おっさんと忙しい日々
魔境都市で実体化したドラゴンを狩る。
サイズは大きくなかったので、一人で引きずって出てこれた。
今度はちゃんと、ランクアップしないようにしてもらい報酬を貰った。
これが一カ月前くらいの話だ。
やっと、この商業都市にもドラゴンが討伐され、それに関する武器や防具の販売がされたと噂が回ってきた。
フットワークが軽い冒険者たちは我さきにと魔境都市へ向かっていった。
ドラゴンの武器防具がどれだけ高額かも知らずに…
そしてその結果、商業都市では深刻な冒険者不足に陥っていた。
どれくらい深刻かというと、都市間の移動の商人を纏めて出発させて護衛に向かわせる冒険者の数を一人でも減らし、他の依頼を処理していた。
さらに、採取などの危険度が低い物に関しては、冒険者ギルド職員が採取に向かうというぐらい人手が足りなかった。
ユウジも女勇者も別々のパーティーで頑張っている。
姪のルインがいるパーティーも討伐の依頼で街を出ている。
そして、俺もフェノにお願いされて毎日ギルドに顔を出している。
俺が危険度の高いもの、緊急性の高いものを優先的に処理するためだ。
他の冒険者が大きな怪我を負う恐れのある依頼は全部俺が処理する。
そんな過酷な日々を2か月ほど過ごした。
っていうか、俺だけ過酷だった。
後から聞いた話だが、他の冒険者は依頼を終えたら、ギルドへの報告は後にして休養して体調を整えてから報告に向かい、次の依頼に向かっていたらしい。
俺はダブルヘッダーどころか、トリプルヘッダーまでやっていたのに。
そして、魔境都市に行った冒険者も戻って冒険者ギルドは平穏になった。
これから、俺をこき使った冒険者ギルド職員へどんな仕返しをしてやろうかな?
クックック。楽しみだ。
で、冒険者ギルドのギルド長と話し合った結果、すべての職員に臨時のボーナスを支給することになった。
もちろん、ギルドにそんな予算はないので、俺から融資という名のご褒美だ。
さらに、女性職員には高額な美肌ポーションを男性職員には、夜が元気になるポーションをプレゼントした。
両方とも、高額で一般的な一か月分の賃金に相当する。
ちなみに、美肌ポーションは夜のお店の子で使い実証され、元気になるポーションは俺が使い、静まるまで2日かかった。アレは凄かった。意志とは関係なく常に臨戦態勢だ。
ギルド職員に感謝されながら宿へ帰った。
そして、翌日逮捕された。
何で?
俺は手錠と目隠しをされ馬車に乗せられた。
暫く進み、馬車を下ろされ歩かされる。
ジメジメした感じから地下へ入ったようだ。
最初は尋問かな?って思うだろう?
牢屋に入った瞬間、後ろから蹴りを入れられ、そのまま馬乗りで殴られ続けた。
俺を殴っている男は興奮しているのか笑いながら殴り続けた。
その後に、大きな槌で両足を潰されたが、俺の素の防御力が高いから痛くもない。
むしろ、圧迫マッサージ的に気持ちいがいい。
そして、俺の顔面は血だらけだ。
もちろん、俺の血ではない。殴った奴の血だ。
槌で俺にダメージを与えられないのに素手なんて無謀を通り越してアホか?と聞きたくなる。
「おい、大丈夫か?」
兵が去って隣の牢の男が声を掛けてきた。
「ああ、生きてはいる」
「あの殺す気の暴力っていうか、拷問によく耐えられたな」
「ああ、頑丈なんでな。それよりココは何処だ?いきなり拷問って穏やかな場所じゃなさそうだな?」
「ずいぶんと呑気だな。ここは何処かわからないが、貴族の屋敷だ。たまにパーティーを開いているような声や音楽が聞こえる。」
貴族か…。俺、貴族に何かしたか?心当たりがそんなにないぞ?
たしかに、貴族の娘とヤッた事はあるが、もう10年以上前だ。それとも、昔、酔っ払って貴族のバカ息子を殴った事か?または、貴族の婦人と不倫していた庭師の逃亡を無償で手伝ったことか?それもと、貴族の当主との賭けに買ってパンツ一枚で帰らせた事か?あ、俺って色々やってんな。もう、どれが原因で恨まれても仕方ない事ばかりだな。ダメじゃん。
「ふーん、貴族ねー。まあ、そのうち出られるでしょ。で、そっちは何でこんな所に?趣味か?」
「趣味じゃねぇよ!人質だ。俺の命と引き換えにオヤジたちが毎月闇ギルドへ金を払っているだ。くそっ、家族に迷惑かけるくらいなら死んじまいたいよ」
へー、大変だな。なんて、他人事のように聞いているが、実際に他人ごとだ。
まぁ、そのうち事態が変わるでしょ?それに、最悪の場合は自分で脱出できるしね。
ジメジメして床の上に直接寝てるが、とても静かだ。結構快適かもしれんな。




