おっさんと盗賊と銀色の騎士の日々
カオスだ。
ハンモックで寛いでいる俺。
俺に剣を突き付ける盗賊。
盗賊に向かって構える銀色の騎士。
その後ろに護衛に囲まれたギルド長。
さらに俺たちを囲っている多くの盗賊。
「盗賊たちよ。今大人しく捕縛されれば、罪が軽くなるように衛兵に言い聞かせよう。どうだ?人質を離してくれないか?」
「ふん、衛兵怖くて盗賊やれるか。それに、この宝石商から頂いたお宝で、俺たちは他の国に高跳びだ。もちろん、お前たちを殺してな」
「なんと愚劣な!」
「へっへっへ、そういうことだ。さぁ、あの貴族へ渡す宝石を渡してもらおうか?」
「…盛り上がってる所すまないが、俺は宝石商じゃないんだ」
「はぁ?てめぇ嘘言ってんじゃねぇ!」
「いや、ほんと。マジで。ほら俺の荷物、全部見て良いから」
俺は肩掛け鞄を取り、盗賊に見えるように中を開いた。
「…たしかに、着替えしかねぇな。ポケットには無いのか?」
俺はズボンのポケットを叩いて中身が無いことをアピールした。
「親分!こっちの箱には!」
子分の盗賊が荷台にあった箱を開けていた。
「何があった?!」
「紙の束しかねぇです!」
「ゴミじゃねぇか!そんな事いちいち報告すんじゃねぇ!」
盗賊の親分が怒りだした。
「で、どうするのだ?大人しくお縄につくか、ここで終わるか?」
騎士からの質問に親分はすぐに答えた。
「決まってらぁ!全員ぶっ殺してやる!」
盗賊が剣を振り上げるが、その腕を矢が貫いた。
「ぐぅあ!」
「隙あり!」
銀色の騎士が馬車の荷台に駆け上がると盗賊は馬車を下り距離を取った。
「お前ら!一旦引くぞ!」
盗賊の声で俺たちを囲っていた盗賊たちは、それぞれバラバラの方向へ逃げて行った。
追撃を分散させる狙いか、拠点を位置を知られたくないのか、なかなか考えているな。
「さて、怪我はないか?」
銀色の騎士が俺に聞いてい来た。
「ああ、見ての通りだ。怪我一つない。このまま眠ることもできるくらい元気だ」
「…そ、そうか」
銀色の騎士は護衛の冒険者の下へ向かい何かを話あっていると、殿を務めた女性だけの冒険者チームがやってきた。
「そっちは大丈夫だったようだね」
「ああ、馬が潰されたが怪我人はいないようだ」
「ってあんた、まだそんなところにいるのか」
何か文句があるのか?俺はハンモックの上から一歩も動いてない。
「盗賊もいなくなったんだ。安全だろ?」
「まぁ、そうだけど…」
そんな感じで休憩兼無駄話をしていると俺たちが来た方向から馬車がやってきた。
「おや、お困りな様子ですな。よかったら乗っていきませんか?」
商人らしき男の指には宝石が付いた指輪で飾られていた。
なるほど、俺たちはコイツの代わりに襲撃を受けたのか。
結局、ギルド長と商人が話合い俺たちは馬車に乗り王都へ向かった。
荷台には商人の護衛が5人乗っていたが、商業都市の冒険者だったので、俺たちやほかの冒険者も顔見知りだったので、安心して休める事ができた。
そうそう、銀色の騎士は商人が来る前に居なくなっていた。
正義のヒーローはきっと忙しんだろう。俺の代わりに頑張ってほしいものだな。
その後は何回か魔物の襲撃があったが、過剰戦力ともいえる防衛力で瞬殺して終わった。
俺たちは無事、王都へたどり着いくことができた。
そうそう、女性冒険者たちとはだれ一人仲良くなることが出来なかった。




