ぐらます
「はぁ……」
こんな生活は俺の望んでたものじゃない、何が悲しくて朝から晩まで書類と睨めっこしたり、野郎とかと顔を突き合わせないといけないんだよ。一緒に仕事するなら可憐な女性と共にとか、護衛とかキャッキャウフフなのがいいなぁ。
「マスター、以上が本日の予定ですが――聞いてませんね?」
――スパッーコーン
ってぇ、この暴力秘書め。聞いてるよ聞きたく無かっただけで突っ込みの速度と確認を同時にするのは止めて欲しい。これでモデル並みの容姿と手腕が無ければ例え腐れ縁と言えど首にできるのに……
「10秒ちょいの息抜きだし、話を聞いてるかどうかぐらい判ってて後頭部にハリセン叩き込むのは勘弁しろ。正午から王城で会議、其の後引き続き女王陛下主催の茶会、戻ってきたらギルド会議に向けた打ち合わせだろ」
「いえ、人の話を下らない妄想の片隅で処理しているのが思った以上に腹立たしいのでつい」
「いいじゃないか、書類を処理しながら妄想しつつもちゃんと予定の確認もしてるんだからさ」
「どうせ、仕事をするなら、可憐な女性と共にとか、護衛とかキャッキャウフフなのがとか、そんなことを考えていたのでしょう、代わり探しましょうか?」
「グハッ、いやいやティーナ以外に俺の秘書が務まるわけがないじゃないか」
「はぁ、構いませんけど、せめてそれならいい加減にそのティーナっていうのを止めてもらいたいのですが、何度も言ってますが私の名前はクリスティアナであってどう縮めてもクリス、100歩譲ってもティアナです、ティーナってなんで伸ばすんですか!」
え、怒るとこそこ?