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ズッ友です!

宜しくお願い致します。

我はなんと愚かなのだろうか


変われたつもりだった


あまりに自然にこの場にいれたから


勘違いしたのだ。


甘えていたのだ。


変わったつもりだった我はその実、なにも変わってはいなかったのだ...







ーーー「なんと良き香り!良き食感!そして感じた事のない甘さである!これは...これは!!」


父上がけーきとやらに感動している。


確かに美味い


なんだかフワフワしているし


中のフルーツとの相性も良い


だが我はやきそばパンで腹が満たされており、もう食えぬ。


いや、あの唐揚げがいけないのだ。


もう食えぬ、というタイミングで出されたのだ。


限界はとうに超えている。


ぐぬぬ...


ロイが羨ましいぞ...


母上よ、何故我に強靭な胃袋を授けてはくれなかったのだ。


「リリィ殿、大変申し訳ないがこれは保存は効くのだろうか?我は残念ながら満腹だ。しかしこれは食べたい。明日の朝まで保つだろうか?」


我は縋るようにリリィ殿に問いただす。


リリィ殿は笑顔で答えてくれる


「そうだよねぇ、いっぱい食べたもんね。うん!冷やせば1日は保つから明日の朝出かける前に食べるといいよ!私ももうお腹いっぱいだから明日にしようかな。太るし。」


なんと!


明日まで保つのか!


「今、なんて言いましたの?」


シータ嬢がリリィ殿に詰め寄る


後ろにいるリリィ殿の母上殿も真剣な表情だ。


「え、えーと明日まで...「違いますわ、最後の部分ですの」...太るし?」


シータ嬢は口を手で抑え、後ろに慄く


大袈裟な...


散々食っていただろう


何を今更とは思うが決して口に出さない。


しかしリリィ殿が困っている。


リリィ殿は何も悪くないのに...


「し、シータは細いからちょっと太った位で丁度いいと思うよ?ロイ兄もそう思うよね?」


リリィ殿はたまらずロイに助けを求める


ロイはこの戦場をどう切り抜けるのか?


「え?うん、シータは細いからね。今も綺麗だけどふっくらしたら可愛らしい感じになるんじゃないかな?でも太りたいなら魔術の使用を控えた方がいいのと考え事減らさないとね。」


ん?


「ロイ、どうゆう事ですの?わかるように説明して下さいまし」


シータ嬢はロイの両肩を掴み揺さぶる。


ロイは呑気にケーキを食べながら答える


「詳しくはリリィに聞いた方がいいと思うけど、なんでも糖分は頭の働きに作用する栄養なんだとか。魔術は勿論、考え事を沢山しているとどんどん糖分使っちゃうから太りづらいんだって。だからシータは細いんじゃないかな?頭いいもんねー」


シータはすぐさまリリィに向かう


「本当ですの?リリィ、何故教えて下さらなかったんですの?」


シータ嬢の笑顔がリリィ殿をまっすぐ見つめる


あれは恐ろしい。


ほらリリィ殿が震えておる。


これは助太刀せねばと思って前に出ようとするとヴォルフ殿が立ちはだかる


「アレス様、ここはぁ出しゃ張らねえ方がいい。シータ様は今かなりご機嫌斜めだ。大丈夫、ロイ坊がいる。なんとかならぁ」


ヴォルフ殿...


そうか


今は見届けるべき戦況か


「うむ、礼を言おう。我はまた間違うところだった」


リリィ殿どうかご無事で...







「すると主に運動で消化するものの魔術や考え事を多くすると糖分を消費するため結果的に身体に残りづらい、つまり太らないという事で間違いありませんわね?」


リリィ殿が小さく見える


「はい、個人差はありますがその通りです。そして寝る前に多く糖分をとりそのまま寝ると太り易いとの事ですので早くに寝るようでしたらその前に魔術の使用が好ましいかと。」


リリィ殿は博識だ。


あの歳でどうしてそこまでの知識を...


我とて勉学に手を抜いているつもりはないのだが...


「つまり、夜にリリィが特訓に付き合ってくれるならばワタクシは食べ放題ということで間違いないですのね?」


リリィ殿は否定したげな顔だ。


なんにでも限界はあろう、食べ放題はいかんだろ。


「そ、その通りです。ですが...「ありがとう、リリィ。これで思う存分食べれますの。あぁなんと幸せなのでしょう!これでこそケルベロスを撃破した甲斐があったというものですわ!」...はい。」


頑張れリリィ殿...


「リリィ殿、余からも1つ頼みがあるのだが聞いてもらえぬだろうか?」


ん?


父上?


「このけーきとやらは本来祝祭に出す物と聞いたが間違いないか?」


祝祭...?


まさか父上!


「はい。誕生日や祝事に出す物と聞き及んでおります。」


我が止めようとするとシータ嬢が先に声をあげた


「なるほど、皇太子様の成人の祝祭にお出ししたい、という事ですわね。名案ですわ、流石はガデス様。」


シータ嬢が止めない...


我は止めるべきと思ったが、なにか推す理由がある。


そういう事だな?


ならば様子を見よう。


「その通りだ、シータ嬢。王都に赴きこのけーきを作って頂きたいのだ。無論、作るだけでよい。当日持ち込むのは余だ。その間はアレスとアレクを護衛につけよう、王都を満喫するがよい!」


我!?


我よりリリィ殿のほうがお強いが...いや、万一荒事になった際には我が矢面に立て、そういう事だろう。


ロイが「いいなぁー」などと呑気にいう。


良いことなどなにも...リリィ殿と王都...


良いことだ!!


2人きりなら尚良いのだが...


シータ嬢がなにやらリリィ殿に耳打ちする。


するとリリィ殿はわかった、と小さく言った。


リリィ殿、耳打ちされている意味をわかっているかね?


周りに聞こえたら意味がないのだぞ?


「わかりました。ご満足頂けるかはわかりませんがこのお話しお受けします。」


ロイが僕もーと言った瞬間にシータ嬢が口を塞ぐ。


あやつは自分の状態をもう少し考えたらどうだ...


そうして来月のリリィ殿と我の王都行きが決定した。











父上が帰宅してから全員で再度話し合う事に


「リリィ、先程はステータスを見させるような事をして申し訳ございませんでしたわ。」


シータ嬢が開口1番に謝罪する。


あれには意味があろうが、まあ確かにされた方は気分は良くないだろう


「シータ、ありがとう。あれは僕のためでしょう?」


ロイは普段はポケーっとしているが、稀に賢しい部分をみせる


「僕のステータス確認をされないように先手を取った。ヴォルフさんのを見せなかったのも僕1人だけ見せないというのを疑われる要因を減らすため。リリィに注目を集めて僕の存在を薄めるため。だからリリィを王都に行かせるのも都合が良かった、でしょ?」


シータは微笑んで言った


「ええ、その通りですわ。さらに言えばロイには学院の1年に1回のステータス更新を誤魔化す必要があるため王都にはいけませんわ。勿論ワタクシも学院にいる必要がありいけませんの。」


リリィはヴォルフ殿を見て言った


「ヴォルフさんも一緒に王都に行きませんか?」


あぁ


本当にヴォルフ殿の事を...


「ダメですわ。手薄になったアーデ家を嗅ぎ回る連中はこの後莫大に増加するはずですわ。なんせダンジョン80階層をクリアした主導の家ですもの。ロイやワタクシは昼間はいない、ならばご家族はどうなるのです?コロにはそれを護衛して頂く必要があります。まあ明日ワタクシの家の呪いが解かれれば多少は融通が利く...かもしれませんが。」


ふむ。


それはそうだな。


リリィ殿は不貞腐れているが...


「嬢ちゃん、王都から帰ったらなんかお礼「膝枕がいいです!」...それ逆じゃねえか?」


リリィ殿はヴォルフ殿に一瞬で近づくと膝枕を要求していた


我も逆と思うぞ。


「いいえ、膝枕をして下さい。それでお昼から夕方までたっぷりと寝かせて下さい。いいですね?」


ヴォルフ殿は小さな声で「お、おぅ」とだけ答えたが時間指定まである


あれはやっぱ辞めでは済まされんぞ。








そうしてシータ嬢はリリィ殿の部屋に


ヴォルフ殿はケビンに護衛の確認に


我は今ロイの部屋にいる。


「友達と部屋でこうしてお泊り会は勿論、誰かを家に呼んだ事すらなかったんだぁ。嬉しいよ!アレス君!」


眩しい!


何故にこやつはいつも眩しいのだ。


いつだって正しくて、誰にでも優しい


この我にすら...


それに比べて我は...


「ロイは凄いな。今日も助けられた。礼を言う。それに比べ、我はまだまだだな。精進せねば父上に笑われてしまう。」


ロイはキョトンとしている。


「え?なんで僕が凄いの?凄いのはアレス君でしょ?」


我のどこが凄いというのだ...


「公爵家の家だからね、きっと厳しかったでしょう?お父さんに逆らうなんて今までなかったでしょ?ガデス様も驚いてたもんね。でも、僕らを庇って今まで出来なかった事をしてくれたでしょ?それって皆出来る事かな?」


我ができたのは逆らうだけだ


ロイのように機転を効かせることも


シータ嬢のように説明も出来なかった。


結局...


「我は逆らっただけ、ロイやシータ嬢に助けられただけだ。結局我は自分の力ではなにもできなかったのだ。これだけ高レベルになろうともなにも変わりはしない。我は...痛いっ!何をするのだ!」


ロイが頭にチョップをしてきた。


こやつのチョップ本当に痛いのだ!


「アレス君は頭良いのに、頭悪いよねぇ。君が動いたから、僕らが動けたんじゃないか。君が動かなきゃ、シータさんも僕も公爵様に何か言うなんて出来ないよ?君が先陣を切ったから僕らはフォロー出来たんだよ?わかる?今日の宴会は君が作ったんだよ?」


ロイ...


「僕は嬉しかったんだ。アレス君が僕らを守ってくれたのが。僕らを想ってくれたのが。だから、ありがとうアレス君。僕らを庇ってくれて!」


我は...我は...


「...ふ、ふん!立場的弱者を守るのは貴族の役目!我が皆を守るのは当然の事!それが...それが生涯の友となろう者ならば尚更であろうが!」


ロイは嬉しそうに答えた。


「うん!生涯の友だね!リリィに聞いたんだけどこういうのズッ友っいうんだってよ!アレス君と僕はズッ友だね!」


ズッ友...


響きが良い。


気に入った!


「ふん、ならばそのズッ友に君付けはよせ!我らは対等な友であろう?」


ロイは手を差し出して言った


「うん!これからもよろしくね、アレス!」


我らはズッ友の誓いをしたのだ。










それからしばらく他愛のない話しをしていつのまにか寝ていたのだろう。


朝を迎えていた。


ロイは既に起きていた、なにやら魔剣と向き合っている


「あ、おはようアレス。朝早いんだね。昨日は遅くまで話してたからもっと遅いと思ったよ。」


魔剣を部屋の片隅に置いていた。


「あぁ、我は毎日どの時間に寝ようとも同じ時間に起きる癖がついているのだ。本来は数時間早く寝るのだがな。」


ロイは驚いた顔をしていた。


失敬な。


「凄いね!僕なんてお休みは昼まで寝ちゃう事もあるのに。まぁ大体リリィが起こしにきてご飯食べろーってうるさいんだけどね。」


羨ましい...


毎日リリィ殿が起こしにくる


それならば我も毎日夜更かしし甲斐があるというもの


「でも今日は来ないと思うよ?僕ら起きてるし、何より明け方近くまでシータの魔術特訓に付き合ってたみたいだから」


それは気の毒に...


シータ嬢はその辺抜け目ない


やると言ったらやるのだ。


「では我らも負けては居れぬな?ロイの魔術特訓をしようではないか?」


ロイはあからさまに嫌がっていた。








庭に出ると魔術の痕跡が色濃く残っている


この残存魔力量からすると本当にずっと魔術特訓をしたのだろう。


「良いか?どの魔術にも言えるが、魔術はイメージだ。そのイメージに沿って魔力を流す。お前は火魔術がメインだろう?ならば燃え盛る炎をイメージし、自らが汗を垂れ流す程のイメージをしろ。」


ロイが困った顔をした。


「こんなに涼しいのに汗なんてかけないよぉ」


ふむ。


「確かに涼しいな。だが目の前に巨大な炎があったらどうだ?イメージしろ、巨大な炎、それが自らを目がけて飛んできたら?ケルベロスのあの業火が飛んできたらどうだ?汗1つかかずにいられるか?想像しろ。自らが創るのはあのケルベロスの業火だ。」


ロイは目を瞑った。


ロイの魔力は少しづつ変質する。


熱を帯びてきたのだ。


「そうだ、いいぞ。ロイには火魔術の初級魔術刻印があったな?それにゆっくり魔力を流し込め。まだ呪文は唱えるな?ゆっくりだ、その魔術を手から一気に吐き出すイメージをしろ、ケルベロスの業火だ。狙いはあの空き地のど真ん中。イメージはできたか?」


ロイは頷く。


こちらまで熱気がくる。


充分だろう。


「ならば呪文を唱えろ!同時に自分の魔力を押し出せ!」


ロイは額に汗を浮かばせながら空き地に手を向けると言った


「ファイアボール!!」


結果


空き地は1面炭化した...









「で?これはどういう状況なのか説明はして頂けるかしら?」


我らは座してシータ嬢からの尋問を受ける


いや、我も説明して欲しいのだ!


高レベルとて、初級魔術[ファイアボール]は鞠程度の火球を飛ばす呪文


それがあのような爆炎を生み出す魔術になるなんて思うわけがない。


あれは中級、いや上級魔術に迫る魔術だった。


なぜあのような魔術に...


「わからぬのだ。魔術の特訓をということで初級の火魔術をレクチャーしていただけなのだが...まさかこのような事になるとは。」


我が必死に弁明をしているというのに、ロイは笑顔のままだ。


なんなら我が慌てて消火している最中も大はしゃぎだった。


近隣に住宅が無くて本当に良かった...


「それがどうしてこのような惨状に?ワタクシは説明を、とお伝えしたはずですが?」


何故我がこのような目に...


ぐぬぬ!ロイめ!そのにやけ面をやめろ!


「シータ!僕あんなに凄い魔術使えたよ!アレスは凄いんだ!学院の教師なんて目じゃない位にわかりやすいんだ!ありがとう、アレス!」


やめろ!


今は褒めるな!


我のせいになるであろう!


「ロイ?右手の肘まで大火傷を負ってなんですの?リリィがいなければ腕はどうなっていたか...貴方はポチがいないところでは魔術禁止ですわ!」


聞いた途端シータ嬢の怒りは見たこともない位に伝わった。


え?我?


「ポチ、高レベルの魔術士と低レベルの魔術士。同じ魔術を行使しても差が出ますわよね?普通は差が出ると言っても程度がありますわ。ですがロイの魔力はワタクシ達の中でもトップクラス。それも魔剣が魔力を増大させている。この惨劇を想定して魔術を教えなさい。反論は認めませんことよ!」


そんな!!


ダメだ!初級でこれなのだ、中級、上級上がっていけば被害は計り知れん。


我の命がいくつあっても足りん!


「アレス!ありがとう!僕も一生懸命頑張るから宜しくね!」


ロイ...


我は頷くしかなかった。


何故...何故我がこんな目に...








朝食を食べ終え、けーきを食べているとヴォルフ殿からヴォルフ殿から今日の流れについての説明があった。


まずこのあとギルドに赴き80階層突破の報告をしてホルダーの更新をする


なんでもホルダーには突破した階層を記録して、その階層のセーフティエリアまで飛ぶ機能があるそうだ。


驚きの魔具ではないか!と思ったが、なんでもダンジョン入口に書いてある詠唱を刻むとなんでもその機能が付与されるとのこと。


だがまた80階層は正直キツすぎる。


完全体のケルベロスなど考えるだけで恐ろしい。


ギルドには報酬の一部を売却する予定だ。


魔石を2つ


そして必要のない魔具と宝箱そのもの


魔具はそれぞれ1つずつ選んだ。


魔石は今後のために一旦残す形だ。


なんでもシータ嬢のケルベロスの腕輪の研究に使用する可能性もあるとのこと


その後、ヴァイオレット家には我とロイとリリィ殿とシータ嬢で赴き、ヴォルフ殿はアーデ家の護衛に戻るとの事


何故我も?と思ったが、最悪年月経過などで呪いが強く補助が必要な場合がある


その為魔力要員は出来るだけ多い方がいいと


ん?


その想定だと誰が魔力を束ねるのだ?


みっ見るな!こちらを見るでない!


この全員分の魔力などとてもではないが御しきれん!


そして解散し、明日はダンジョントライを再びするとのこと。


なんでも急に上がったレベルだから上手く扱えないといざという時に困るとのこと


うむ、道理だな。


ロイの件もあるからな。


お弁当のやきそばパンと自宅で食べるようのやきそばパンと明日の朝用のやきそばパンは備えてある


明日のダンジョントライまでの食事も抜かりない。


グラートが先程迎えに来たので全員で馬車にのりギルドへ向かう


嫌な予感しかせぬ。


正直帰りたい...











ーーー

ギルドに到着するとそこにはブレイザード家だけではなく王家までもが待ち構えていた...


ブックマークがついてます!

めちゃめちゃ嬉しいです!

ありがとうございます。



ズッ友は死語ですね!

昨日家の整理してたらそんな事書いてるプリクラを発見しました。

年代がわかってしまうかもですが、書きたくなりました。

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