表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/67

おっさんと火事の日々

衛兵長



突然の襲撃だった。


最初は近隣のダンジョンから溢れたのかと思ったが、全然違った。


見た目がゴブリンのような奴でも、皮膚が硬く何度も切りつけなければ倒せなかった。


しかも、奴らは総じて炎を吐いてきた。


当たれば致命傷は魔逃れないし、避けたら周りに被害が出る。


ジリ貧だった。我々は仲間を失いながらも街を脱出つつ、冒険者たちと合流しながら街の住民を避難させてた。


そして街の門を出たところで住人を逃がすために、時間を稼いでいた。


徐々に押される我ら。しかし、助けがやってきた。


銀色の鎧に緑色に光る剣を持つ騎士だった。


彼の力を借りて街に残った住民や冒険者を助けたが、周りの炎の勢いが強く、我々は仕方なく撤退をした。


しかし、門まで撤退したところで上空に炎を纏った男が現れた。


そして、男が操るように大量な数の魔物が現れた。


10や20ではなく、100を超える数だ。ゴブリンでさえ強くなっているのにそれ以上のオーガやトロルなどが居ては我々は助からないだろう。


「殿は私が引き受ける!この程度の魔物の数、私の命の見積もりが甘かったことを証明させてみせよう!さぁ、行くんだ!」


「す、すまない…」


我々は彼を背に必死で門を出て足が動く限り街道を走った。


そして、しばらく走ると街から大きな火柱が上がった。


あの騎士様はどうなったのだろうか…







???



俺を封印した憎き人間どもに復讐するために、俺の力の一部が眠っている場所まできた。


封印されていても失われた俺の力の場所は分かる。


しかし、封印されている場所には街があった。


ならば、どうする?


答えは簡単だ。焼き払えばいい。


以前も一度、別の街で力試しをしたことがある。


その時はゴブリンしか出せなかったが、少しずつ力が戻っている。


俺は残されたわずかな力を使い魔物を作り、簡単な命令をする。


全てを破壊しろと。


今回はゴブリン以外いもオーガなどの低位ながらも種類が豊富だ。


3時間もあれば落とせるだろう。


2時間を過ぎた頃か、一気に魔物の気配が消えた。


いくら低位の魔物とはいえ、俺の魔力で強化してあるんだ。


そんじゃそこらの奴には負けない自信があった。


様子を見に行くと銀色の鎧を着た騎士が奮戦していた。


俺が話しかけた隙をついたオーガが一撃でやられた。


あの程度の動きなら…そうだな、ここにいる奴ら全員が掛かればいずれ力尽きるだろう。


万が一、生き残ったとしても炎に焼かれて死ぬだろう。


俺は騎士の死にざまを想像しながら、失われた力を取り戻すべく封印された場所へ向かった。


そこは墓地だった。古い霊廟の中にある隠された地下への階段を降り祭壇にある赤く輝く魔石を取る。


懐かしい波動だ。この力を奪われなかったら、今頃は俺が世界を征服しただろう。


いや、この力を取り戻さえすれば、これからでも世界を征服するとこは簡単だろう。


俺は魔石を飲み込むと、少しだが体に力が漲ってきた。が、馴染むまで時間がかかるだろう。


一旦、安全な溶岩の中で力を取り戻すまで休眠するか…





ラグ



火を吐こうがゴブリンはゴブリンだ。弱すぎる。一太刀で倒し、その隙にオーガがこん棒を振り下ろすが、神速を持って避ける。そして、悲鳴を上げる前にアストラルブレードで魂を切り裂く。


超余裕だ。


俺の活躍を見ているかと思い、振り返るが必死に逃げている後ろ姿しか見えない。


せっかく、魅せる戦いをしているのに残念だ。


観客がいないならコイツ等を真面目に戦う意味もないな。


俺は通常サイズのアストラルブレードの刀身を5メートルに延ばし、まとめて倒していった。


…最後の一体を倒して周りを見回すと唯一の逃げ道だった、街の門は炎に包まれていた。


あそこを通るなら丸焼きを覚悟しないと無理だな。


…なんてな。俺が装着しているアストラルアーマーは超高温超低温でも活動できる超技術の結晶だ。


火事の炎くらいヘッチャラだ。


頭からっぽにして歩いても熱さを感じないだろう。


さて、魔物の気配もなくなったんで、消火でもするか。


俺は街の外周を神速を持って駆け出した。


そのスピードで炎の火力が上がった。


暫く走り続けるが炎は高火力で安定してきた。


なるほど、中途半端な風は火力を上昇させるのか。勉強になった。


さて、俺に出来ることはコレまだな。悪い意味でやり切った感があるが、黙っていればバレないだろう。


さっさとずらかろう。




……



宿の部屋に戻り帰宅していたフェノとイリアに挨拶をしてから執務室で考える。


貴族向けの事業はもちろん、あの焼け落ちた渓谷都市だ。


あの()()()()()()()()の中で全て燃え尽きたであろう。


それを復興するんだ。


いくら金があっても足りないだろう。


だったらどうするか?


答えは簡単だ。


俺が出せばいい。


思い立ったが吉日。即行動だ。


商業ギルドに向かい、受付に行く。


「すまない、ギルド長と話せるか?」


「はい、すぐに確認します」


俺がギルドに出資しているのは街の全員が知っている。


もちろん、受付している人たちもだ。


「すぐにお会いになるそうです」


「ああ、ありがとう」


俺はそのままギルド長の部屋に向かった。


ノックして入ると30代半ばの線の細いギルド長がいた。


「やぁ、どうかしましたか?」


「ああ、ちょいと頼みがあってな」


「ええ、なんでしょうか?」


「南部の鉱山都市で魔物の襲撃があったと聞いた。あそこに食料を持っていきたい」


「食料ですか?襲撃はすぐに鎮圧して今は落ち着きを取り戻していると聞いています」


「ああ、国が金を出して対応したからな」


「ではなぜですか?」


「…直感かな?そう囁くんだ…俺の(ゴースト)が」


「…わかりました。意味は分かりませんが、ラグさんを信じます」


「ありがとう」


「それでは、どれだけ送りますか?」


「ああ、一つの都市の人数が3カ月は暮らせる分だけでいい」


「ものスゴイ量になりますね。一気に送れませんが…」


「ああ、随時送ってくれて構わない。もちろん、商業都市だけでは足りないだろう。多少、値が高くても構わない。周りの都市の商業ギルトを巻き込んでもいい。至急対応してほしい」


「わかりました。すぐに対応します」


俺はその言葉を聞きながら次の建築ギルドへ向かった。


「すまない。ギルド長はいる…わけないな」


「申し訳ございません。ギルド長は建築現場に行ってます」


受付嬢が謝るがいつもの事だ。


「じゃあ、誰かエライ人いる?」


「少々おまちください」


受付嬢が奥に行き、すぐに人を連れてきた。


「ラグさんいつもすみません」


「ああ、気にしないで。いつもの事だ」


連れてきたのは事務局長の女性だ。話し合いはこの人としている。いまだに建築ギルドのギルド長とは昼間に会ったことが無い。


会うのはいつも酒場だ。


「では、こちらへどうぞ」


俺は事務局長の後ろから、形の良いお尻を眺めながらついて行った。


応接室に入り対面して座る。


「忙しいのに、すまないな。ちょっとお願いがあってな」


「お願い…ですか?」


「ああ、街では新規の建築が終わって、金があるやつらの増築や改築で忙しいって聞いた」


「ええ、そうですね。先月で新規建築は全て終わりました」


「ああ、そこでだ。俺からのお願いだが、可能な限りの人員を鉱山都市に送ってほしい」


「鉱山都市ですか?あそこは襲撃後の復興支援でギルドから派遣されていますが?」


「ああ、知ってる。だが、できるだけ多くの人員をすみやかに鉱山都市に送ってほしい」


「なぜでしょうか?理由を伺っても?」


「理由はない。しいていうなら勘だ」


「勘…ですか?」


「ああ、直感だ」


「そんな理由でギルドの職人を動かせません」


「そうか、ならこんな理由はどうだ?鉱山都市、またはその近隣で何かが起きて家を建てる必要がある。そんな理由はどうだ?」


「そんな、とってつけたような理由では…」


「理由なんてなんでもいいんだ。できるだけ急いで鉱山都市に職人をできるだけ多く送ってほしい。こじつけでもつじつまがあえばそれに越したことは無い。頼む」


俺は頭を下げた。


「…わかりました。明日には移動できるように調整してみます」


「ありがとう、助かる」


理由を知っていて隠しながら頼むって思ったよりも難しいな。


まぁ、これで食事と家を建てる職人の手配は終わった。


飯が食えて寝る所さえあれば、あとはなんとでもなる。


あとは国に任せよう。


決して、俺が被害を拡大させた罪悪感から動いている訳ではないとだけ、言っておこう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ