選ばない人
俺がいるのは白い部屋。
うん、これがかの有名なあの部屋だろうか。
ってことは……いやいや寝てただけだよな?
記憶の限りではダンプカーなんぞには衝突された覚えもした覚えもない、となるとこれは召喚なのだろうかと推測したいが、召喚陣に吸い込まれた記憶もない。普通にベッドに寝てただけ、その間に死んだのか?
……いやポックリと死ぬとは思わなかったし、まあ苦しくないのは良かったのかも知れないけれど、せめて予兆ぐらいは欲しかったと思う、だってパソコンのお気に入りの整理なりなんだと色々とまあ死んだら意味の無いことだけれどもちょっと思い残す事だってあると思います、はい。詳しくは聞くな判るだろう?
まあホント死んじゃっているとしたら、後は野となれ山となれと思うわけだが……
いや寝てるだけで夢という可能性も無きにしもあらず、なにせ土下座神様等が登場しない、そして目の前にあるのは画面っぽい何か……
まあ取り合えず見てみようか。なになに、これでステータスとか弄ったりなんだとするのだろうなとは大方の予想はつくももの画面の説明文からして間違っていないようだ。ふむ夢だとすれば良くできているし、仮に死亡してても納得できる内容だな、一々死亡者に神様登場とか人間一人の死に神様が謝るとかそんなのありえないだろうからね、うん。
――こちらの端末をご使用になる皆さまへ――
操作方法は単純明快、現世でのポイントを使用して新たな人生に云々……
昨今急増する転生案件に数多くの不満が寄せられた事……
――終わりましたら左手のドアより新たな人生をお楽しみください――
要約すると転生に関する事柄についても処理速度を速めるために神様謹製の処理装置を作った事で天使や下級神の負担を減らして天界の不平不満を取り除いたのだとかそう言う事らしい。なんだよ不平不満って……人間臭い話だなあ……まあ古今東西の神話の神様なんて人間の想像だと言える程に人間臭いんだけどね。まあ役所だなんだかんだもすべてが効率を求める世の中だからこうした処理も効率化を図るのは当然なんだろう。俺が天使だったとしても態々転生に立ち会うよりは天国でのんびりと女神とキャッキャウフフしている方を選ぶもんな。
とまあ、無駄な思考は放っておいてだ、ちょっと真面目に考えてみよう……
こうして転生するということは何かしらの危険に巻き込まれるのではなかろうか?
平々凡々とした人生を歩みたいのならば多少のチートを貰おうといえど割に合うと言えないと思う。
新しい人生にチートとか才能云々は確かに夢と希望に溢れているように思わせた体のいい罠か!
そもそも死ぬ前の人生でこのシステムを利用したとも思えないし、知らない人に付いて行っては、じゃない、ロハより高いものは無い? 的な感じのあれですよ。
ほら夢だからってはっちゃけてやったら取返しが付かないとか嫌なわけですよ。
一応は確認だけはしておこうかなと思うけど。まあ液晶とかそんな古臭い形じゃないな、机と椅子、そして空中に投影されているような画面っぽいもの。取り合えず触るだけ触ってみた。
――アーカイブよりデータ取得中――
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