おっさんの出資する日々
ユウジと出会って10日が過ぎた。
その間、俺は仕事の疲れを癒すために昼過ぎに起きて早く寝るという生活をしていた。
まぁ、いつも通りの生活だな。
今日は先日オーガを倒すために失ってしまった鉈を新調しようと武器屋まで来ていた。
店内に間ある多くの武器、片手剣から始まり両手斧もある。もちろん、ボウガンや弓、短剣なども並んでいる。
俺は店内にある武器を一通り見ながら一周すると、武器屋を出た。
人が多すぎ。
周りの人が冒険者だから鎧を着てるし、ガタイが良いから歩くスペース狭いうえに鎧と鎧に挟まれて圧迫死するかとおもった。
まさか武器屋で買い物するのに防具が必要とは思わなかったぜ。
まぁ仕方ない。あの店に行くか。
俺の新しい武器を腰に差し、ご満悦で道を歩く。
新しい相棒は肉厚で中々折れない骨太で刃の反対側に反っている。
長さは短めの40センチほどで取り回しがしやすく、狭い場所でも使いやすい。
新し相棒の名前は『鉈』だ。
買った場所は園芸店だ。
前回の鉈もここで買ったと思う。
一応、殺傷能力はあるが、魔物に対して有効かは気にしていない。
ある程度、本気だして石でも投げれば倒せる。
そんな事を考えながら道を歩いていると、
オープンカフェテラスで食事をしているフェノを見つけた。
何やら、ため息をつき落ち込んでいるようだ。
「やぁ、フェノ。気分が落ち込んでいるけどどうしたんだい?」
俺は笑顔で、空気を読まないアメリカ人みたいな感じで話かけた。
「ラグ…、実は最近Eランク、Fランクの冒険者の死傷者が多くて…」
俺は対面に座り、店員にコーヒーとサンドイッチを頼むとフェノの正面に座った。
食事はすぐに届き、フェノを話を聞きながら食べた。
詳しくは、新しい武器を買ったが碌に武器の使い方を知らない冒険者が無謀にも魔物に挑み、逃げかえってくる。
昔は、武器の使い方を先輩冒険者に依頼という形で頼み、鍛錬してから討伐に向かったが最近は武器の威力に任せて挑む冒険者が後を絶たない。
どうにかできないか?という相談になってしまった。
確かに、昔は俺も何人もの若手に剣を教えたことがある。
剣を斧のように叩きつける若手も珍しくなく、正しい剣の使い方を教えたものだ。
「それなら冒険者訓練所なんかどうだ?」
「訓練所…」
首をかしげるフェノに説明した。
武器の使い方を知らないなら教わればいい。それに、冒険者は事前に情報を集め万全の体制で向かうのが基本である。若手はそんな事も知らずに事前準備を軽視して向かうから怪我をしたりする。
ならば、引退した冒険者から剣の扱いや採取方法、依頼人との交渉術を教えれば死傷者は減るはずだ。
俺はフェノの目を見ようとしたんだが、ちらちら胸元を見ていた。
多分、バレているんだろうな。
「うん、それは前にも話が上がったんだけど、資金面で難しいって話になって…」
「そこは俺に任せろ。何とかしてみよう」
出来るとは言っていない。なんとかするとしか言っていないのが言葉のマジック。
その後、フェノと2人で冒険者ギルドへ行き、ギルド長と会い打合せを開始した。
厳つい顔のギルド長の話では以前同じような話があったが、出資者が元事業で失敗し途中で頓挫した。
土地、建物はあるので、運営費があれば行ける。
幸い、俺が持っている資金は潤沢だ。ここ数年は宿代と食事代以外はほとんど使っていない。
そして、俺は大事な事をギルト長に伝えた。
出資はするが、運営はしない。
金は出すから、あとは任せた、という事だ。
俺は普通の冒険者だ。運営なんかできない。適材適所が一番だ。
それに、ギルドの下位組織になるんだから、ギルド長とも懇意の者が相応しいだろう。
ギルド長も同意してくれた。
出資者として運営をしらないと不味いらしく、訓練所の運営は俺の資金以外にも冒険者ギルドが一部出し、訓練所を卒業した冒険者の報酬の一部を数年に渡り、訓練所への資金に充てる。
また、教える教員も元冒険者が教えていくそうだ。武器の扱い、魔法の訓練、魔物の特性、採取方法、交渉術など専属指導になるそうだ。
訓練期間は一カ月。寮に入り、朝から晩までみっちり指導する。
対象はEランクFランクGランクの冒険者。いわゆる駆け出しの冒険者。
俺はギルドカードをギルド長へ渡し、3年分の資金を引き落としてもらうと、カードを返しもらい宿へ帰った。
若き後進を導くのもおじさんの役目だ。
資金もまだまだある。多分20年くらいなら渡しても問題ないが、とりあえずって事で3年にしておいた。
ギルド長には資金が欲しい時はいつでも言ってくれと伝えてある。
お金の余裕は心の余裕と誰かが言ってたな。
え?言ってない?




