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おっさんと暗殺者の日々

「この先に行きたければ、俺を倒すんだな」


俺の言葉で正面にいた2人が剣を抜き向かってきた。


俺は手にしていた暗殺者の足を掴んだまま振り回した。


振り回された男にぶつかり、襲ってきた2人は壁まで吹き飛ばされた。


おっと、俺の鈍器の持ちてが衝撃で取れてしまった。


いや、振り回した男の足が捥げたといった方が分かり易いだろう。


俺は足を捨てると腰から緑に光るアストラルブレードを引き抜いた。


「さて、次に死にたいのは誰だ?」





とある暗殺者



元々は孤児だった。


ある日、教会の司祭に拾われて彼の言うままに学んでいった。


学問はもちろん、薬草学、体術、剣術、教わったものは全て身に着けた。


そして、成人した私は司祭に言われるままに教会のある組織に入った。


教会の教えに邪魔になる者を殺める組織。


名前もない暗殺組織だった。


そこで私は司祭にいわれるままの指示に従い対象を暗殺しに行った。


しかし、侵入すれば犬に吼えられ、弓を放てば明後日の方へ飛び、剣を使おうにも質に入れてしまっているので鞘に入っているのは木の棒だ。


ならば、得意の料理に毒を混ぜてみれば、毒を入れた後に味見をしてしまい、私が対象者に命を助けて貰ったことも何度かある。


そして、司祭に見放された私は、教会の炊き出し係りの日々をすごしていた。


炊き出し係りは貧しい人たちに暖かい食事を配る仕事だが、教会内での仕事としては最低辺の仕事だといわれていた。それこそ、見習いの中でも見どころの無い者が行うような仕事だ。


そこで、1年近く仕事をしていると、友人もできる。


見習いで見どころが無い人の中でも素晴らしい人や有能な人は多い。


他者にとても優しい人、手先が器用で服のほつれをすぐに直せる人、壁の隙間風を塞ぐのが得意な人。


それに炊き出しに来る人にも知り合いができた。


博識なおじいさん、赤子を連れた婦人、元気でヤンチャな子供たち。


いつまでも平和な日が続くと思っていた。


あるひ、司祭から()()()()のチャンスをやると言われ再び暗殺者として働いた。


今回は12人で対象は冒険者5人組のうちの2人の男女。


素性は知らない。顔さえわかればいい。と、リーダーに言われた。


リーダーの作戦は簡単だ。


罠を使いダンジョンの21階層に飛ばし、魔物と戦わせて疲弊したところを仕留める。


罠が発動し、この21階層まで飛ばすことに成功した。


次は2人ずつに分かれて適当な魔物を誘導して標的を襲わせる。


とても簡単だ。


私も名前も顔も知らない相方と魔物を探しにいく。


しかし、困った。


気が付いたら、相方がいなくなっていた。遭難だ。


何かの本か、誰かから聞いたか忘れたが、遭難したら動かない方がいい。


だけど、30分まっても1時間まっても誰も助けに来てくれなかった。


そうしていると、先の曲がり角から魔物が現れた。


3つの首をもつケルベルスだ。


こんな階層では絶対に出ない魔物。それこそ30階以下ではないと現れることはないだろう。


そのケルベルスの口には私が探していた相方が咥えられていた。


その瞬間、私は駆け出した。今まで以上に必死に。


オーガ―の股下を掛け、サイクロプスの頭上を飛び越え、巨大なアシッドスライムは壁走りで抜けた。


しかし、ケルベロスは他の魔物を見向きもせずに私だけを追ってきた。


なんとか逃げながら標的を罠に填めた場所までたどり着いたが、標的どころか仲間もいなった。


1時間以上経過していれば、標的の殺害も終わって地上へ向かっているだろう。


私も後ろのケルベロスに追いかけられながら地上へ向かった。





ラグ(主人公のおっさん)



俺は回し蹴りで暗殺者を壁に吹き飛ばした。


これであと1人だ。


アストラルブレードを持ったが、全て体術で倒してきた。


魂まで切られて即死確定の攻撃よりも、生き残る可能性がある体術。


黒幕を吐かせる意味もあって、できるだけ殺さずに戦っていた。


そして、残った暗殺者はおそらく、リーダー格だろう。


雰囲気が違う。


俺と暗殺者が対峙した時に、ダンジョンの奥から叫び声が聞こえた。


「たーーすーーけーーてーーー!」


追われている暗殺者と巨大なケルベロス。


不利と見たのか、リーダー格の男は俺の隙を見て地上へと走っていった。


まぁ、結構な時間を稼いだし、1人の暗殺者にやられるような3人ではないだろう。


やつは見逃そう。しかし、あの巨大なケルベロスは見過ごせない。


地上へ出れば街に被害を与えるだろう。


ここで始末をつける。


通路の中央に立ちアストラルブレードを構える。


「たーーすーーーけーーてーー!」


間の抜けた暗殺者が俺の腰に抱き着いて助けを求めてきた。


っていうか、助けるのに邪魔だ。


まぁ、いい。アストラルブレードの刀身を伸ばし、一太刀で切り伏せた。


ズズンと大きな音を立てて倒れるケルベロスはすぐに魔素に還った。


「た、たすかりました~」


俺の腰に抱き着きながら暗殺者が礼を言ってきた。


「助けてついでに聞こう。この暗殺は誰が黒幕だ?」


「えっと…」


「話してくれれば、手荒なことはしなしと誓おう」


「そ、それなら私が知っている事を全部しゃべるんで助けてください!」


暗殺者の境遇を聞き、ラストチャンスの失敗に殺される可能性が高いので保護してほしいということだった。


ちなみに、この暗殺者のマスクを取ると、とても美しい女性が出てきた。


年齢は二十歳前後だ。


料理しか特技が無いというので、俺のコネが効く冒険者ギルド内にある軽食屋に入れれば安全だろう。


彼女の人気が出れば冒険者が勝手に守ってくれるだろう。


とりあえず、宿屋にいる俺を訪ねるように仕向けるか。


あ、そういえば、黒幕の名前を聞いたけど忘れちまったな。


なんとか司祭っていってたな。わし鼻の。まぁ、どうでもいいだろう。




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