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おっさんと砂漠都市①

街に戻った俺たちはイリアを館に残し、俺は冒険者ギルドへと向かった。


「なにかあったらしいな」


俺の言葉に答えたのはメガネを掛けた知的な男性職員だった。


「はい、砂漠都市で異常事態です。向こうのギルドから異常気象の為、出来るだけ人員を送ってほしいと言われています。が、見てのとおり、弱小支部になりまして、あんまり人数がいないんです…」


そういわれれば、ギルドは小さいし、職員も3人くらいしかいない。


ここのギルド依頼は殆どが騎士団で対応していて、騎士団の練度は上がるが冒険者の質は低いらしい。


最高がBランクで街中に所帯を持っているので、他の街に外泊する依頼はほとんど受けないそうだ。


「なるほど、俺でよかったら砂漠都市まで行こうか。」


職員にCランクのギルドカードを提示した。


「あ、ありがとうございます。うちの支部でもナンバー2の実力を持つパーティーも一緒に行きますので、宜しくお願いします」


Cランクでナンバー2か。確かにあんまり質が高そうではないな。


依頼の内容は砂漠都市への補給物資の運搬および、砂漠都市への最低1つ以上の依頼の達成。


俺はそれに承諾し、手続きを頼んだ。


集合が1時間後なので、俺はフェノとイリアを家に届けて冒険の準備をして、集合場所の冒険者ギルドの裏手へ向かった。


ギルドが用意してくれた馬車で待っていると冒険者らしい4人組がやってきた。


目を引いたのが屈強な筋肉と皮の鎧を着た片手斧と盾を持った戦士の男。


そして、その後ろにいるローブを纏った魔法使いの2人組の優男。顔が同じなので双子だろうか。


そして、最後が大問題だ。


いわゆるビキニアーマーで大事な所しかカバーされていない鎧を着てマントをしている猛者。腰には2本の短剣。


これが、女だったらよかったが、残念ながら目の前にいるのは男だ。


短髪の細マッチョで股間を覆うビキニアーマー。お巡りさん、コイツです。


「よう、あんたがラグか?」


皮の鎧を着た戦士風な男が声をかけてきた。


「あ、ああ、そうだ。」


濃すぎるキャラにちょっと動揺している。


「俺はアントン、一応コイツ等を纏めてる」


その後ろの双子も続いて自己紹介し始めた。


「僕は二―」


「僕はランス」


同じ顔で同じ格好だ。もちろん、声も一緒。見分けが付かないな。


「あら、可愛いボーヤね。私はキャサリンよ。私好みのいい男ね♡」


キャサリンがウインクした。


…どうやら、貞操の危機のようだ。


「安心しろ、キャシーは依頼中は分別が付くんだ。背中を預けても大丈夫だ。仕事中は()()()()せん。」


なるほど、依頼中でなければ危険人物なんですね。


「それで、これからは俺が仕切ってもいいか?」


アントンの言葉に俺は頷いた。


「それじゃあ、出発だ御者は俺がやろう。全員乗り込んでくれ。出発だ。」


馬車にはギルドが準備してくれた食事や砂漠都市への支援物資などがあり後ろ半分は埋まっていたので、俺たちは御者のすぐ後ろの空いているスペースに入り込んだ。


双子の二―とランスも乗り込んだ。すでにどちらがニーかランスか分からない。


キャサリンは出来る男のようで、自ら率先して後方の狭い場所に乗り、後方警戒を率先してやるようだ。ただ、乗り込む前にアントンに向かって右手を上下に動かしていたので、ナニをしているかは察しているつもりだ。


こんなんで、本当に大丈夫なのか?


それから数日、俺たちは森と砂漠の境目にきていた。


森の木に隠れるように砂漠を見ると、かなり多くの魔物が闊歩していた。


砂漠の環境変化から逃げてここまで来たんだろう。


数が余りにも多い。


俺たちは一旦その場を離れて、借りのキャンプ地へと戻った。


「どうだった?」


仮設されたテントの中には10名を超える人数が待っていた。


彼らはそれぞれの街から派遣された砂漠都市へ向かう冒険者のリーダーたちだ。


テントの周りには20近い馬車が止まっている。


「ああ、日を追うごとに数が増えてきている。ある程度まとまって突破しないと危険だな。数に押しつぶされる」


俺と一緒に行った他のチームの男が答えた。


「俺たち冒険者なら行くことはできるだろう。ただ、行商など物流面を考慮すると、ここで常時間引きしなければ、砂漠都市への輸送を考えると行ったほうがいいだろう。もちろん、砂漠都市側からも常時行い、2方面から行うのが一番だろう」


俺の意見は冒険者とはちょっと違うかもしれないが、提案だけはさせてもらう。


「たしかに、そうだな。だが、俺たちの依頼は物資の運搬と砂漠都市での依頼の達成だ。それは任務外の事だ。必要なら同じような依頼があるだろう」


たしかに、そうだな。ちょっと冒険者らしからぬ発言だったな。


「他に意見はないか?」


ここを仕切っているリーダーが周りを見回すが、何も意見は出なかった。


「それじゃあ、全員で砂漠都市まで突っ切るぞ。馬車を中心に陣形を組め。チームごとに纏まって進軍だ!」


「「「おお!」」」


俺たちは砂漠都市へ向けて多くの魔物がいる砂漠へ馬車を進めた。


馬車はAランクBランクが先陣を切る形で進んでいき、俺たちCランクは打ち漏らしを数回倒すだけで砂漠都市へとたどり着いた。


「凄いな…」


雪が積もった砂漠の街は異様な雰囲気だった。


大きな通りには誰も歩いておらず、通りから見える窓は全てが塞がれていた。


誰もいない通りを俺たちは馬車列を乱さないように冒険者ギルトに向かった。











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