おっさんテンプレと遭遇する日々
誰得だろうか。
35歳のおっさんのヌード。
そんなことを考えながら泉を泳ぐ。
魚が俺の竿に食らいつたら…、釣り上げてやる。
バカなことを考えながら泳ぐ。
よし、反対岸についたぞ。
もうひと泳ぎだ。
ん?森の中を猛スピードで走る馬車が…
それを馬に乗った荒くれ者が追っているな。
20人ちょっとか…、盗賊団か?
馬車があの速度で走っていれば5分も経たずに街道に出るし、近くに冒険者がいれば助けてくれるだろう。
それに、馬車の中から護衛も弓で反撃していて盗賊も近づけないようだな。
ふむ、何もなければ逃げ切れるな。
と、思ったら、馬車が木の根に引っかかって横転した。
これはまずい。助けにいくか。
だが、さすがに全裸は無いな。
…しかたない、変身していくか。
護衛兵長
お嬢様の婚姻が決まり、式の為に故郷に帰る途中で襲撃か。
このあたりには盗賊の情報はなかったはずだ。
ならば、婚姻を快く思わない者の差し金か…
おそらく、エメレル家を狙うあの貴族だな。
なんとしても、守り切って見せる!
…
よし、もうすぐ街道だ。
そこに行けば奴らも追っては来まい。
だが、ここで馬車が横転だと!!
お嬢様…お守りできずに申し訳ございません…
ラグ(主人公のおっさん)
なんだかんだと、護衛の弓の腕が良くて盗賊も残り10人ほどだ。
盗賊団は馬を降りて倒れた馬車を囲んでいる。
お、護衛の一人が馬車から出てきた。
兜が脱げ顔が見えた。20歳前後の青年だが、全身血まみれだ。
結構危険かも。
「お嬢様には指一本触れさせん!」
いや、思ったよりも元気だな。
「僕たちは盗賊だ。獲物があれば襲うのさ」
盗賊団に紛れていた、貴族風の優男が答えた。
「き、貴様は!アウグス家の!やはり狙いはお嬢様か!」
「お嬢様が僕の物になれば、エメレル家は僕の物になる!そのためにはその子が必要なんだ。」
なるほど、貴族の政治的なナンチャンらだな。俺にはよくわからないが…
「さぁ、お嬢様以外は全員殺すんだ。お嬢様も逆らうなら腕の1本くらいは構わん。やれ!」
情報は聞けたかな?さて、助けるか。
俺は傷だらけの護衛の前に降り、襲い掛かる盗賊を殴り倒した。
「!誰ですか!」
「醜い己の欲望の為に人を陥れる…。人の道を外れた者よ、己の行いを恥と知れ!人、それを『外道』と呼ぶ!」
「な、名を名乗りなさい!」
「貴様に名乗る名はない!」
俺は腰にあるアストラルブレードを引き抜き、刀身が1メートルくらいと確認した。
そして、誰も間合いに入っていない空間に向かって切り裂いた。
「フフフ、誰もいないのに、何を…!!」
優男以外の盗賊がバタバタと倒れて行った。
「武器を持たぬ者を切るのは騎士にあらず」
俺はそう言って、アストラルブレードの刀身を消して柄を腰に戻した。
そして、倒れた馬車の中から様子を見ていた他の護衛が飛び出し、優男を拘束した。
「助かった。礼を言おう」
血だらけの護衛が仲間の回復魔法を受けながら礼を言った。
「なに、礼には及ばん。正道を助けるのは騎士の務め」
「後ほど正式に礼を言いたい。名前を伺ってもよろしいか?」
「…」
俺は首を横に振った。
「さらばだ。」
俺は空高く飛び上がり、その場を離れた。
護衛兵長
決死の覚悟で盗賊と対峙していると、颯爽と現れた銀色の騎士。
噂では聞いていたが、本当にいたのか…
そして、あの口上。
「醜い己の欲望の為に人を陥れる…。人の道を外れた者よ、己の行いを恥と知れ!人、それを『外道』と呼ぶ!」
カッコいい…
「武器を持たぬ者を切るのは騎士にあらず」
「正道を助けるのは騎士の務め」
こんなセリフ言ってみたい…
人の道を説き、騎士の本懐を全うする。
こんな騎士になることを憧れていたんだ。
俺も彼に近づけるように精進しよう。




