できる魔術付与士なんて聞いたことがないなぁ。」


実感はないが、失敗する気もしない。


なんでか普通にできる気がする。


「パパ、中級のヒールを試してみてもいい?」


「いいけど、多分それは失敗するよ?魔術適性のレベルと魔術付与のレベルが釣り合ってないと成功しないってのは有名だからね。」


そっかぁ、でもなんでかヒールなら成功する気がする。


試しにやってみると


「あ、あれ?成功してる...リリィ、ステータス確認できるかい?」


「ステータス、オープン」


LV16

光魔術適性LV4

水魔術適性LV1

土魔術適性LV1

スキル

魔力操作LV4

魔術付与LV4


「「えぇ!!?」」


もう訳がわからないよ...





ケビンが一生懸命考えた結果、こうだ。


スキルを得てから使用してなかったためレベル1だったが、魔術刻印と魔力操作のレベルが高く土壌としては既にレベル4まで出来上がっていたのではないか、実際に使用してそれが表面化されたのではないか。


という事だった。


その理論でいくと魔術関連のスキルを新たに得たら大抵レベルが引き上げられるのではないだろうか?


これは、チートだ。


なんだか申し訳ない気持ちになってくる。


けどケビンにお願いしたい事があるから好都合でもある。


「お父様、お願いがあります。お父様の商会でハイヒールの聖水を出来るだけ手広く、かつ初級の冒険者にも行き渡るようにある程度安価に販売して頂けませんか?」


こないだの怪我を見て私は思ったのだ。


あんな痛い思いは誰にもして欲しくないと。


前世であれほどの怪我を見た事はない、けれどこの世界では日常なのだろう。





ーーーケビンは珍しく考え込む。


「リリィ、この聖水は販売できるだろう。そして自ずと飛ぶように売れ冒険者にも行き渡るだろう。だけどハイヒールはだめだ。売るならライトヒールがメインで上級冒険者向けに高価な値段でヒールがいいだろう。ライトヒールも決して安価では売らない。」


なんで?


ケビンはきっと良いって言うと思ったのに。


「何故ですか?もしハイヒールが安価で手に入れば死傷者はぐっと減ります。怪我で苦しむ人を、冒険諦めなければいけなかった人を減らす事ができます!」


「だからこそだよ。いいかいリリィ、仮にハイヒールが簡単に使えるようになれば冒険者は今までより遥かに深い階層へダンジョンを進むだろう。そして強くなり新たな魔具や武器を手にいれるだろう。」


ケビンが言いたい事がわからない。


死ぬ人が減るのだからそれはいい事なんじゃない?


「それはいけないことですか?お父様は冒険者は皆死ねと仰るのですか?」


ダメだ、熱くなるのが止められない。


だってケビンもこないだ瀕死になったばかりなのだ。


傷を負う人の気持ちを何故わかろうとしないのか?


「戦争になるからだよ!」


ケビンは私に対して初めて大声をあげた。


私はハッとなり黙って聞く。


「いいかいリリィ、これはとても素晴らしい物だ。リリィの傷を癒したいという気持ちもとても大切だ。だけどそうやって死を恐れずに、武器を手に入れ強くなり、行き着くのは本当に素晴らしい世界かな?」


ケビンは続ける


「パパもそういう世界なら喜んで売ろう。タダで配ったっていい。だけどね、リリィ。いい人ばかりではないんだ。必ず悪用しようとする人がでる。いい人だって利益がでれば悪い事をするかもしれない。皆のためだって言ってやってはいけない事をするかもしれない。パパだってそうかもしれない。」


ケビンは優しい顔になり、尚も続ける


「光魔術は貴重なんだ。適性持ちが少なく、魔術付与持ちならもっと少ない。今はまだ世間に知られてないからいいが、いつかきっとリリィは注目される。それも世界にだ。そうなったら1番危ないの誰かな?パパはリリィに危ない目にあって欲しくはないよ。そんな事になるくらいならパパはこの聖水は販売しない。どれだけの利益になろうともね。」


私の目からは涙が溢れていた。


私の考えは浅はかだった。


ケビンは正しく、強い大人だった。


そして私の立派な父親だった。


「お父様、ごめんなさい。私の考えが間違っていました。酷い事を言いました。ごめんなさい。」


私は繰り返し謝った。


どこかでケビンを軽く見ていたのかもしれない。


こんな偉大な父親を。


自身が儲けようとすれば出来るのに


娘を最優先で考えてくれる父親を


私はどこかで父親として見れてなかったのかもしれない。


私は泣き止むまで繰り返し謝った。


「リリィは賢いからね、わかってくれて良かったよ。リリィの考え自体は正しいんだよ?こんなに小さいのに立派だ。父さんは小さい頃は他人の事なんて考えられなかったからなぁ。」


私はなにも返せない。


「でもライトヒールの聖水は販売してもいいと思うよ。ギルドに話をつけてヒールのも緊急用に月に2、3本だけ売るとかもいいと思う。それだけでもずっと違うはずさ!」


私は顔を上げた


「本当に?それで戦争は起きない?」


ケビンは笑って答えてくれた


「勿論だとも。販売数は少なくするし、冒険者ギルドや危険な仕事の人を優先する。ライトヒールだって市場には出回らないし出ても非常に高価だ。それが高いけど初級冒険者でも頑張って貯めれば手が出る、位の値段にすれば大事な時にきっと使ってくれるだろうしね。きっとリリィの作った聖水で沢山の命が救えるよ!」


「お父様、ありがとう!」


私はまたもや泣きながらいう。




「あらあらぁ今日のリリィは随分泣き虫だこと。珍しいわねぇ。」


振り向くとヘレンがいた。


笑顔でこちらを見ていた。


多分最初から聞いていたのだろう。


恥ずかしくて顔をケビンにくっつけ見せない。


「これまた珍しいわねぇ、でも貴方、申し訳ないけれど大事な話しがあるの1階にきてもらえるかしら?リリィもよ」






不思議に思い、1階に降りるとそこには


ーーー顔中を腫らし、身体には沢山の傷を負った泥だらけのロイがいた。



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