表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

プロローグ:親父の日常

前作がまだ完結していないので、とりあえず序章のみ公開。


面白くなればいいなぁ。しないとなぁ。

 --とある町の一角にて。


「なあ、最近妙に魔物が多いとおもわねえか?」

「全くだ。まあ俺達にとっちゃ稼ぎ時だけどよ。こうも毎日依頼が舞い込んで来るのも珍しいな。っと親父、もう一杯」


 二人の男が酒を飲みながら愚痴をこぼす。


「ほー、最近そんなに多いんかね」

「なんだ親父、この辺に住んでるんじゃねえのか?」


 親父、と呼ばれた男が質問を質問で返される。


「ああいや、この町に住んじゃいるが、来たのは最近なもんでね」

「そうか、まあギルドの依頼でも魔物の討伐はワリがいいからな。なんだかんだで冒険者が依頼を受けて数は減らしちゃいるが、下手すりゃ追いついてないんじゃないか」


 決してこの町は小さくはない。ギルドの規模も大中小でランク分けすれば中から大の規模だ。


 にもかかわらず、依頼の消化が追いついていないというのは、それだけ今の状況が異常ということなのだろう。


「稼ぎ時ってからにはアンタ等も冒険者なんだろう?」

「ああそうさ、依頼が増えたおかげでこうやって酒も飲んでられるってわけだが、流石に毎日毎日魔物と戦い続けるのはな……それこそ酒でも飲まなきゃやってらんねえ」


 依頼が増えて酒が飲めて嬉しいのか、それとも嬉しくないのかどっちなんだと親父が苦笑する。


「まー酒ばっかじゃなんだし、なんかつまんだらどうだい? ほら、目の前に色々あるだろう? 指さして数言ってくれりゃ盛ってやるから」

「ん? これ食い物だったのか」


 初めて見たという風に、二人の冒険者が覗き込む。


「ああ、おでんっていうんだがな。こっちは玉子、見りゃ分かるか。これは大根、出汁が染みて美味いぞ。んで兄さんの前にあるのがじゃが芋だ。他にもあるが、とりあえず最初はこの辺がオススメかな。値段はどれも百リアだ」

「お、じゃあそれひとつずつくれ」

「俺も貰おうか」


 親父は箸で器用に玉子、大根、じゃが芋を取り、最後におたまで出汁をかける。


「あいよ、熱いから気をつけてな」

「おう、いい匂いだな」


 二人は親父の忠告を無視して大根にかぶりつく。


「あっつ!!」

「だから言っただろーが、熱いから気をつけろって」


 親父はまた苦笑する。


「でもこれうめえな。親父、これなんて料理なんだ?」

「ん? あー、これおでんって名前だよ。誰が名前つけたのかは知らんけどな」


 二人が舌鼓を打ちながらおでんを食べていた時だった。


 --カンカンカンッ!!


 町中に鐘の音が鳴り響く。魔物が町の近くに確認された合図だ。


「おやまたか。最近多いなー」

「やっぱり最近は何かおかしいな。おい、ちょっとギルドに行ってみようぜ」

「ったく、ゆっくりしてる暇もありゃしねえ」


 誰に強制されたわけでもないだろうに、二人の冒険者は席を立つ。こういう人材がいてこそ、町の平和も守られているんだろう。


「ごちそうさん。またこの辺で店出すのか?」

「んー、しばらくは多分この辺をうろうろしてるだろうな。良かったらまた来てくれ。あ、今日の代金は一人五百リアでいい」

「本当か?」


 食べて飲んで五百リアは安い。男が驚くのも無理はない。


「なに、今から行くんだろう? 町の平和を守ってもらってるお礼だとでも思ってくれ」

「そうか、ならちょっくら頑張って来るか。親父、今度は違うのも食わせてもらうぜ」

「あいよ、ご贔屓に」


 二人合わせて千リア--リアラ紙幣を親父に手渡し、冒険者は走っていく。


「酒も入ってんだから無理すんなよー」

「おう! 親父もとっとと帰ってろよ!!」


 走っていく冒険者を見送り、親父は店じまいとばかりに火を落とす。


「あーゆー冒険者がいるから平和は成り立つ、ねえ。世の中何が正しいのか分からんね」


 片付けをしつつ、親父は独りごちる。


「さってそろそろ行くか。相棒」


 親父は屋台に声をかける。心なしか屋台が光ったようにも見えた。


 --そしてその翌日。


「おう! 今日もやってんな親父!!」

「お、早速来てくれたのか。昨日は大丈夫だったかね」


 二人の冒険者が今日もやってきた。


「いやそれがよ、かなりの大群だったようなんだが、俺達が町の近くで戦ってる間に、誰かが大群を蹴散らしちまったみたいなんだよ」

「ほー、そりゃ凄いな」


 酒を注ぎながら、親父は冒険者から話を聞く。


「にしてもおかしいんだよな。なんか変な格好した奴が、これまた変な乗り物に乗ってたって言う奴もいるし。俺も何があったかサッパリだ」

「……変って言わんでも」

「あん? どうした親父?」


 ポツリとこぼした言葉に反応され、親父は少し戸惑う。


「ああいやなんでもない。それより今日は何を食うかね。時間があったからスジ肉も仕込んどいたし、はんぺんも染みてるだろうから美味いぞ。値段はどれも百リアだ。だけど今日は負けないからそのつもりでな」

「お、じゃあその二つ貰おうか。なに、ただでさえ安いし、何よりうめえ。金の心配なんざいらんぞ」

「ほー、随分景気がいいじゃないか。毎度あり!」


 --こうして冒険者達を相手に、屋台の親父の一日は過ぎていく。

活動はまだまだ続けていきますので、他作品含めてよろしくおなしゃす!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ