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メイドさん方に対する正誤や私見

作者: 塚本十蔵

 今日はメイドスキーたる私がメイドさんを含むあれこれを紹介します。

 序文のあとは女性使用人、次に男性使用人、次にかつてあったメイドマンガの批評です。あと最後に一風変わった男のエピソードを入れます。

 


 まずはメイドさんの背景。現代日本をベースとする創作物の場合に良く財閥が出てきますね。

 はい、ここで失格。『現代日本』に財閥なんかありません。第二次大戦後にGHQが日本の財閥を解体しました。

 え?三菱系とか住友系とかあるじゃん。と申されますね。はい一理あります。

 ですが今在るのは財閥の残滓で、今現在、財閥の代わりにグループ企業が財閥の穴を埋めていますが、その実務的影響力は比べ物になりません。旧主家(財閥での最大責任者)の持つ権利権力は削りに削られています。乱暴ながらマスオさん状態です。その現在における代表的主家が、解体されたとは言え、生き残った傘下企業にたいする発言力は旧財閥などと比べ雲泥の差があります。

 最大責任者が『よし、皆の力を合わせて一大事業をするんだ!』なども通りません。それぞれの代表者から笑われるだけです。それほどまで『力』は失いました。

ぶっちゃけ、家族経営で小銭を稼いでもグループ企業を名乗れるのが今の日本です。


 さて話はズレてしまいましたが、投稿小説でも一般小説でも映像化作品でも主人公現代日本が舞台でしたら、『財閥』の単語がでれば鼻で笑ってあげましょう。



 ではメイドさんは居ないのか!? 

いえいえ、そんな事ありません。メイドさんは実在します。ただし、日本には本場英国を祖とするメイドさんは希少です。超希少種です。



 それでは英国式使用人を説明していきます。


『家政婦』ハウスキーパー。

 女性使用人の頂点に立つメイドの最高権力者です。

 家内において女性主人をサポートし、女性使用人の職掌に関する物品の管理や人員の監督が仕事です。

 ては早寝早起きなのでしょうか? いいえ、少なくとも高価な食器(銀食器)などの点検も任されていますので、家内でのすべての作業が終わるまで責任を持った最良の人物がハウスキーパーとなるのです。

 日常は屋敷のあちこちで監督するのでは無く、専用の執務室で日曜雑貨、消耗品などの帳簿作業に追われています。また女性使用人採点も行っており、勤務評価を主人に提出しています。

 ハウスキーパーに媚びを売っても益はありません。全く無い、と申せませんがメイド達は相互監視していますようなもので、常に素行や業績を見られています。屋敷に一人しかいない場合を除き相互監視は当たり前と思って下さい。

 日本の場合、英国のような権限はまったくありません。単なる女性使用人です。


『侍女』レディーズメイド。

 小間使いとも言います。女性主人に使えるメイドで彼女らの生活に必要なあれこれをを準備し、整理整頓します。

 モノホンの貴族に仕えるレベルの方から中産階級の女主人に仕える話し相手レベルまで幅広く存在します。メイド服の様なお仕着せよりも上質な布地を用いた品の良い服を身につけいます。

女主人と雑談する必要性から、より高い知性を求められます。


『客間女中』パーラーメイド。

 屋敷に客が来た場合、応接間や客間において接客を担当します。

その必要上見た目がもっとも重要です。ちなみに良くありがちなドジっ娘メイドは居ません。居たら屋敷の恥です。

 また勘違いなされられる様ですが、晩餐会などで客をもてなし皿などを取り替えるのは給仕の仕事です。サロンにて茶会の采配はパーラーメイドの仕事なので違いを頭に入れておいて下さい。後で説明しますが給仕は男性使用人の仕事です。


『子守り女中』ナースメイド。

 ナースと言えば看護師を想像しますが、彼女らは医療従事者ではありません。主人の子どもら(幼児から日本での低学年あたり)の面倒をし、監督をしながら遊ぶ職業の従事者でキチンと給与が出ます。

 ある程度の初等教育(情操教育)を担い、分別のつく上流階級の子弟となるべく面倒を見るのが仕事で、屋外の散歩では牧童犬のように周囲を警戒します(もっとも、行く場所は大抵の場合安全で、突発的なアクシデントがない限り問題はグズる子供だけです)

 ナースメイドは比較短期間の仕事ですが、屋敷の子供らと(特に嫡男や長女)仲良くなれば契約を更新し従僕や侍女などにクラスアップする可能性があります。


『乳母』ナニー。

 子守り女中の別バージョンではありません、れっきとした女性使用人です。

 上流階級において子育ては屋敷の者が担当する『業務』であり、一般家庭のそれとは大きく異なります。

 初授乳は一種の儀式ですが、それ以降は乳母が乳を与え育てます。乳母になるための専門知識は重視されませんが乳幼児期の様々なトラブルや知恵を知っていれば、誰からも敬意を持って接する事となります。

 基本的に授乳事期を過ぎれば解雇の対象ですが、愛情の賜物か乳を与えた坊っちゃんからの要請で屋敷に留まる事があります。英国の偉大な政治家ウィンストン・チャーチルは乳母エリザベス・エヴェレストを大事にして、後に年金を渡し続けたのだった。


『家内女中』ハウスメイド。

 メイドと言えば彼女らを指しても良いでしょう。屋敷の者から見て『ああ働いているなぁ』と見える女性使用人です。

 下段で雑役女中を説明しますが、明確明瞭な違いは上流階級の元で働いているか中産階級の元で働いているかだと判断しました。雑役女中も家内女中も掃除をして部屋を検め、上級者や家人からの命令で様々に働いたからです。


『台所女中』キッチンメイド。

 読んで字の如く台所で働く方々です。一概に言えませんが台所の主役達はコック達でした。台所女中達は食材を用意し野菜を切り、洗い、皿やグラスの準備に大忙しでした。現在ならお湯を使い、ピラーで簡単に野菜の皮を剥くのでしょうか、当時にそんな物はありせん。地道にコツコツとやっていくだけでした。 

しかし、それなり以上にスキルの高いものは調理にも参加していたでしょう。中にはキッチンメイドからコックへ転職した者もいたと思います。


『洗い場女中』スカラリーメイド。

 台所女中の下級部門で皿洗いや掃除を担当した。洗濯女中と並ぶ女中が正式に配備される(容姿や技能でパスされる)最初の部門。

女性の敵である腰の冷え、あかぎれと向き合わなければならない最初の関門である。


『調理師』コック。

 説明が必要だろうか? 屋敷の調理を担う職人である。時代や当主の価値観、流行りで男女構成がガラリと変わる不思議な役職。

 文献によってはフランスの男性が最高だとか言ったりする。とにかく読む本でコック達が男性主体なのか女性主体なのかが変わるから面白い。しかしですが大抵の場合、男性が調理長の場合が目立ちますね。

 

『洗濯女中』ランドリーメイド。

 屋敷の下級職でもっとも目立たない女中達。しかし暑い湯と蒸気と薬品が蔓延している職場で、怪我のたぐいはもっとも多い。

 また上級職もなくこの部門で上り詰めるのはほとんどありあえない。反面、屋敷内のわずわらしい事と無縁でいられるのが救い。


『雑役女中』メイド・オブ・オールワークス。

 この名前の通り、彼女らは何でも屋として主に中産階級の家で働いていました。

 当時、労働人口に余裕がうまれ、女性ならメイドとしてお金を稼ぐ事が出来るようになりました。しかし何の教養もなく技量に欠く女性に上流階級者の屋敷で働く事は難しくあり、なれるのは自分らと等しい中産階級だけでした。

 また単に自分の出自が低く、上流階級者から忌避されてもいたのです。

 給金も低く、社会的信用も低い雑役女中らは(その多くは)悪い環境に耐えヴィクトリア時代の最後を駆け抜けます。

 第一次大戦移行は社会全てが変動し、メイドの価値や給金の変動、なにより前時代的因習の象徴でもある家庭内使用人を古きものと認識させられ駆逐されていくのです。


『家庭教師』ガヴァネス。

貴族の子弟に教育を施す教養人です。大抵は高等教育を受けた女性が多いですが、男性の家庭教師もいました。

給金も良く、未婚既婚とわずで人気のある仕事でした。

当時の読み物では男性主人と家庭教師との不倫モノも多く、実際、そうした関係は多かったのです。

終世職業ですが、たいていは引退し、最後に雇われた主人から年金をもらい生活するパターンが多いですね。



次に男性使用人


『家令』ハウススチュワード。

 屋敷の当主を除けば、その屋敷の最高責任者。

 主に男性使用人の監督だが職務は多岐にわたる。使用人の面接や雇用、家計の計算・管理・編纂。公文書の発行・手配・管理。屋敷にある貴重品の管理などである。

 もっともそのすべてを賄うのは不可能で、家令の下位職である執事らと共にし、あるいは監督するのが普通である。

 屋敷の裏の面を支えるのが家政婦なら、家令は屋敷の顔役である。実務としては家令が上だが、屋敷の日常をまわすと言う面では家政婦に軍配が上がる(だからと言ってサボれるわけじゃない)


『執事』バトラー。

 家令の下位職ともとれるが、実際の労働量は執事が上となる。

 家計の帳簿を正確に編纂し、公文書の不備に備え、屋敷の清掃の監督をし、酒類貯蔵室セラーの管理などを任せられる。いづれも手の抜けない重要な仕事である。

 主人の食事の給仕を務めます。


『従者』ヴァレット。

 主人のそばに控える秘書の役割を持つ。その為、外見もさることながら極めて優れた頭脳を有しなければならない。

 職掌には主人の衣服の手入れや修繕を任される。

 一種のステータスシンボルで無理に雇う必要もなく、執事が指名される場合が多い。実際に給金が高くなるので、出来の良い執事に給金をいくばくか乗っける方が安く付く。


『従僕』フットマン

 専用の華麗なお仕着せ(華麗であるがちょっと古臭い)を着た彼らは執事をサポートする下位職だ。しかしその仕事は多岐にわたり、給仕、手紙や訪問カードの配達、主人の外出時の先ぶれやボディガード、ランプや燭台、銀製品の手入れと大忙しである。

 ちなみに銀製品の食器の手入れは家令以下、執事従僕の特権作業でもある。


『御者』コーチマン。

 屋敷の馬の世話をし、馬車を操る使用人。

 とだけ書けば上級職に見られないが、実は男性使用人の中でも高い地位にある。大体において家紋を刻印した馬車は上手な操縦技術を要求され、無様な接触事故など起こせない。

 その為、常に馬車に習熟しており、主人が使う馬車は丁寧に維持して置かねばならない。また飼料の注文や管理もになっている。派手さは無いが、彼らも屋敷の顔でもあるのだ。


『馬丁』グルーム。

 御者の下位職で厩舎全体を管理する。

 馬の世話だけが仕事ではなく、馬具の手入れも日常の作業だ。馬の世話で臭いからという理由ではないが、彼らは厩舎で寝泊まりするのが一般的である。

 郊外に設けれたカントリーハウスでも家畜を扱う部門はやはり厩舎に自室を用意されてる。

 しかし何故か御者は屋敷内にて他の使用人らと生活していたりする。


『園丁』ガーデナー。

 屋敷の花壇や花の装飾を担当する男性使用人で、とにかく園芸能力の高さを求められている。

まったく地味で人気のない部門だが、花をふんだんに使った装飾を用いた茶会や園遊会では一流ささを競うエキスパートとして名声を上げることが出来、将来引き抜かれるなり、独立する場合に非常に有効なのだ。



メイドを主体にした作品に対する文句


『花右京メイド隊』

 メイド萌えだけを全面に押し出した稀に見る駄作。

 メイド隊のリーダーをメイド長と名付けたのを始め、各部門の職務を把握しない点や、あと付けに終始した構成力のなさが光る褒める場所のない紙の束。

 そもそもメイド長なる職はなく、無理に当てはめるのなら、各部門のリーダーがそれに当たる。また上で書いていないが、使用人には序列があり、休憩(食事)時の席順も決まっている。

なお、各部門ではリーダーにあたる人物は『ファースト』と呼ばれる。


『仮面のメイドガイ』

 勢いのあるギャグマンガとしてはそれなりに楽しめる。が、やはりメイドというものを理解していない点では火付け紙あたりが妥当。

 数々の伏線を散りばめて(時折)効果的に使うのは素晴らしいのだが、それ以外では伏線ばかり散らして、回収せずに終了したのは最低最悪だった。せめて敵を奥州忍軍までにしておいたなら、こうも評価は下がらなかった。

 しかし先の作品もそうだがメイドらの役職が不明瞭で、彼女らは何のメイドなのか知りたかったと思う。つまらる所、この作者二名は『メイド』と言う単語ありきで、なんのイデオロギーを持っていなかったのだ。

 余談になるが、この両作品はアニメにもなったが監督も演出も脚本も、皆この点を軽視し単に色と音のついた理想理念なき番組を垂れ流したに過ぎない。


『エマ』

 緻密な描写…いやこだりわり抜いた作画は孤高の極みにある。また内容も瑞々しい主人公とヒロインが出来る事をできる限り走り抜けた点も評価したい。

 だが、恋に没頭する主人公は己の義務を忘れ、為さぬばならぬありとあらゆる面倒事を放り出した卑怯な無責任男である。それほど恋に生きるとしたなら、いっそ全てを投げ捨て新大陸(アメリカ合衆国)へ逃げれば良かったのだ。

 しかし彼は目の前のヒロインだけに執着し、周囲のすべてを無茶苦茶にして自分にとって都合の良い(逆に言えば周囲のすべてを踏み躙ったエゴイスト)答を取った卑劣漢である。


 このは作者が女性だからだろうか? しかし女性ならヒロインにこれより降り掛かる難儀は十分に想像できるだろう。

 身元もひくく、育ちにも色々あり、たいした教養もない下層市民が上流階級の坊っちゃんにせがまれて伴侶となる。言っては悪いがこの手の3文オペラでさえ物議を醸す話が果たしてハッピーエンドにするだろうか? いや違う、使用人の反発や社会的な信用が壊れるのが必定だ。

 当時の言葉に『我々は二つの階層に分かれている。上流階級と下層階級だ』

 それより以前に人権は平等だと宣言はなされている。だが実際には労働者と搾取する上流階級という線引きがなされているのだった。

 話を少し戻す。ヒロインは自分が上流階級にふさわしい知識教養を持っていないことを知っている。そんな自分が果たして上の世界の住人としてやっていけるのか? 友人もいなく後援者もいない。そして周囲には自分に敬意を払えてくれる使用人はいないのだ。

 あたりまえである。他者をうらやむことが出来るのはその地位にふさわしい何かがあるからだ。それが自分には欠けている。いや自分だけでない、夫(主人公)のそばに立っても、まだ芸人の方がマシなのだ。なんら教養にかけている(正確には彼女は使用人の中では最高レベルで教養がある)自分では夫の足を引っ張るだけでしかない。

 教養だけでない、上流階級の世界とは美しさや賢さは二次的なものなのである。重要なのはそれまでに作った人脈なのだ。ヒロインにはそれが絶望的にない。そして彼女を支えてくれる同僚が誰もいないのだ。一応ドイツ系マダムが一人いるのが、彼女もまたマイノリティで役には立たない。

 より正確に言えばヒロインはそのドイツ系マダムの足すら引っ張るのだ。ヒロインは聡明な人物だからその程度は計算できる。それらが分かっていながら上流階級(ジェントリ。貴族の下に位置する社会的成功

者)の世界に踏み込む、これは何事だろうか?


 私は最後の最後に混乱した。なるほど今は21世紀で時代が違う。とうぜん価値観はかわる。

 ならハッピーエンドでも良いのだ。


 だが当作品は19世紀に生きている人々の物語なのだ、だから余計に疑問が解消されない、なぜ作者は無理のある終劇を選んだのだろう……?


 

ある貴族家の使用人らの一日。

 使用人らの朝は早い。払暁の時刻には起きだして各部の清掃を行なう。黒目の多い日本人にはわからないが碧眼の者は虹彩が薄い者は淡い光でもあれば物が見えるのだ(個人差もあります)。

 そして台所女中(屋敷の規模によっては雑役女中)はオーブンの清掃に入る。多様なブラシを使い、オーブン内の鉛管から煤をかき出し、やはり鉛管に黒鉛を塗っていく。これは皆さんの想像以上に難物で、窮屈な姿勢で根気よくやっていく重労働なのです。

朝の清掃は使用人全員が行います。大邸宅の場合には使用人らがめいめいの部所を丹念に掃き清めます。ただし、執務室と執事らの事務室はメイドは入れません。

 逆に洗濯室には執事が掃除に入る事もないのです。

 馬丁らは厩舎の、園丁らは庭の掃除です。こうして各々の領分を責任もって清めるのです。


 主人らが起床したら従者や侍女らは彼らの世話に動きます。洗顔をし、服を改めて朝食の準備をします。

 主人らが食堂に入ると給仕服に着替えた執事らが食事の世話をします。給仕専用の使用人は少ないです。理由として給仕専用の使用人を抱え込むには無駄が多く、余程の大金持ちでないと維持が困難になるからです。ですので給仕は料理人や執事が兼任するのが普通です。


 使用人らの朝食はせわしいです。またグループごとで摂ります。メニューはパンにゆで卵がメインです。小家族でケチな職場ではゆで卵だけ与える場合もあった程です。


 朝食が終われば日常の業務が本格的にスタートします。各々の掌握している持ち場にて、ある者は待機し、ある者は調度品を磨き、ある者は書類とにらめっこします。昼間のこの時間はドタバタせず、静かに進行していきます。まあ本来、使用人らは静かですがね。

 昼食は基本的にありません。ですが午後に男性使用人なら執事らの会、女性使用人なら家政婦の会がありサロンの様な軽食の時間があります。もっとも、これらの会は上級職のサロンで下位使用人らは参加できません。

 午後も一段落して、夕食の準備が始まります。晩餐会なら使用人らは総出で準備に追われます。傷がないか埃がないか隅々まで目を光らせて清掃します。

 また特に厨房では分単位で料理の献立を処理して行きます。お客様に粗相が無いように厨房は戦場の体を成すのです。

 使用人らの夕食もグループごとで摂ります。割りをくうのは料理人らですね。彼らは一番最後に食事を摂ります。

 

 こうして使用人らの一日が終わります。しかしシャンデリアの清掃がある場合には日をまたぐ場合があります。モノによっては数百のパーツのあるシャンデリアですから磨くのも相当に時間がかかるのです。

 使用人らの睡眠時間は平均五時間といった所でしょうか、一番睡眠時間のないのは厩舎をあずかる者達です。飼っている馬や牛のお産時には徹夜で事に当たる必要があります。

 逆に雑役女中はする事があまりなく夜は比較早いです。


 ……とまあ、使用人らの一日はこうして消費されます。現代人からみればデスマーチ並に忙しい一日ですね。それではこれで幕を引きたいと思います。


 ヴィクトリア朝最後の時間にひとりの弁護士がいました。名をアーサー・J・マンビー。彼は珍しく労働者階級の弁護を行う人権派弁護士です。

 しかし、この男、隠れメイドスキーでハンナ・カルウィックと言うメイドに交際を申し出たのです。後に結婚までするのですが、周囲には秘密にしていたのです。社会的信用を恐れた小者と言える男です。

 また彼の趣味にハンナをモデルに様々なお仕しせ着(ユニホーム)せを与え、コスプレ写真を撮って喜んでいました。利己的で周囲をおもんぱかって結婚を秘密にして、その後離婚。エマの主人公ウィリアムも真っ青な男でした。


 その他、身分違いの恋愛も幾例かあり公爵の次男が駆け落ちするなど、様々な恋愛が存在しました。がこれらの話は割愛します。

 

 拙い文ですがメイドのあれこれを書き起こせたと思います。ここまで読んで下さりありがとう御座いました。


追記、とあるメイドの紹介本にはメイドさん方の写真が多く掲載されていました。しかしながら皆さんの想像するヴィクトリア時代メイドの写真は少なく、大抵の写真は白い作業服を着たおばさんばかりで、ぶっちゃけ残念に思いました。

参考文献

 『図解メイド』  池上良太氏 新紀元社 

 『エマ』     森薫氏   Beamcomix

『小説エマ』   原作森薫氏・著久美沙織氏 ファミ通文庫

 『図説英国メイドの日常』  村上リコ氏 河出書房新社


 『花右京メイド隊』  もりしげ氏 少年チャンピオンコミックス

 『仮面のメイドガイ』 赤衣丸歩郎氏 ドラゴンコミックエイジ


その他一部ウィキペディア並びに見聞きした情報



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― 新着の感想 ―
[気になる点] おっしゃることはわかるのですが、日本の「女官」(尚侍、典侍、御中臈などや飯炊女、洗濯女など)にも触れてほしかった。 [一言] 日本人にとって「メイド」というと、ちゃんと職制を区分されて…
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