アレスのお父さんが来ます!
次回は1時配信になります!
転移するとそこはダンジョン1層の隠しフロアの前にいた。
「隠しフロアが無くなってますわ、まあもう用はないからいいのですが。あの花畑は少し残念ですの。」
シータが残念そうに言う。
確かに綺麗だったもんなぁ。
でも私は花より団子
お腹すいたよ
「ェス...アレス様ー!アレス様ー!」
早く帰ろうと言おうとしたら、なにか聴こえてくる。
「あの声はグラートさんじゃないかな?ずっと探してたんなら合流しよう?多分結構日数経ってると思うよ!」
ロイ兄、よくわかったね。
グラートさん?全然名前覚えてなかったよ。
「おぉーい、アレス様はここにいるぞぉー!」
ロイ兄が声をかけるとすぐさま足音が聴こえてきた。
「あぁ!アレス様!お労しいお姿で...貴様ら!アレス様にな「グラート、騒がしいぞ。控えよ」はっ!」
アレスもグラートの大声で起きたようだ
それにしてもグラートさんのほうがよっぽど酷い姿だけど...何日ここに?
「グラート、ここにいる者は我の戦友だ。無下にすることは許さぬ。それで、状況を伝えよ。我らは何日ダンジョンにいた?」
寝起きいいんだ。
いいなぁ。
羨ましい。
私前世でも今世でも寝起きは頭が働かないよ。
眠りは浅いけど、何度でも眠れちゃう。
そして目覚ましが欲しい。
今世でも目覚ましないかなぁ。
シータ作ってくれないかなぁ。
「はっ、アレス様が行方不明になられてから本日までで1ヶ月と2日でございます!現在ブレイザード家の者が中層まで探索しておられます。」
ふぇ!!?
1ヶ月!!?
流石にそんなに寝てないよ?
おかしいな...計算が合わない。
1ヶ月もヴォルフさんでモフモフした記憶はない。
1ヶ月ヴォルフさんでモフモフ...
「はぁ。予想異常ですわ。恐らくは転移した時、既に数週間寝ておりましたのね。いえ、ワタクシの髪が乱れてなかった事から考えるに、転移する際の時空の狭間で暫くの間寝ていた、が正解ですわね」
ん?
どゆこと?
「シータ、それで正解だって。ブラドがそう言ってる。」
ん?
どゆこと?
いつから魔剣とお話しできるように?
「1ヶ月...しかも公爵家の人間が2人も...こりゃあ大問題だろうなぁ。」
大問題かぁ。
そっかぁ。
「リリィ、言っておきますが貴方のお家もきっと大問題になっておりますわよ?公爵家の人間と行方不明に。それも両親が王都に行ってる間に。事情もわからない両親に誘拐したのではないか?辺りで迫ってる可能性もありますのよ?」
何だって!!
それは大問題だ!
早く家に帰らないと...てかケビンやヘレンになんて謝ろう。
呪いは解いたけど、身体戻りませんでした、じゃ怒られそうだし。
あ、ロイ兄の事も
まずい、怒られる要素が多すぎて帰りたくない。
「ダメだよリリィ、帰るんだ。これ以上心配かけたら父さんや母さん倒れちゃうかもよ?」
ロイ兄はまっすぐこっちを見てる
目線を反らすとロイ兄は呆れ顔でヴォルフさんを見る
「なんでぇ嬢ちゃん、家帰りたくねぇのかぁ。残念だなぁ、嬢ちゃん家でみーとそーすぱすた食いたかったんだがなぁ。」
「帰ります!すぐ帰りましょう!」
すぐ帰ろう
そうしよう。
なんだかロイ兄が笑ってる気がするけど気にしない
気にしているのはこの後パスタを食べるヴォルフさんの横に座れるかどうかだ。
そしてアーンさせてもらえるかどうかだ!
「ワタクシもアーデ家の皆さんの嫌疑を晴らすためにお伺いしますわ。ついでにぷりんの備蓄がありましたら頂きますの。」
シータの狙いはわかってる
この人は自分の欲望に綺麗に建前をつけるのが上手い
建前美人だ
「我も行くぞ。約束だからな、やきそばパン、馳走してくれるのであろう?というわけだグラート。捜索はやめ、父上に我の無事を伝えよ。ヴァイオレット家にも早馬で知らせよ。明日には帰るとな。」
え?
なになにアレス泊まる気?
そりゃ部屋はあるけどさ
そういうのって確認とるもんじゃない?
ん?
シータからなにも...ない。
まさかシータも?
常識?これまさか貴族の常識?
「アレス君泊まるの?そしたら僕の部屋で泊まってよ!色々話そう!あ、シータは1人部屋がいい?それともリリィの部屋にする?」
ロイ兄がまさかの!
貴族の常識じゃなくってこれ世界の常識なの?
私だけ?
全然いいけどね!
「ほんじゃ俺も世話にならぁ。飯の材料買ってくか?」
ヴォルフさん!
私の部屋にきて!!
まさかの全員お泊り決定で我が家にいくとメイドのライラさんが迎えてくれた
それはもう大袈裟に
すぐに両親も出迎えてくれたがメンツがとんでもないからとりあえず家に入れてくれた
シータとアレスが居なければ絶対お尻ペンペンだったな。
両親は私じゃなくてロイの様子を聞きたがっていた。
確かに吸血鬼になってそこそこ八重歯がでたし
鬼化を使用して身長は10cmくらい伸びて、身体もレベルの影響かムキムキになったけど
そんなには変わらないんじゃないかな。
ヴォルフさんの方が劇的に変わったよ!
毛並みは以前より艶がでたし
ボリュームも凄い
これがレベルアップの恩恵だね!!
「父さん母さんただいま!!心配かけてごめんね。詳しくは夕食で話すからみんなの分もお願いできるかな?」
ロイ兄も立派になった。
前ならきっとこんな気遣いできなかった。
私?
私はヴォルフさんに夢中でマジでなんにも考えてなかったよ?
ーーー「ってゆう事で、リリィの呪いは解除されたけど、成長した分の身体は戻らず僕は魔剣の影響で吸血鬼になっちゃったんだけど、それはこれから皆で探していくから!」
ロイ兄にも天級魔術は試したがダメだった。
あれは呪いではなく種族変化、という事なのかもしれないとはシータの言
シータ曰く魔剣を破壊すれば可能性はあるけど、その時ロイ兄にどんな影響があるかわからないからするにしても調べてからという事だった。
包み隠さず全てを説明してくれたシータ
私は頷くだけ。
おかしいな。
この家の理知的ポジションは私だったはずなんだけどな。
成長してからなにかがおかしい。
「嬢ちゃん、うんうん頷くのぁいいんだがよ。いい加減俺の膝から離れねえか?飯が食いづらくて敵わん」
ヴォルフさんをパスタを2杯目を食べていた。
ロイ兄はナポリタンを何杯食べたかわかんないけど食べながら大事な話しを器用にしていた。
普通なら許されないだろうけど
今の私達は1ヶ月ぶりにダンジョンから帰還して飯が1ヶ月ぶりというのは伝えてあるため、ポールが他のメイドをふんだんにこき使ってフル稼働中だ。
因みにアレスは焼きそばパンに感動したらしく泣いてた。
これが...これがやきそばパン!!とかうるさいからナポリタンドッグにホットドッグにアメリカンドッグを出したらもううるさいうるさい
あぁ
因みに両親には80階層をクリアした事も含めて全て伝えてある。
ロイ兄と私のステータスもだ。
びっくりはしてたんだけど、何故だかそこまでだった。
「リリィがうまれてからずっと驚いてきたから慣れたのかも。」
とケビンが言ってた
なにさ!
私よりロイ兄のがよっぽど凄い事になってるよ!
「では今回の騒動をアレス様が治めて頂いたのですか?なんとお礼をすればよろしいか...」
ケビンが言うとアレスが
「良い、我は戦友に当たり前の事をしたまで。我は公爵家の者だが公的な場以外では敬称もなしでよい。戦友の父上と母上だ。それにこれだけの馳走が礼でなくてなにが礼になろう?我はこのような食事をした事がない。我が今まで食べていたのは豚の餌だ。毎日やきそばぱんが食べたいぞ!」
笑顔で言ってるけど、言ってること全然ダメだよ?
焼きそばパンだけじゃ生きてけないし、豚の餌とかコックさん泣くからね?
「アレス、やきそばぱんも美味しいけど他のも食べないとダメだよ?サラダも食べないと。このまよねーずがとっても美味しいからかけて食べてみて!こっちのたるたるそーすでこっちのフライも食べると美味しいよ!」
なんと!ってアレスが言ってるけど君達味覚が近くてわかりやすい。
生野菜嫌いにはマヨだよね。
あぁ
ケビンがようやく笑った!
「ははは!これは失礼を。ただ、こんなにもアレス君とうちのロイが仲良くなるとはね。勝手にダンジョンに行って勝手に1ヶ月居なくなって突然帰ってきたもんだからどんなお仕置きをしようと思ったけど、これは良い経験になったようだね。」
ニコニコしながらアレスとロイ兄の会話を聞いてるケビン
アレス!君、今日1番の働きしてるよ!
まあうちをドン底まで落としたのも君なんだけどね!!
ヘレンとシータが食事を終えデザートタイムに入ってる
あの2人は口調も近いし波長が合うのかもしれない
私?
私はヴォルフさんの膝から隣の席にうつされずtろヴォルフさんを見ている
たまに「見られてると食いづれぇ」って文句言うけど結局諦めてバクバク食べてる。
かわいーなぁー。
あぁアーンさせてほしいな。
アーンしてモグッとして幸せな顔されたら...
「嬢ちゃんよぉ、こんな大勢の時にそんなこたぁできねぇからよ。これで勘弁してくれ」
そう言って私の頭をなでなでしてくれた。
これは...良い!
良いじゃない!
あれ?
もう終わり?
今まだ3ナデナデくらいじゃない?
もっと高みをめざそうよ!
「ヴォルフ、私は君を信頼しているが娘はまだ2歳になったばかりだよ?流石に手を出したら...」
ケビンがニッコリ笑いながら口を止める
そんな!
私はもう大人です!
前世分込みなら成人です!
あれ?
2歳になったばかり?
「あらあら、あなたったら。つい口を滑らして。リリィ、もう過ぎちゃったのだけどこういうのは気持ちの問題だからお誕生日おめでとう!」
そう言ってプレゼントを渡された。
そっか
私2歳になったのか。
ダンジョンでいつの間にか過ぎてたみたいで気づかなかった!
プレゼントを開けると可愛らしい花の髪留めだ。
「こんなに大きくなると思わなかったから、少し子供っぽいかしら?でもとっても似合うと思うわ。良かったらつけてもらえる?」
可愛い...そういえば髪も切れるようになったんだ。
いつまでも伸ばしっぱではみすぼらしい。
「お母さんありがとう!それと...良かったら前みたいに髪切ってもらえる?それでこの髪留めつけたらきっと凄くいいと思う!」
ヘレンはとっても嬉しそうだった
早速切りましょうって連れていかれた。
胸辺りまでばっさり切ってもらう
ショートも好きだけど、「折角綺麗な髪なんだから」とのことでアレンジも効く長さにしてもらった。
戻ると皆が褒めてくれた。
特にアレスは凄かった
天使のようだの、女神の現し身だの
どっちやねん
みんながみんな褒めちぎるから嬉しいよりも恥ずかしいになっちゃう。
でも聞いちゃう
「ヴォルフさん、どうですか?似合ってますか?」
「あぁ、良く似合ってるぞ。」
そう言うと私の頭を撫でた。
私は嬉しくて舞い上がった。
なにかヴォルフさんにしてあげたい
私尽くす女なのだ!
キッチンに行くと既に食材がかなり少ない。
それにみんないっぱい食べたからデザートの方がいいだろう。
プリンが数個あるけれども、全員分は当然ない。
うーんどうしたものか。
あっそうだ
プリンをつくるための予備があり、小麦粉や砂糖もある。
そして今日私のだけど、誕生日
ならば作ろう!
ケーキを!!
「ポールさん、お手伝いしてもらえますか?これからケーキを作ります!」
ポールさんは「ケーキ?」と不思議そうだったけど気にしない
指示すれば初めての物でも私より上手く作ってくれるの既に実証済みだ
...
完成したのはシンプルなフルーツケーキに生クリームをたっぷりと塗ったもの
みかん的ななにかと桃的ななにかで酸味と甘味を調整したつもり。
まあそれしかフルーツが残ってなかったからっていうのと、こっちのフルーツは日本に比べるとどれも甘味が足りない
生クリームを甘めに作ってあるのでちょうどいいのではないかと思ったのだ。
完成だ!
ヴォルフさんに作ってもらおうとはりきっていたら結構時間がかかってしまった
張り切ってホールケーキを3つも作ったけど皆食べれるかな...
魔術の使用で時間を出来るだけ短縮したつもりだけど2時間近くはかかったのではないかな...
急いでポールさんと一緒に皆の元へいくと
予期せぬ事態に...
「アレス!貴様はそうして平民といつまで戯れているつもりだ!貴様の捜索にどれだけの時間と労力と財を叩いたと思っている?」
凄い金ピカな人と周りに護衛の人と思われる人多数...
ケビンにヘレンは床に片膝をついたまま頭を下げている
相手は貴族、流れからしてアレスの父親かな。
「父上!捜索には感謝しておりますが、本日は戻らぬとグラートに言いつけております、ここにはヴァイオレット家の御令嬢、シータ様もおりますし、ダンジョン攻略のお祝いをしている最中でございます。そのように強引にこられては礼を失す「貴様!!いつから親に刃向かうようになった?平民と連むからそうなるのだ。今すぐ屋敷へ戻れ!」」
アレスが叱られている。
実際1ヶ月の捜索だと、相当な費用と労力がかかったのだろう。
言われても仕方ない。
「父上...平民などと我の戦友に言うのは辞めて頂きたい。我の命があるのはここにいる皆のおかげ、礼をする必要はあっても見下すなど。受けた恩を仇で返すのであれば父上とて許しはしませぬ。」
アレスがプルプル震えながら言っている。
ケビンなんか冷や汗が床に垂れ続けている。
これは...かなりまずい状況なんじゃ...
けど口を挟めない、私もその平民なのだから。
「余にそこまで言ったのだ、覚悟はあろうな?実の息子とて容赦はせぬぞ?謝罪するのなら今だぞ。この先はなにがあろうとも許しはせぬ。」
あわわ
まずい、まずいよー
ケーキなんて作ってる場合じゃなかった...
するとアレスが何か言いかけたところにロイ兄が...
ロイ兄!!?
「ていっ!」
ロイ兄はプルプルしてるアレスをチョップした!
ええ!
どうするの!?
「ダメだよアレス君、アレス君のお父上はずっと君を探してた、それに公爵様なんだもん、
きっと凄い忙しいのに君を心配してここまで来たんだ。わかるよね?」
ロイ兄!
公爵様の前でアレスにその言い方はさらに問題になりそうだよ!
「だが、父上はロイやヴォルフ殿、ここにいる皆を侮辱した。もっとやり方はあったはずではないか?我は許せぬ。我の戦友は父上とて侮辱されるような輩ではない!」
ロイ兄はニッコリ笑った
「ありがとう、嬉しいよ。アレス君は優しいよね。でも僕らが平民なのは事実だし、僕らもそこは気にしないから大丈夫。それに公爵様は今回の一件を知らない。まずは説明するのが先じゃないかな?今ならまだ話し合えると思うよ?」
ロイ兄...
「だが、だが!我は...我は楽しかったのだ!ダンジョンから帰還し、仲間とこうして語り合い、楽しかったのだ!それを皆を貶め、決して許せぬ...」
アレスは俯きながら言っていた。
今も震えている
アレス...
「ありがとう、その気持ちで充分だよ。でもアレス君だって最初は僕を平民だなんだって言ってたよ?やっぱり理解しないとその辺はわからないよ。そんなアレス君だって今はこうして仲良くできてるじゃないか。きっと公爵様も話せばわかってくれるよ?」
ロイ兄がそう言うとアレスは黙って俯いたままだ。
確かにロイ兄が言ってる事は正しいと思うんだけど、公爵様も相当お怒りみたいだし、どうなるんだろう...
「お話し中申し訳ございません、間に入らせて頂きますわ。ガデス様お久しぶりでございます。ヴァイオレット家が長女、シータでございます。今回の一件ワタクシから説明させて頂いても?」
ガデスって言うんだ。
アレスとよく似ているけど背が高いのと
ムキムキ過ぎてめちゃくちゃ怖い。
「シータ嬢か、説明聞かせて頂こう。但し、その説明に納得出来なければ他家に介入するのだ、ヴァイオレット家の者とて容赦はせぬぞ?」
めちゃくちゃ怒ってるよぉぉおお!
あの短気さ
アレスとそっくりだよ
「構いませんわ、その時は外に待たせてる護衛やダンジョン攻略から帰還したと思われる方達と交戦する事になりますわ。ざっと60人...といったろころですわね。」
公爵様を驚いて目を大きく開いている
なんでそんな挑発するようなことを...
因みに60人じゃなくて63人だよぉー。
「勿論そのような事にならないよう説明させて頂きますわ。ではまず事の経緯から...」
シータはダンジョン一階で隠しフロアを魔眼にて発見し、その時たまたまダンジョンにいたアレスと合流し転移の罠にかかった事を伝える
転移したのは深層80階層で攻略にとてつもなく時間がかかりなんとか攻略
帰還したもののダンジョン報酬などの分配やその他の話し合いも出来ておらず
また予想以上に長期の攻略になったため食材が尽きたため暫く食事をとっていなかったことから
まずはダンジョンから最も近く、全員分の食事を用意できるとのことでアーデ家にて話し合いと祝勝会を兼ねて行ったこと
またダンジョンの80階は未到達領域であることや、報酬が報酬なため明日朝一でギルドに赴いてから帰宅するつもりだったこと
帰還し、レベル酔いによって報告が充分でなかった事を詫びた
ちょいちょい事実と違うが、概ね一緒だろう
シータは本当に頭がいい。
私ならこんな怖い人にそんな説明はできない。
「馬鹿な!80階層?現在の攻略階層を知っての発言か?」
公爵様は認めない。
まあそうだよね。
「信じられないお気持ちはわかりますわ、では真実を見極めるための材料を用意しましょう。リリィ?扉が半開きになっていますわ、そこにいるのでしょう?こちらまできてくださいまし」
気づいてるのはわかってたけど
私!?
なにもできないよぉ。
ケーキを持ってポールと大部屋にはいる。
小さな声でシータが「それが先程から長々と作っていたデザートですの?さっさと終わらせて食べますわよ?協力してくださいまし」と言ってきた。
聞こえたら大変だからそんなこといわないで!
「ご紹介しますわね、ここにいるのが今回80階層を攻略する事ができた1番の立役者、リリィ・アーデですわ。彼女はこのアーデ家の娘で貴重な光魔術の使い手、それも天級を扱える程の。なんせ称号持ちでして、その称号は聖女ですわ」
なにいきなりバラしてるの!!?
公爵様がこっちを睨んでるじゃない!
「これはガデス様だからお話しした事。他言無用に願いますわ。どこからか話しが漏れたならば真っ先にガデス様を疑わせて頂きますの。そちらの護衛にもキツく言って下さいませ。」
シータは強気でいう。
もう私は部屋に帰りたい...絶対帰らせてくれないけど...
「彼女の数々の魔術によって我々は80階層のボス、ケルベロスを撃破できましたわ、証拠をお見せしますの。リリィ、ワタクシと貴方のとそれにアレスのステータスを出して頂けます?」
言われて3人のステータスを公開した
「ば、馬鹿な!!こんなレベルは...あり得ぬ!アレスはつい最近までレベル5程度だったのだぞ?なにを...」
レベル5だったんだ。
レベル5で中級魔術使えるって凄い才能なんじゃないのかな?
「事実ですわ。80階層のボスを倒したのですもの高レベルで当然。もうお分かりになって頂けたかと思いますが、ここにいるボス攻略をしたメンバー誰か一人でガデス様がお連れになった護衛も、冒険者も、はたまたこの街にいる全ての冒険者を相手にしても返り討ちにできると。」
シータさんはあくまで強気
そんな言い方したら...
「ですがここはガデス様のお顔を立てて、全員侮辱されてもなにも言わずこうしていたのです。今ワタクシが矢面に立っているのもガデス様のためではなく、我らを庇う心優しいアレス様を想っての事。ご理解頂けると。」
シータは口がうまい。
アレスのヨイショがしっかりできている。
普段からアレスに優しくしてあげてもいいのに...
公爵様はずっと黙ったままだ。
「それと今回の報酬の一部をガデス様に、我らを探索して頂いたという事ですのでお気持ちばかりではありますが、こちらをお納め下さい。」
そういうと10個あっためちゃんこおっきい魔石を公爵様に手渡しする。
ガデス様はびっくりしたようで受け取りつつも魔石をガン見している。
「良いのか?これ程までに上質でありながらこのような見たこともないサイズ。売れば相当な財産となるであろう。其方らが命をかけて得たこの魔石、余に渡して本当に良いのか?」
10個もあるしいいんじゃないかな?
「構いませんわ。この1ヶ月ガデス様が我々のために尽力したのは事実ですわ。今回の騒動も含めてそれで手打ち、というわけにはいきませんか?」
シータできる!できる子だよ!
全体の1割、それも魔石だけで。
それだけで手打ちを提案するなんて!
私なら全部渡しちゃうよ!
公爵様が黙っているとアレス口を開く
「父上、シータ様が仰っている事は全て事実です。ここに居る者は全て伝説の勇者を越える者達、そしてその家族にございます。我も称号持ちになりました。それも全てはここにいる仲間のお陰なのです。ですからどうか「よい。」」
公爵様がアレスに手を向けて声をあげる
「今回は余が間違っていた。息子を救って頂いた恩人とその家族に無礼を詫びよう。皆の者、済まなかった。余にできる事ならばなんでもしよう。」
公爵様が頭を下げる。
ケビンとヘレンがあわあわしている。
するとロイ兄が一歩前にでた。
「それでは公爵様、1つお願いがございます。」
なにを!!?
なにもいらないよ!?
ほら、ケビンもヘレンもあわあわが増大してるよ!
もう見てらんないよ!?
「なんでも申すが良い。土地でも財でも余の出来る限り力を尽くそう」
ロイ兄はニッコリ笑って言った
「それでは。ご夕食をここで皆と食べていかれては頂けませんか?家族の仲直りという事で。妹のリリィとうちのコックのポールが作る料理は美味しいんです!シータ様もこの街で1番美味しいと言って頂ける程に!それで今回の件はお互いに水に流すという事にはできませんか?」
ロイ兄が言うと公爵様は豪快に笑った
「欲のない男よ。この公爵で王家の右腕と称される余にする願いが晩食を共にするとはな。いや良い!実に良い!気に入った。オイ!アレクを除いて全てを撤収させよ!ルーカス、他の者には今回見聞きした事を徹底させよ!漏れた場合はどうなるかしっかりと言いつけろ!」
なんか気に入られて頭をわしわしされてる...
ロイ兄も笑顔だ
「アレスよ、余が間違っていたな。そして良き友を持ったな。大事にするのだぞ?力が必要な時は遠慮せず余に頼れ!いいな!」
アレスはようやく笑って良い返事をしていた。
はぁーどうなるかと思ったー
「ってことで悪いんだけどご飯追加ね?僕もお腹空いちゃった!」
ロイ兄さっきしこたま食ってたじゃん!
あぁ、食材どうしよ...って思ってたらポールが「予備の食材が非常用にあるからそれ使っちまいましょう」って耳打ちされた
もう、無くていいのに...
パスタ全種にマヨ入りのポテトサラダ
あとはいつものドッグ系と追加で唐揚げを作ってみる
時間もさほどかからないし、公爵様が伝えておっきい鳥がキッチンに持ってこられたからだ。
心配だった食材も次々となんか届くので次々と作る
ようやく全ての食材を使い切り
料理を持って行くと、先に持ってパスタ達は全滅しており、まだかまだかと皆が待っていた。
え?
公爵様とお連れの方はわかるけど他の人はなんで??
むちゃんこ食ってたじゃん!
「ガッハッハ!どれもこれも美味い!特にこのぽてとさらだ!芋なぞ食わぬと今まで敬遠していたが作り手が違うとこうも化けるか!このぱすたも美味だ!不思議な食感と思ったが口にいれると止まらぬ。余が今まで食していたの豚の餌である!」
アレスとホントそっくりだよ。
「ガデス様、リリィが次料理を持ってきましたよ!あれは新作ですね。きっと美味しいですよ?」
ロイ兄
すっかり仲良しに...
ケビンなんか「高く売れるぞー」って言ってた王都で仕入れた高級ワインを注ぐ係になってるのに...
「うむ、無礼講である。皆も余に気を使わず、呑み、食せ!これほどの料理に失礼である。」
って最初にガデス様が言ってたけどケビンはやっぱそこまでなれなかったらしい
ヘレンはあっちでシータとモリモリ食べてるんだけど...ケビン頑張って!
「ふむ、これまた見たことない料理だが。香りがいい!これは...余が持って来させた鶏か?」
めっちゃ目がギラギラしてる
アレスもおっきくなったらこんな目ヂカラを手に入れるんだろうか...
「はい!味がついておりますのでそのままでもいけますが、お熱いので傍にありますレモンを軽くかけるかマヨネーズをつけてお召し上がりもよろしいかと!」
するとガデス様はひょいっとマヨをつけて口に放り込む
真似してアレスもマヨをつけて口に放り込む
続けてロイ兄が迷ってレモンを絞って放り込む
「「「美味い!!!」」」
唐揚げは美味しいよね。
本当はもっとつけこんでからの方がいいんだろうけど、他の料理作って最後に揚げちゃえばそれなりに味は染み込む。
3人の反応を見て皆がこぞって口に放り込む中ヴォルフさんだけがマヨにつけたままじっと見ていた
「ヴォルフさん鶏お嫌いでした?」
心配になり話しかけると
「いや、皆の反応と嬢ちゃんの話を聞く限りこいつぁアッツアツだろ?俺ぁ舌が弱くてな少し冷ましてからにしようとな。」
か、可愛い!!
狼なのに猫舌!!
こんな身体おっきいのに!!
「キラキラした目ぇしてもやんねえぞ?これぁ俺のもんだ。」
それはいりません。
ヴォルフさん下さい!
さて楽しい大宴会も終わりに近づき
冷やして置いたケーキの出番である
作りすぎたな、とも思っていたが人数も増えたしちょうどいいだろう。
どうせいっぱい食べたあとでもみんな食べるだろうし
そんな軽い考えでケーキを再び運ぶ
このケーキが私の次の行き先を決定することになることは
まだ誰も知らなかった。
一話に4時間くらいかかってしまいました...
おかげで本日はこの配信のみですorz