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ODEN大地に立つ

やったねODEN、相棒だよ!!

「う……」


ようやく目を醒ました男は辺りを見回す。


「ここはどこだ……?」


男は記憶を遡ってみる。


(確か俺は事故にあって、ドクター・ネロと名乗る変な爺さんに拾われた。それから治療を受けて……たと思ったら何やら改造されて……)


徐々に男の頭がクリアになっていく。


(それで確か新しい名前をつけられて……その名前は……)


ODEN。それが彼の新しい名前である。


「なんでオデンなんだよちくしょおおおおおお!!」


オデンは絶叫した。自らの不遇を呪って。


だが彼は知らない。その身体には神と呼ばれた存在の因子が入っていること。


そして彼は知らない。ドクター・ネロが英語に弱いことを。


(それにしてもアネレカってどこなんだ……世界のどこかには、そんな国があってもおかしくはないんだろうが……)


そして彼は知らない。地球上にアネレカという国はないことを。


(それにしても見渡す限り木しかないな。自然の多い国なんだろうか)


彼は気付いていない。既にここは地球上のどこでもないことを。


「とりあえずまあ……歩くしかないか」


人のいるところに出れば、ここがどこかは分かるだろう。彼はそう考えて歩きだした。


--一時間後。


「おーい、誰かいないかー!!」


真っ直ぐ歩いて来たつもりだが、誰とも会うことなく時間だけが経過していた。


幸いにも、この程度では疲れも感じない身体となっていた彼だが、ずっと一人で歩き続けている内に、気が滅入ってきた様子だった。


しかし彼もただ歩いているだけではなかった。改造された身体の情報を確認しようと、色々試しながら歩いていた。


(うーん、確かにずっと歩いてても疲れないし、逆立ちしながら10分以上進んでもバランスも崩れない。ただ今までこんな感覚なかったから、いざ動くとなると感覚がついていけるかが心配だな……)


果たして逆立ちしながら歩いて、実際に人に会ったらどうするつもりだったのだろうか。


そして彼は左腕に装着された装置を見て思い出す。


「そういえばこれで何か呼び出せるんだっけ……」


最強の改造人間に最強の乗り物、彼の産みの親はそう言っていた。


「押してみるか……」


--ポチッ。


そして産みの親はこうも言っていた。


『変形可能』とも。


今誕生せんとしているのは彼の相棒。その相棒は名は『Sleipmer』なんと読めば良いのかすらよく分からない名前となってしまっている。


『作動承認。初回起動のため、形態構築フェーズに入ります。マスターの因子を確認……続いて名称を確認……』


彼の脳内に直接響く声。その声は女性のものであったと、後に彼は語る。


『名称、ODENを確認。構築に入ります』


「いや……名前は関係なくね……?」


今彼の胸中にはとてつもない不安が渦巻いていた。そしてその不安は的中することとなる。


装置が淡く光り、彼の前方を照らし出すように広がっていく。


--そして今、その形を成した。その姿は……


『構築完了。初期ベースとして本形態を維持。マスターの因子レベル、及び意思力に応じて形態は変化可能です』


--屋台そのものだった。


『以降、私のことはメル、とお呼びくださいマスター』


しかもどうやら自我もあるらしい。しかも呼び名を先に指定する辺りなかなか狡猾である。


「あ、ああ……よろしく……」


そしてオデンは旅の供を得ることとなった。屋台の。



大丈夫なのこの話……?

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