廃部の危機
翌日の放課後、第6デュエル部部室
「非常残念な、お話があります第6デュエル部はこのままだと今年で廃部にまります」レイ部長が部活が始まり早々に開口一番に宣言した。
「ええー、第6デュエル部が廃部!!」アカリが驚きの声を上げた。マジック&グリモワールが大きな力を持っているこの世界では、1つの学校に複数のデュエル部が存在することは不思議ではなく、この学校も例外ではない。
「でも、いったいなぜ急に廃部に?」ハクノは首をかしげる。ハクノの記憶を探る限りでは少なくとも第6デュエル部が廃部になるようなことをした覚えはない。
「そのことについては、私が説明シマース」
「ブラウン先生!!」ブラウン先生は一応第6デュエル部の顧問だが、めったに顔を出さない人だ。
「学校としては増えすぎたデュエル部を減らそうと思っているのデース」
「えぇ、ども今までそんな話なかったじゃないですか」
「そんなの関係ありまセーンこれは学校の決定なのデス」ただし、そう前置き続けてブラウン先生はいった。
「学校の方針としては、次の大会の校内予選の結果しだいでは考え直しマース」
じゃ、がんばってください、そう言ってコモンのブラウン先生職員室にもどっていった。
「結局なんなのよ、意味わかんないよ」アカリはぼやく。
「これもすべて第1デュエル部が元凶よ!!」レイ部長は言い放った。
「第1デュエル部!!」第1デュエル部はこの学校で1番最初に設立されたデュエル部で伝統がありこの学校では1番強い。昨今では、校内予選では第1デュエル部の独壇場で、第2デュエル部がかろうじて追従している現状だ。
「ほら、去年大型ルーキーが入って地方大会で大活躍だっただろ」今での第1デュエル部が強いのはあくまで校内大会だけで、地方大会では2回戦に行くか行かないかの内弁慶だった。
「だから、学校もデュエル部に力を入れようとして、その一環で……」
「そんなのお横暴よ、だいたいあんなに予算もらっていたら強くなって当たり前じゃない」アカリは憤る。
「まあ、すぎたことはあきらめましょう、レイ部長は何か考えがおありですか?」ハクノはこれもう無理じゃないかと半分あきらめる。
「とりあえず、今まで通りカードを購入してデッキを強化するとか、デュエルの練習をしていこうと思う」
「それで大丈夫ですかね?」アカリはレイ部長に不躾に投げ掛ける。
「しょうがないじゃん、このくらいしかできることがないだから」
「メグミン、どう思う?」そう言って、アカリは今まで1度も口を開いてない後輩のメグミに聞く。
「そんなの、私に聞かれても……」まさか聞かれると思ってなかったのだろうメグミはすっかり困りはててしまった。
「とりあえず、みんなでデッキ構築しよ」ハクノは後輩のメグミに助け船を出す。
「そうね、そうしましょメグミさんも今年から始めたばかりだし」
部長のその一声で私達はデッキの構築をすることになった。
「アカリこのカード、あんたのデッキにいらないんじゃない」ハクノはアカリのデッキを見ながら言った。
「えぇ、でも前にハクノンこのカード見た時強いって言ったじゃん」2人の見ているカードは爆発のルーンというカードだ。
爆発のルーン:3赤
クイックスペル
ユニットを使用した時、それに貫通6ダメージ与える。
「確かに悪くないカードだけどコントロールよりじゃん、アカリのアグロデッキには合わないんじゃない」アカリのデッキは軽量のユニットと軽い火力のスペルで相手のライフをガンガン削っていくデッキだ。
「そういや、このカードのどこがそもそも強いの使いどころが限られる火力スペルじゃない」とりあえずピン指しで入れてみたけど、そう付け加えてアカリは言った。
「ええ、わからず入れてたの!!」馬鹿じゃないの、ハクノはアカリに聞こえないような小さな声でつぶやいた。
「このカードはね、ユニットの召喚時効果を無効にできるの」
「……??え、なんで?」どうやらアカリは本当にわかってなかったみたいだ。
「ええと、ユニットの召喚に対してショックとかの火力をうっても、召喚時効果が発動するのはわかる?」
ショック:1赤
クイックスペル
2ダメージ
「そんなの簡単じゃん、たとえ破壊されたとしても召喚した事実がなくなるわけじゃないからでしょ、打ち消されない限り発動するんでしょう」
アカリは自信満々に言い放った。
「それであってるよ、だた爆発のルーンのカードは特殊で戦場に着地する前にダメージを与えるカードなの」分かるかなと、アカリに説明する。
「……??つまり召喚時効果を無効にできるんだね」どうやらあまり分かっていないようようだ、ハクノはがっくりと肩を落とす。
いったんアカリとの話を切り上げて、ハクノは後輩のメグミの様子を見に行く。
「メグミちゃん、どうデッキは完成した」
「ハクノ先輩、デッキて40枚じゃないとだめですか」
*マジック&グリモワールではデッキは40枚以上60枚以下でなければならない。
「だめじゃないけど、40枚に抑えるのが無難だよ」デッキをついつい膨らませてしまうのは初心者にありがちなミスだ。
「なにお、抜いたらいいかよくわからなくて」そうおずおずしながらメグミはハクノに尋ねた。
「とりあえず、デッキ見せてもらっていいかな」どうぞ、とメグミからデッキが手渡される。
「どれどれ」メグミのデッキは色々な色の強そうなカードを混ぜたデッキで悪く言えば紙束に近い状態だった。しいて言うなら緑のカードが多かった。
「ええと、このデッキはどんな意図でつくったの」
「優秀な緑のユニットを他の色でサポートしていこうと思って作りました」
考え自体は悪くない、単色のデッキよりも多色のデッキのほうができることが多く対応力が高いただし……
「このデッキこのままだとそうとう回すのが難しいよ」選択肢の多さはプレイングの難しさにつながる。
「後、基本エネルギーだけじゃきついね」
マジック&グリモワールにはデュアルエネルギーといった1枚で2つの勢力を得ることのできるカードが存在して色事故に役立つが、需要がきわめて高くとてもじゃないが初心者が手を出せるものではない。
「色を1つにしたらどう」アカリが2人の会話に加わってきた。
「それがいいんじゃない」ハクノもアカリの意見に同意する。
「単色はいいよ安い、簡単、強い」単色のデッキはできることは少ないが分かりやすくてシンプルに強い。後、色事故とは無縁なのが初心者に優しい。
「でも、プロの大会では多色のデッキが多いですよ」
「それは、複数の色を使用することで対策されて詰まないようにするための面が大きいよ、プロはアマチュアと違って基本的にマッチ戦だからね」
*デュエルを3回行って勝者を決める。デュエルの合間にメインとサイドデッキを入れ替えることが出来る。アマチュアは基本的に1回勝負。
*サイドデッキ:メインデッキとは別の15枚以下のデッキ。
「とりあえず、緑で統一したいと思います」
「それでいいんじゃないメグミン、できたら私と対戦しよ」
メグミのデッキが完成しだいとりあえずアカリと対戦する流れになった。