おっさんとランクアップの日々
やっと地上へ到着した。
早朝にダンジョンに入って、出てきたら昼前か。
長居しすぎたな。
なぜ、俺がこんな時間まで出てこれなかったかというと、サイクロプスをそのまま引きずってきたからだ。
幸い、狭い通路でもギリギリで持ってこれる幅だったからよかったが、最悪の場合はパーツごとに切り分けて持って来るか、そのあたりにいる冒険者の手を借りて持ってこようと考えていたからな。
帰り際にも、何度か襲われたが瞬殺して終わった。
持ち切れない魔石は、サイクロプスの口の中に入れてある。
結構便利な袋代わりだよな?
さて、出てきたは良いがコレをどうやってギルドへ運ぼうかな?
ダンジョンの入り口で魔物に腰かけて考えていたら、ギャラリーが集まってきた。
しばらくして、冒険者ギルドの制服を着た人が数名こっちにやってきた。
「こ、これはどうしたんですか?」
「実体化してたから狩ってきた。どこの部位が必要かわからなかったから全部持ってきた」
「わ、わかりました。すぐに証明書の発行をします!」
ギルド職員がバインダーに挟まれた紙に色々と書き込んだ。
書き終わると2つ折りにして封筒に入れ、俺に渡した。
「これとギルドカードを一緒に提出してください。それで、他のお仲間はどちらですか?」
「いや、一人で狩ったんだ。」
「こ、この魔物を一人で…」
正直、余裕だったが黙っておこう。
「この魔物を一人で倒せるなら大丈夫だと思いますが、そちらの封筒には討伐証明書と魔物の査定が書かれています。封筒を提出した方にギルドのポイントと報酬が支払われます。決して、無くしたり他人に渡さないようにしてください。提出したのが貴方様でなくても報酬が払われますので、注意してください」
おいおい、こんなにギャラリーがいる所でそんな事言うなよ。
襲われちゃうじゃないかー。
目つきの悪い奴らがどこかに行きやがった。
きっと昼飯を食べに行くんだろうな。
決して俺を襲うために移動したんじゃないはずだ。
さて、準備ができるまで俺は飯でも食うかな?
旨かった。
まさかダンジョン前の屋台がこんなにレベルが高いとは思わなかったぜ。
さて、ゆっくり飯くったから、そろそろ行くかな?
俺は魔境都市へ向かって歩いて行った。
途中で何台かの馬車に追い抜かれたが気にしない。ゆっくり行こう。
「おい、待ちな!封筒を出せ!」
俺の前に3人の男たちがいた。
後ろにも3人ほど気配がある。
囲まれたか。
もう、冒険者崩れというよりも山賊に近いな。臭いし。
「どうした?ビビッて声もだせねえのか?はっはっはー」
俺はため息を吐き、神速を持ってリーダー格の男の背後に回った。
「は?」
その瞬間、男のズボンが細切れになり股間をあらわにした。
「で、誰がビビッて声も出せないって?」
俺はリーダー格の男の方を鉈の背で叩いた。
「!!!!」
男たちは驚いて声が出せないようだな。
「まぁいいや、お前らまだ冒険者なんだろ?」
「ああ、歴とした冒険者だ…。最近、依頼の失敗続きで金がなかったんだ。す、すまねぇ許してくれ」
冒険者ギルドは歯向かう者には容赦しない。まして、飼い犬に手を噛まれたなんて知れたら、地獄の果てまで追われる。
冒険者の中には、ソレ専門で動いている者もいる。
まぁ、話は逸れたが許されざる者なんだよな。
「謝るくらいなら最初からやらなきゃよかっただろ?それに、謝る相手が違うだろ?」
俺は彼らの後ろを見た。そこにはギルド職員と腕利きで信頼のおける冒険者のチームがいた。
「問答無用です。捕らえなさい」
ギルド職員の言葉で次々と捉えられる男たち。
最初から罠だったんだ。
実体化したサイクロプスを一人で倒し、持ってきた常識外の冒険者。
それを囮として、冒険者として一線を超えたのを捕縛しようと考えていたのだ。
バカが引っかかると思った見え見えの囮だったが、その後も数グループを捕縛できた。
誰かのセリフじゃないけが、バカばっかだな。
そんなこんなで、ゆっくり歩いていたら、到着が夕方になってしまった。
俺はそのまま冒険者ギルドへ行き、封筒とギルドカードを渡した。
査定額がいくらか知らないが、Cランク一回分以上はあるだろうな。
そして、手渡されたのが、赤いカードだ。
俺が渡したのは銀色のカードだ。
カードの色が違う。
「Bランクに昇進おめでとうございます」
にっこり可愛く言われちゃ文句も言えねぇ。
「あ、ああ、ありがとう」
俺はそのBランクのカードをもって商業都市へと戻ってきた。




