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おっさんと訓練の日々

フェノの生体強化は時間通り終わった。


今は寝室に寝かせている。


目が覚めれば()()()()()()()()と永遠に別離した人生になるだろう。


寝室の隣のリビングでお茶を飲みながらフェノが起きるのを待っていると、ドガンと何かが壁にぶつかる音がした。


ああ、起きたんだな。


俺は()()()()()()()()()()フェノにむかっておはようと声を掛けた。



さて、フェノを連れて街の外にやってきた。


場所は何もない草原だ。遠くに商業都市も見える。


ここでフェノに生体強化した感覚をつかんでもらう。


生体強化を受けた者はだれしも通った道だ。


早い者で数時間、遅くても半日あれば慣れるだろう。


いってしまえば自転車と一緒だ。慣れてしまえばどうってことない。


「それじゃあ、ここで訓練だ。まずはゆっくり歩くこと考えながら歩くんだ」


「考えながら…」


フェノは一歩踏み出そうとして、遠くへ飛んで行った。


「まぁ、こうなるよな」


俺はフェノが飛んで行った方へ歩いて行った。


数百メートル先で仰向けに倒れているフェノを起こし何度も歩く訓練に付き合った。


歩くだけなら一時間もしないうちに普通に歩けるようになった。


その後は物を握りつぶさずに持つ訓練。握る訓練をして、夕方頃にはフェノは感覚をつかんだようだった。


「この力は凄いわね。これなら一流の冒険者にだって負けないわ」


「討伐系なら負けはしないだろうな。なんなら、冒険者に転職するか?」


「…いえ、今のまま受付でいいわ。受付もやりがいがあるし、今さら冒険者になっても戦い方がわからないわ」


「そうか、俺たちの人生は遥かに長い。何か別の事や別の場所に行きたくなったらいつでも相談してくれ」


「ええ、もちろん。夫婦ですから」


俺たちは街に帰っていった。


そして、宿に向かう途中にある冒険者ギルドが少し騒がしい事に気が付いた。


時間は夜の時間だ。ほぼ全ての冒険者が宿で一杯やっているだろう。


一応、顔を出そうとギルドに入った。


「今すぐ動ける冒険者を探してきてください!緊急依頼です!」


ギルドに入るなりいつも涼しげな笑顔をしているスコーピオンが真面目な顔をして指示していた。


「わ、わかりました!」


その指示を受けて数名の職員がギルドを飛び出していった。


「スコーピオン、何があったんですか?」


「フェノに、ラグ!ちょうどいいところに来てくれました!」


「おいおい、何があったんだよ。事情ぐらい説明してくれよ」


「ええ、北の漁港都市が魔物の襲撃がありました」


北の漁港都市はその名の通り大きな漁港と豊富な海産資源を有する都市だ。また、常に温暖な気候からも多くの観光客で賑わっている。


「襲撃?あそこにだって冒険者はいるし防壁がだろう?何していたんだ?」


「詳しくはわかりません。だが、一つだけはっきりしている事がある。敵は()()()()()()()()だということです」


「ワイバーンか…」


ワイバーン、亜竜とも言われる大空を舞う魔物だ。1体ならBランクの冒険者がパーティーでかかれば倒せるだろう。しかし、今回は群れできている。住民の避難などで戦闘に集中するのは難しいだろう。


「…ラグ。ランク違いなのは分かっています。どうか助けに行ってくませんか?」


「悪いなスコーピオン。新婚早々に未亡人にする趣味はないんだ」


「新婚なのにごめんね。他の高ランクの冒険者を探してみるよ」


事情を理解した俺たちは冒険者ギルドを出た。


「すまん。ちょっと行ってくる」


「そういうと思ったわ。私は部屋で大人しくしているから心配しないで」


「急いで帰ってくるから心配しないでくれ」


俺は建物の影に隠れると上空へ高く飛び上がった。


そして、そのまま北にある漁港都市へ目指して進んだ。



漁港都市へ近づく事に避難民とすれ違う頻度が多くなった。


なにかがおかしい。


魔物が襲撃すれば逃げ惑う住民から虐殺していくのが魔物だ。


それをほとんど襲わずに街の上空を旋回している。


なにかキナ臭い。ちょっと調べるか。



街に歩いて入ったが、ワイバーンが襲ってくる気配がない。


入り口に近い家ほど無傷だ。上空でワイバーンが旋回してる以外は普通の街並みだ。


俺は物陰に隠れながらワイバーンが旋回する中心を目指した。



「オラオラ!かかってこい!トカゲども!」


街の中心にある屋敷の前で冒険者だろうかひげ面の男が巨大な金色の斧を振り回している。


「ジジイ!前に出すぎだ!魔法の邪魔だ!」


斧を振り回してワイバーンを威嚇している男の後方から魔法使いらしい男が叫んでいる。


「うるせぇ!俺はまだ28だし、結婚もしていないんだ!口の利き方に気をつけろ!」


斧を持った男が後方の男に指をさして怒っていると、頭上からワイバーンが急降下してきた。


「ギャオ―――ン」


「うるせぇ!少しは黙ってろ!」


男は持っていた斧で襲い来るワイバーンを真っ二つに切り裂いた。


ワイバーンは地面にズシンと落ちるとすぐに魔素に還っていった。


「クソっ!数が多い!これが終わったらしばらく休養だ!」


男は上空を旋回するワイバーンを睨んだ。


「フフフ、Bランクでも苦戦するワイバーンを一撃ですか。さすが金剛戦斧(ゴールデンアックス)と呼ばれるだけありますね」


屋敷から出てきたのは商人のようだ。大きなお腹と二重顎、そして身に着けている宝石で一目で商人とわかった。


「フン、褒めても依頼料は安くならんぞ」


「ええ、もちろんそんな事はしませんよ。明日の朝まで私の屋敷の護衛をしていただければ結構ですよ」


「んなことわかってらぁ。安全な場所に避難してな」


「フフフ、よろしくおねがいしますよ」


男はそういうと屋敷に入っていった。


…怪しい。


あいつが何かあるのは間違いないな。ちょっと屋敷の中を見てみるか。


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