おっさんと救出の日々①
今日の昼めしもカサカサのパンと屑野菜のスープだ。
とても健康的だ。肉なんて一欠けらも入ってない。
俺が飯を食っていると地響きが聞こえた。そして、何か騒ぎ立てるような声。
これは、何か起きてるな。何かわからんが。
「な、なんだ?」
隣のやつも騒ぎ出した。
暫く騒ぎが続き地下牢に誰かがやってきた。
「いました!叔父さん発見です!」
姪のルインとそのパーティーだった。
「おいおい、穏やかな感じじゃないな。そんなんじゃ立派な淑女になれないぞ」
「そんな冗談を言ってる場合じゃないんです!離れてください!」
俺は牢屋の入り口から離れると剣士の…えーっと何て名前だっけ?……剣士の子が牢屋の南京錠を切り落とした。
「早く、行きますわよ!」
「まってくれ、となりのヤツも一緒だ。」
「わかりました!」
剣士の子が隣の南京錠をすぐに壊した。
声は聞こえたが初めて会う隣人。
うん、普通の青年だ。痩せているが、しっかり歩けている。
「ふー、助かった。さっさと出よう」
全員が彼の言葉に頷くと地上へと向かった。
外は戦場だった。
冒険者たちと、魔道具を填められた魔物たちが戦っていた。
魔物の数が多いが、門からは冒険者以外にも衛兵がどんどん入ってきている。
今はまだ冒険者の数が少ないが時間が経てば優るだろう。
「ラグさんを救出したか!俺たちが援護する!安全な場所まで避難してくれる!」
近くで戦っていた若い冒険者のパーティーが護衛に加わり、俺たちは安全に敷地から脱出できた。
そのまま姪のパーティーに護衛されながら冒険者ギルドへ向かった。
「ラグ!良かった!無事だったのね!」
冒険者ギルドに入るとフェノが抱き着いてきた。
おいおい、若いお嬢さんがおじさんに抱き着くなんて…。
勘違いしちゃうじゃないか。
「フェノ、落ち着け。皆が見ているぞ。俺に怪我はないから大丈夫だ」
俺はフェノの頭を撫でながら落ち着かせようとするが、離れてくれない。
「おお、ラグ。無事だったか」
現れたのはギルド長だ。その後ろには衛兵長の姿もある。
「話を聞きたい。そっちの若いのも一緒に救出されたのだな?2人ともこっちへ来てくれ」
俺はいつのまにか寝てしまったフェノを抱え、ギルド長の後をついて行った。
会議室で俺と青年の話を聞き終えたギルド長と衛兵長の行動は早かった。
屋敷内で操られた魔物が暴れている。
魔物を自主的に領内に入れるなんて反逆行為だ。
国に対してクーデターを起こす準備と判断し、領主の下へ向かった。
青年もロビーにいた冒険者に家まで送らせた。
もちろん、冒険者には破格の報酬を俺が渡している。
よく見る顔馴染みだ。裏切ることは無いだろう。
さて、フェノを抱えたままどうするか?
「フェノ主任は、ほとんど寝ずにラグさんの事を探していたんです。しばらく、そっとしてあげて下さい」
仕方ない。若い受付嬢にそんな事いわれたら、そっとしておくしかないな。
決して若い女を抱いていられるからとか、そんな邪な気持ちは少ししかない。
「おい!増援を頼む!ミスリルのゴーレム大量に出てきた!」
ギルドに飛び込んできた冒険者が叫んだ。
「おお任せろ!」「ぶちのめしてやる!」
頼もしい言葉と共に次々と冒険者たちが飛び出していった。
ミスリルゴーレムか。
魔法にも剣にも防御力が高いが、動きが鈍い。
Cランクであれば、負ける事はないが倒すとなると時間がかかる相手だ。
仕方ない。手伝うか。
俺は幸せそうに眠るフェノを抱きかかえ、自分の宿へ向かった。
「ここ、連れ込み宿じゃないんですけど?」
会って早々、給仕の娘に嫌味を言われた。
俺は寝入ったフェノを抱えたままだ。
いや、普通は2週間前に目の前で捕まった俺を心配しないのか?
大丈夫だった?とか、何か優しい一言でもあれば惚れるかもしれないけど、ジト目で見られちゃ恋も始まらない。
「この子は俺の妹みたいなモンだ。何もしないさ。…多分」
俺は自分の部屋に入るとフェノをベットに寝かせた。
「ねぇ!多分って何よ!多分って!部屋掃除するの私たちなんだからね!汚されると掃除が大変んなのよ!ちょっと聞いてるの?」
ドンドンとドアを叩きながら文句を言ってい来る給仕の娘。
あんまり騒ぐとフェノが起きちまう。
俺はドアを開けると給仕の娘が入ってきた。
「この子が起きたら何か食わしてくれ」
給仕の娘に金貨を渡して、残りはチップだといい、部屋を出た。
さて、ミスリルゴーレムは他のゴーレムよりも硬いが
素材がミスリルだから良い値で売れるんだよな。
ちょっと応援にでもいくか。
見て頂くだけでも感謝なのに、ポイントまで頂き跪いて頭を地面に擦り付けるレベルで感謝します。




