勇者を倒すたった一つのやり方
「フハハハハハ~!、どうやら勇者が現れたようだな!場所はどこだ?」
「はい、魔王様!ただいま始まりの町にて、旅支度をしています。まだ何の経験も積んでおらず、レベルは1のままのようです!」
「なんだと!?そんな雑魚を相手にしたってしょうがない、低レベルの魔物達を大量に送り込んでやれ!フハハハハハ!」
「はぁ~、お忘れですか?魔王様」
「う、うむ?何をだ?」
「初代魔王様が、低レベルの魔物達を大量に送り込んで、最後には順調にレベルアップした勇者に殺されてしまったことですよ。」
「お、おお、もちろん覚えているとも。フハハハハハ!わざわざ奴を強くしてやる必要などない!最強の四天王のあいつを送ってやれ!あいつが負けるわけがないわぁ!」
「それはすでに三代目魔王様が行っています。四天王の奴は勇者を殺し忘れた上に勇者の彼女を連れ帰ってきて、結果ものすごく怒った勇者にあっという間に滅ぼされたじゃないですか!」
「だ、だが、今の四天王最強の奴に限ってそんなこと………」
(あるな)
(絶対ありますよ)
「うぐぅぅ~、ならば仕方ない!我が直々に行って勇者の奴を倒してやろう!フハハハハハハ!!」
「それは七代目ですね。確かに確実に倒すことは出来たのですが、当たり前のように生き返って、それでなんか、"負けイベントだから"?みたいなこと言って旅を始めてました。」
「ぐぬぬぬぬぬ!なかなかやるな勇者のやつぅぅぅ!四天王を全員呼んで、作戦会議だ!確実に勇者を倒す方法を考えてやる!」
「はっ!」
「待ってろよ勇者~~~!」
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三日後
「できたぞ!これが完璧な作戦だ!」
「やりましたね!魔王様!これで勇者なんてあっという間に!!」
「まあ待て、そう早まるな、では、作戦を発表する!」
「作戦は、"始まりの町の周りにレベル23~25の先制攻撃を得意とするモンスターを大量に配置する"だ!!!」
「素晴らしい!」「なんて完璧な作戦!」「さすが魔王様!」
「では、総員さっそく準備に取りかかれ!!!」
「「「はっ!」」」
「あの~、魔王様?」
「なんだっ、偵察兵っ!」
「勇者が、魔王の間に来ていますが?」
「なんだと!?作戦はどうなる!」
「いえ、ですがレベルは1の様なので、私が倒しておきましょうか?」
「ならん!我が対応する!お前には荷が重いだろう!」
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魔王の間
「お前が魔王か!」
「そのとおり!我が魔王だ!」
(勇者?レベル1?倒しても死なない?突然のパワーアップ?負けイベント?彼女がいる?伝説の武器?挙げ句の果てにチート?)
「お前を倒しに来た!今、己の行いを悔いるのなら、許してやってもいいぞ!どうする!?」
「そんなの決まっておるだろう!」
(そんなの決まっているだろう!)
「降参ですっっっっっ!!!許してくださいぃぃぃぃぃ!!!」
(レベル1の勇者になど、勝てるわけがないだろ!!!)
世界最強の生物、その名も
"レベル1の勇者"