おっさんと監禁の日々
水を頭に掛けられて起こされた。
誰だ?牢屋が快適なんて言ったアホは?
あ。俺だ。
まぁ、いいや。
んで、夜中に起こされて、殴る蹴る木刀や槌で全身をマッサージされた。
俺がうつぶせに寝てたから背中とか腰とかふくらはぎとか超気持ちいいんだ。
頭に水を掛けられたことも忘れるくらいで、つい寝入っちまった。
ここって最高だな。いつのまにか拘束されてた腕も開放されている。
鉄格子の入り口の近くにパンとスープが置いてある。
パンはカサカサ、スープは味が薄い。最近、お腹が気になっていたから良いダイエットかもしれんな。
ここは俺の事を考えてくれる素晴らしき場所だな。
食後も少ししたらマッサージが来てくれた。
もうね、永住したいくらいだ。
???
「どうだ、やつは音を上げたか?」
「いえ、全くです。こちらの拷問をなんとも感じないような態度です」
「むぅ、そうか。心を折れば楽に操れると思ったが、こうなっては仕方ない。生きていればよい。腕や足を切り落として此方の意のままにあやつるのじゃ」
「ハハッ!」
たかが、Cランクの冒険者風情が大金を持っているとは思わなんだ。どうにかして奴の心を折り委任状を作成し、金をカードから引き落とさないと。
強情を張ってられるのも今のうちじゃ。
ラグ(主人公のおっさん)
いやー、リフレッシュできた。
ここに来て2週間経つがとても快適な日々だった。
飯食ってはマッサージ、寝てる時に起こされてマッサージで寝落ち。
とろけるくらいマッサージしてもらった。
しかも、途中から剣とかで刺してくるからチクチクして痛かゆい感じで笑わせてくるから、あれには困った。
あれも慣れれば気持ちよくなるかもしれんな。さて、もう何週間か長居してリフレッシュしようか。
フェノ(冒険者ギルド受付主任)
ラグが衛兵に捕らえられたと聞き、すぐに詰所まで事情を聴きに行った。
しかし、衛兵はラグを捕らえる理由もないと言い、牢まで確認させてくれた。
私はギルドに戻り、職員に融資を頼み冒険者へ依頼をしようとした。
だけど、それは叶わなかった。
事情を聴いていた冒険者たちが自主的に動いてくれた。
ありがとう、本当に心の中から感謝した。
そして、2週間が過ぎた。
ラグはある貴族の屋敷に連れられた可能性が高かった。
悪い噂ばかりの貴族で闇ギルドと繋がっているとか、誘拐や人体実験、さらには魔物を連れ込み怪しい実験もしているとか。
Cランクをはるかに超えるラグが捕まったまま出てこないなんて…
……もしかして、何かの実験体にでもされたの?
あり得ないわね。そんな事になったら自分で逃げ出しているだろうし…
まさか、接待でも受けてる?
自堕落大好きで働くのが嫌いな彼が捕まっている理由は他に考えられる?
好きな時に好きな物が食べられて寝られて、女性にマッサージされて、最後はあんなことやこんなことまで…
考えてたら腹が立ってきた。
ちょっと、皆で彼をお迎えにいこうかしら?
あの貴族は悪い噂しかないから、遅かれ早かれ捕まるわ。
誘拐の現行犯なら領主も文句言わないはずだわ。
さぁ、皆。武器を持ってー。カチコミよ!
「「「うおおおおおおおお!!!!!」」」
とある冒険者
驚いたぜ。あの鉄仮面といわれるほど無表情のフェノ主任があんなに心配そうな顔するなんてな。
しかも、ギルドに色々融通してくれる出資者のラグさんが誘拐されたと。
冒険者の訓練所をつくり、ギルドを建て替え、よく俺たちに酒を奢ってくれる。
そんな戦いも知らない一般人が俺たちの助けを待っているんだ。
あの人には冒険者全員がお世話になっているんだ。
今度は俺たちが助ける番だ。報酬なんて要らねぇ。
絶対に助けよう。




