おっさんと変な噂が立つ日々
失敗した。
商業都市と同じ感覚でいた。
Bランクの冒険者から情報開示になる。
依頼の種類ごとの達成率、回数などなど。
そして、依頼者はこの情報を見て個別に指名する事ができる。
ギルドも指名依頼を推奨していて、指名依頼をすることはギルドに多大な貢献していると判断される。
すなわち、指名依頼は断れないのである。
俺はコレが嫌でやり直したのに。
まぁ、仕方ない。
また、駄々をこねるか。
魔境都市を夕方に出たので、私のホームである商業都市に到着したのは夜だった。
けっして、途中で温泉のある村に立ち寄って風呂に入っていたわけではない。
露天風呂最高!なんて思ってもいない。
冒険者ギルドへ到着するが、フェノの姿が見たらない。
フェノは日勤職員だ。この時間は家にいる。
夜勤で俺のことを知っているのは…
いた。あいつだ。
…あいつかー。関わりたくないんだよな。
「よお、久しぶりだな」
「あら、その声はラグちゃんじゃないの?ひ・さ・し・ぶ・り♡」
こいつは元冒険者のスコーピオン。口を開かなければ女性にもてるだろうイケメンだ。
ただし、オネェ系なので夜に会ったら、ケツに注意しなければならない。
「よう、元気だったか?早速で悪いが込み入った話になりそうなんだ。2人だけで話せるか?」
「あら?私への愛の告白?嬉しい!早速、愛を確かめるのね」
こいつの冗談か本気かわからないボケをスルーして会議室へと向かった。
後ろの方で女性職員が騒がしいが何かあったのか?
「で、どうしたの?ラグちゃん?」
「ああ、俺が万年Cランクだったの知ってるだろ?」
「ええ、夜は働きたくないからBランクに上がらないって言ってたわよね?」
「ちょっと、手違いがあってBランクになっちまったんだ。」
「あらー、災難ね。誰がミスしたの?私がとっちめてやるわ」
「いや、ここのギルドじゃないんだ。俺がランクアップ拒否するのを伝え忘れてたんだ」
「なるほど。それでどうするの?早ければ明日にも指名依頼来るわよ?」
「ああ、だから俺は冒険者ギルドを抜ける。」
「え?抜けてどうするの?」
「もう一度、冒険者ギルドへ登録する」
「そ、それって…。手続きがメンドクサイわ!」
「そこは、不正だって言わないのかよ?」
「ルールには抜け穴があるのよ。そこをちょっとツンツンすれば大丈夫よ」
「なんだか、卑猥な表銀に聞こえるが…、まぁ、いい。すぐにお願いできるか?」
「ええ、もちろんよ。お金も移動させておくから私に任せておきなさい」
俺はスコーピオンに礼を言い、会議室を出た。
そして、女性職員にチラチラ見られながらスコーピオンを待った。
「お・ま・た・せ♡これが新しいカードよ」
俺はカードを確認した。
たしかにFランクの緑のカードに俺の名前が書いてある。
「ありがとう、スコーピオン」
「いいわよ、また今度一緒に熱い夜を過ごしたいわね」
「ああ、そうだな」
熱い夜。
あれはまだ、スコーピオンが現役の冒険者で俺もイケイケだった頃の話だ。
スコーピオンは彼の仲間達と共に護衛の依頼を受けていた。
野営中に盗賊団の襲撃を受けた彼を見つけた俺は、そのまま彼らに加勢した。
当時はレッドなんとかというチームがドラゴンを倒したという話が流行っていて、彼らと同じように肘に赤い布を巻くのが冒険者で流行っていたんだ。
見分けるのは簡単だった。
と、いっても当時の俺はまだ普通の冒険者と同じくらいしか能力がなかった。
月明りでそれなりに見えていたので、変身することもできずに我武者羅に戦い、盗賊団を退けた。
俺たちは全員が体中に傷を作りながらも、何とか生き延びることができた。
あの時の達成感は今も忘れられない。
あと、スコーピオンもオネェでは無かったな。
それから、冒険者ギルドでスコーピオンたちと親交を深めていったんだ。
何年かたち、彼らのチームは誰の犠牲も出さずに解散した。
その時にはオネェだったな。
のちに風のうわさで、解散理由が同性間での恋愛感情のもつれと聞いて納得してしまった。
もう、ずいぶんと昔のことだ。
さて、なぜか女性職員にチラチラニヤニヤされてるんで退散するか。
明日からFランクか。また一から頑張りますか。
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