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戦いません!

全然進みません!

でも宜しくお願いします。

あれは...王家の紋章


ワタクシは気付くとすぐさま片膝をつき顔を伏せる


遅れてポチ、リリィと同様の所作をとり他2人は「なにしてるの?」と言う始末だ。


空気を読んで下さいまし!!


王家の紋章なんて学院で最初に見る物でしょう!?


もう遅い


あちらが気付きこちらに近づいてくる。


あぁ、あれは現国王[シーゲル・ウル・ブロキア]様だ。


現国王がなぜ...いや理由は分かっている。


80階層の件でしょう?


ですが王都からここまでの距離をどうやって...


「面を上げよ。朕は国王シーゲル・ウル・ブロキアである。ふむ、皆良い面構えだ。それもパーティに公爵家の者が2人もいるとは喜ばしい限りだ」


何故...


恐らくはレベル20前後


充分高レベルとはいえる。


ガデス様と同等のレベルでしょう。


ですが...この全てを見透かすような空気


全てが国王に従っているような魔力。


一体...


「ん?もう感づいたのか。シータ・ヴァイオレット。哀しき魔眼の主よ。心配せずとも良い、其方も含めここにいる誰にも朕の魔力は効かぬ安心せよ。」


心を読める!?


「朕は王家に継承されしユニーク持ちでな?国王のみが持てるそのスキルは全てを見抜き全てを従わせる。例外は公爵家の者とレベル40オーバーの者には効かぬという事だな。今、朕が見れているのは其方らのレベルとスキルのみ。従わせる事も全てを見抜く事もできぬ。心は読めるがな?」


恐らく嘘ではない...


けれども何故出会うなりそのような大事な秘密を...


「嘘は好かぬ。そして必要だから伝えたまで。これから願いを伝え頼み込む身だ、隠し事があり見透かされたとあっては交渉も上手くいかぬ。そうであろう?」


不安だ...気取られぬように他の事を考えましょう。


いや、ダメだ


目の前の光景を見たら誰でも不安になる!


ロイ、皆の真似をして膝をつくとこまではいいですわ。


両膝と付いてなければね!


コロ、貴方論外ですわ!


何故仁王立ちですの?


とりあえず座りなさいまし!!


「ほうほう、ヴォルフ・フェルザード。其方面白い呼ばれ方をしておるな?かつての英雄、獣王の血が泣くぞ?」


コロがこっちを見て言い放つ


「縦ロール!何考えてた!余計な事思うんじゃねーよ!」


「不可抗力ですの!それよりも目の前にいらっしゃるのがどなたか理解できてるのでしょう?まずはお座りなさい!」


はっ!


陛下の前でこのような言葉使いを...


「ハッ!構わぬ。其方らのような英雄に言葉使いを求める程朕の器は小さくないぞ?座らずともよい。朕のスキルが効かぬ者は貴重だ。好きに振る舞うが良い。まずはギルドに席を設けておる。内緒話しはそこでしようぞ?」


ウインクしている...


40前後といったところだがなかなかに...


チャーミングな陛下ですわ!


チャーミング、これはセーフですわよね?










「はっはっは!今は人払いしている、思う存分話して問題ないぞ?」


豪快に笑うのはガデス様


話せる訳ありませんの!


この国のトップが目の前に...


「では、王様は僕の心も読めたんでしょうからもうわかってますよね?僕はどうなるのでしょうか?」


ロイ!!?


貴方なにを!?


すぐさまにポチ、コロ、リリィが立ち上がる


「良い良い、警戒する必要はない。朕は今のところ何かするつもりはない。かつてこの国を、大陸中を恐怖に陥れた吸血鬼の呪い、確かに危険だが。今は落ち着いているし危険もない。そうであろう?」


かつてこの大陸を恐怖に?


「ふむ、まずはその辺りから説明しようか。朕は王家に代々継承されしユニークスキルをもつ。継承されるスキルは他に聞いたこともなければ見たことも無い。唯一絶対のスキル、それがロード・トゥ・キングだ。」


継承されるユニークスキル...


「このスキルを継承されるのは王になった時。そしてかつての王の記憶も継承される。故に、その魔剣の正体も見抜けるし、ケルベロスの事も知っている。ギルドの歴史は300年でも、王家の歴史は1000年だ。朕のみが知る歴史もある。」


え?


このブロキアは建国300年のはずでは


「建前でそうなっている。一度は滅んでいるからな。シータ・ヴァイオレット。其方も公爵を受け継ぐ際に聞いたであろう事実だ。前倒しになったな?お家の復権は確実だろう、素直に祝辞を述べさせて頂こう。」


そこまで読めるのであれば隠し事は一切できない、と思うべきですわね。


恐らくは無意識の中の記憶すらも読める。


「ふむ、周りの評価通り頭の回る娘だ。その通りである。話しを戻すか。その魔剣はかつての勇者の聖剣だ。最強最悪のヴァンパイアを倒しきれなかった勇者は聖騎士、賢者、聖女、精霊の力を借りて自らの聖剣に封印した。それが魔剣ブラドだ。」


称号持ちが5人...


「ケルベロスよりも格上の存在を封じたのだ。代償はあった。賢者以外は全て死んだ。その賢者こそヴァイオレット家に今も眠るマルコ・ヴァイオレットである。シータ・ヴァイオレットの曾祖父であるな」


!?


おかしい。


いくら曾祖父でも300年以上昔に存在してたわけがない。


「かつての封印の影響だ。リバウンドで他の者が死んだのになんの影響も受けないわけがなかろう?時から外れる呪い。要は不死身だ。そして石化したのには別の理由がある。」


別の理由


ならば陛下がいらっしゃったのもそれが原因?


「まあその通りだな。シータ・ヴァイオレット。呪いの解呪はもう少し先にして貰えぬだろうか?これが酷い頼みだとはわかっている。だが、今その呪いを解けばこの国は滅びる運命だ。朕はそれを止めるためにきた。」


そんな...ようやくお母様に...


いえ


もう少し先というならばなにかあるのでしょう?


方法が


「ふむ。これは便利だな。これほど頭の回る者が朕の国の重鎮になるのだ。次の世も安泰だな。」


「光栄ですわ。」


たまには口も使わねば失礼にあたる気がした。


今更感もあるが、思ってしまったのだ。


口にしておいた方が良いでしょう


「マルコのかかった呪いは石化、しかしやられっぱなしでは終わらなかった。自身も魔術で相手を時の牢獄に封印した。本来は自身でも扱いきれぬ魔術で敵を封印。本来それは数分と持たぬはずだった。しかし今も縛り続けている。何故か?扱った本人もまた石化の呪いで縛られているためだ。」


つまりは曾祖父様が復活すると封印が解け


世に出てしまうから、という事ですわね。


「うむ。それも一度見逃せば次はどのように攻めてくるかはわからぬ。マルコとて力を蓄えた奴に対して勝てるとも限らぬし、戦場は間違いなく朕の国だ。被害はどの程度になるか...最悪滅ぶ未来が見える」


未来が見える...


陛下スキルは未来まで!?


「全て確定した未来が見えるわけではない。多数分岐した未来の中で色濃い物がいくつか見えるだけ。場合によってはそのどの未来にもならぬことはある。そしてこのまま進めば最悪の未来にたどり着くと朕のスキルが示しておる。故に頼むのだ。この国の王として。奴を...魔王ヴェルガ・フェルザードを殺してほしいのだ。」











ヴェルガ・フェルザード


かつての大戦の英雄であり


人族に侵攻する魔族を追い返した獣王


その後ブロキアの公爵家の1柱になるも


王家に翻し、内部分裂を起こした


現在は王家に残った側の一族のみが国に残り他はどうなったか不明の元公爵家


現在はその騒動の件で貴族位を返還して国に残る古き一族


その後その穴を埋めたのがブレイザード家


そうワタクシは歴史を学んでいる。


その獣王が魔王で曾祖父様の、一族の敵?


「ヴォルフ・フェルザード、其方にはなんの非もない。血で人を見下す下衆ではないぞ?だが其方には酷な話しになるな。」


コロ...


「別に...俺にとっても仇みてえなもんだ。むしろ俺がやる。気は使わなくて結構だ。」


陛下は頷くと話しを戻す


「ヴェルガはこの国の英雄だ。それは今でも変わらぬ。だが、力を使い過ぎたのだ。奴のエクストラスキル獣化をな。ヴォルフ、この力は強大だが決して使うな。同じ道を辿りたくないのならば。」


獣化が原因?


一体...


同じエクストラスキルという事は、一族限定のスキル!?


それは陛下と同じ、継承されるスキル!?


「似てはいるが、厳密には異なるスキルだ。フェルザード家が神獣フェンリルの末裔、という話しは聞いたことがあるか?あれは事実だ。」


神獣フェンリル


神話の時代


神と同列の力を持つとされる獣


それが神獣


お伽噺の中の存在かと思ってましたわ。


「獣化は神獣の末裔に与えられしスキル。一定のレベルに到達した際に得られるスキルだ。同じエクストラスキルでも一線を越えた力が得られる。ロイが持つ鬼化と同様にな?」


ロイ!?


ではロイもいずれ...


「先読みしすぎである。今は問題ない。まだ1段階であろう?下級吸血鬼よりもさらに下の力しか得てないはずである。そのレベルならば問題あるまい。」


良かった...ですが2度と使わせませんわ。


「ふむ。それが良いであろう。話しを戻すぞ?獣化や鬼化は段階を経て力を得る稀有なスキルである。第1段階はそこまででもない。エクストラスキルを得るレベルまで辿り着いているのであれば問題ない。」


だが、と区切り陛下は続ける


「第2段階、第3段階と力は強大になる。第5段階で神の如き力を得られるというのだからその力の強大さはわかろう?かつての大戦でヴェルガは第3段階まで使用した。」


ヴォルフ...


「この時公爵となったヴェルガだが最初は問題なく見れた。だが時折意識がなくなり暴走する。しかし自身には記憶が残らず、周りも獣化の影響と知っていたため本人には伝えなかった。本人に気づかれぬように周りが隠蔽したのだ。ヴェルガが獣化を使用しなければこの国は魔族によって滅ぼされたやもしれぬのだ。誰が責めれよう?」


この話しは重すぎる。


ヴォルフには酷すぎる。


ワタクシは生まれてからずっと知っていた。


覚悟があった。


これはそれよりも尚も重く、哀しい


きっとこの続きは...


「そして日に日に暴走が続き、やがて一族を滅ぼしてしまう。そして本人の意識が戻った時、目の前には自身の妻や子の死体があった。それを自身が行った事に気付いた時、ヴェルガは獣に堕ちた。」


そう...


やはり内部分裂などでは無い。


現実はもっと残酷。


英雄を想う一族


その一族を根絶やしにしたのはその英雄本人


なんてこと...


「陛下、もうそのお話しはここまでに「縦ロール、気持ちは嬉しいがこのまま聞かせてくれや。大事な話しだ」...失礼しました」


コロ...


「そう、残酷な話しだ。これをその子孫たるヴォルフに聞かせる朕もまた残酷だ。だが頼みをする以上偽りは述べぬ。ヴォルフの力もまた必要なのだ。」


陛下は続ける


真っ直ぐにコロを見て


「ヴェルガは獣となり、各地を襲った。沢山の街が滅び、マルコと討伐隊が派遣された。マルコはヴェルガの友人だった。マルコは非情になりきれぬ男だ。殺しきれず、油断をして逃亡を許してしまう。」


曾祖父様。


無理もない。


もしワタクシがリリィを、ロイを、ポチにコロを殺せと命じられてもできませんもの。


「しかしその結果がさらなる悲劇を呼ぶ。人の大陸を離れたヴェルガは魔族の領地に足を運んだ。獣になったヴェルガは力はあっても知恵がない。マルコの力を恐れて力を求めた。そう、魔族だ。」


魔族?


魔族は大戦で滅んだと聞き及んで...まさか!!


「そう、魔族とは大戦終結時に停戦協定を結んだのだ。決して滅んではいなかった。その境界線を越えて魔族の領地に行ったヴェルガは魔族を襲い、食らった。そして獣王であるヴェルガは2つ目の称号を手にした。魔王だ」


ただ1人きりの魔族


それが魔王ヴェルガ


なんと哀しき存在でしょう...


「魔王となり、力も増し、別人格も芽生えた。それが現在のヴェルガだ。英雄ヴェルガとは異なる別の存在だ。マルコは魔王となったヴェルガに説得を試みるも別人格となっていたため通じず、また力も既にマルコに太刀打ちできる存在ではなくなっていた。マルコは敗れ命からがら王都に避難した。」


曾祖父様...


「ヴェルガは王都に向かっていた。その話しを聞いたフェルザード一族の生き残り、当時王都で王家の護衛をしていたヴェルガの弟はマルコに話しを持ちかける」


何をしたと仰るの?


「一族全体にかける呪いだ。奇しくもマルコにかけられた物と類似する呪いだ。一族全体の魔術を縛る呪いだ。それをヴェルガの弟にかけることによりヴェルガ本人も魔術を縛られる。そうして王都の残った精鋭とマルコで再戦する事になり、結果は精鋭は全滅。マルコはスキルにより一族全体が石化する。ヴェルガの弟は自身が死ぬ絶えるとヴェルガの呪いが解かれる事を恐れて子を成し、公爵家を降りて野に下った。それが銀狼族の真相とアーデ家の呪いの真相だ。そして現在に至っても尚、当時程の国力を取り戻せぬ真相だ。」


ワタクシとコロの...


なんて哀しい...


なんて残酷な...


なにがいけなかったのか


ヴェルガは人を、国を想い力を使った


銀狼族はそんな英雄を見捨てなかった


曾祖父様は友人を殺せなかった


国を守るため弟は兄を殺す呪いを提案した


「そう、誰も悪くはない。運命は本当に残酷だ。そしてヴォルフ・フェルザード。その弟の子孫にあたる。ヴェルフ・フェルザードの子孫よ。魔王ヴォルガの討伐に力を貸しては頂けぬか?」


コロ...


「なんで俺だけ魔術使えねんだって思ってたんだ。納得したぜ。呪いだってんなら仕方ねえやな?だけどよぉ、王様?そのヴェルガって魔王を倒せばマルコは呪いを解いていいんだよな?マルコが戻ればどんな呪いかもわかるし、場合によっては嬢ちゃんが治せる。ならいっちょ魔王狩りに行くしかないんじゃねえか?なあ!」


コロ...


あなたは強い人


わかってはいたけれど


でもねコロ


「哀しい時は哀しいって言っていいんだよ!やりたくない事はしなくてもいいんだよ?強がらなくってもいいの!ヴォルフさん、本当にいいの?」


そう。


コロは悲しさを押し殺している。


決していい暮らしではなかったろう


冒険者になり生活していたのだ


命の危険も何度もあったでしょう?


その原因を憎んでもいたでしょう?


この話しは救いがない。


誰も彼も苦しく


辛い話し。


「嬢ちゃん、心配させて悪いな。けどよぉ、俺がこれを拒否したらマルコはどうなる?ヴォルフの決意は?いつか呪いが解けて再びこの国を襲うかもしれねえ。ならできる力がある俺がやんなくて誰がやんだよ。誰もやらなくても俺は1人でもやるぜ?」


ロイが答える


「ヴォルフさん、1人で行かせると思う?僕も行くよ。シータの一族を戻さなきゃならない。ヴォルフさんの一族の名誉も取り戻さなきゃならない。そうでしょ?」


ポチが答える


「我も出来る限り力を尽くそう。なに、ロイと我がついていれば魔王など恐るるに足りぬ。一捻りにしてくれよう!」


ならばワタクシも答えねばなりませんわね


「ポチ?ワタクシも行きますわよ?ワタクシは当事者、一族を背負った一大事を他に任せ自分はなにをすればいいんですの?」


ワタクシが答えると陛下が言った。


「この未来は予知できんかったか...参ったのう」



陛下はリリィを見ている


「私...戦いたくない...ヴェルガさんは皆を想って戦っただけ。そんな人を...私...殺せません!」















リリィの戦闘拒否に陛下は頭を抱えた


この発言による最悪の未来が見えてしまったかのように...


最近1話に2-4時間当たり前になりました。

連休欲しいです。

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