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異能は異世界でも異能でした。

 人間なんてあっと言う間に死ぬんだな。

 別にトラックに轢かれるでもなし、誰かを助けるでもなし、非業の最期を遂げたわけでもない。

 夜中に喉が渇いたと立ち上がった瞬間に体に力が入らなくなった。

 ただそれだけだ。

 脳卒中か何かだったのか今となってはわからない。


 力の入らなくなっていく感覚。

 激しい動悸が体を襲う。

 自分の体が倒れていく記憶。

 頭蓋骨を締め付けるような痛み。

 這いずり回りなんとか連絡をとした所で俺の視界は暗くなった。

 それが俺の前世での最後の記憶だった。


 ああ、もう判ってくれただろうか、俺は転生する事ができた。

 だが白い部屋も何もない転生だ……


 まあ時折ニュースにもなったように前世の記憶をもって生まれるなんて事は珍しいが皆無じゃあない。

 だがな、ニュースにならない場合もある訳だ。


 どんなシュチュエーションか判って貰えるだろうか。


 今俺は人妻のおっぱいを吸っている。

 いや正確には俺の母である人物のな……

 だがまあ見てくれ、母親のおっぱいはおっぱいで問題じゃない、問題はその奥に控える女性の耳を。


 な?


 頭の上についててピクッって動いてるんだが、アレは本物だ。

 ああ、そういう事だ、つまり地球とは違う世界でしかありえないってことだな。


 こういっては誤解を生みかねないが、まあ所詮はその程度だ。俺の前世の秘密に比べれば大したことじゃないと言ってもいい。


 俺は異能者だったからだ。

 初めて物を動かしたのは5歳の頃。風邪を患った俺は朦朧とするままに水を飲みたくなった。


 ――アレが


 手を伸ばしても届かないが、苦しかった俺は必死に飲みたいと願った。

 その結果――引き摺る様にその水差しが動き、机から床に落ちてしまったのが一番最初の記憶だ。


 最初は怖かった。

 それからネットで色々と調べてトレーニングもした。

 そんな秘密に比べれば異世界へ転生するのがどうしたっていうんだ。


 魔法でもなんでもあるんだろ?


 そうだったら異能の一つや二つ、使えて当たり前って可能性もあるじゃないか。

 幼児の、いや乳飲み子の俺はそう思っていた。



 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



 なんだかんだと乳飲み子の時代を無事に過ごした俺は様々な事を学習していった。

 まずお約束の魔法だ。


 魔法を使えるのは種族が決まっていた。まあこれは本当なのかどうなのか判らないけどそういわれていたんだ、使えるのはアルーヴ(エルフ・光輝族)という種族とデュアルブ(ドワーフ・闇鬼族)デュオルク(ドルイド・石晶族)、それと魔物や魔族と言われるものだけだ。


 魔法は無理だけど魔術はヒュルマン(短命族)セリアン(獣人族)も使えるのだとか。

 だが魔術を使うのは大変だった。

 一つに体に彫る刺青か道具が必要なんだ。


 ファンタジーが普通の世界だが法則みたいな物はある。


 因みに異能だけど、使えるのは確認したんだが、これは未だに封印中だ。

 便利だからって使って変な顔されたら困るからな。

 とまあ、こうして幼少期に色々と社会を知る事もできた俺だった訳だが。


 大きな問題があった。


 王位継承権を生まれ持っていたようだな俺、そう俺は、王族に生まれてしまっていた。


 まあそのなんだ、乳母さんや侍女も多いし、屋敷の庭の外がでっかい柵もあってさらに城壁もあった。

 最初はどっかの貴族の屋敷だろうぐらいに思ってた俺の実家は後宮の離れであって、実家はその目前にあるお城だった訳だ。


 これで巨大な国ならば最強転生だったんだがな。


 列強に囲まれた弱小国家だったんだ。


 小国であり属国というダブルコンボを喰らっていた悲しさだな。

 俺は齢6歳にして留学と言う名の人質として隣国の帝国へと送られる事になった。

 まあ、俺一人の命で大勢の命の保障もできるって訳だ。


 うむ、ハハハ笑おう。


 さらば美人で巨乳の母上よ。

 敏感肌の乳母よ。

 フワフワ獣耳なお姉さんよ。

 俺はいつか帰ってくるぞ。


 まあ人質って言っても名目は留学だ、それも超長期のだがな。

 だから一応は付き人も付いて来る。

 一応は長子な訳だが、どうやら第一王妃ではなかったからか?

 その辺りは未確認なんだがな。

 本当に必要最低限の人員で赴く事になった。

 一応護衛として100名の兵が送り届けてくれるので道中はいいんだが。


 侍女、執事が一人ずつ、それに護衛官1名。あの少なくないっすか……

 一応長子なんですけど?


 だがこれは帝国側の決まりだった為にどうしようもなかったらしい。

 ならば仕方があるまい……



 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



 そしてそんな侘しい一行の行き着いた先はそれなりのお屋敷だったんだけど、警備ハンパネー!

 なにあれか、軟禁か?

 そう思ったらこれが普通だった。

 他にも隣国の王子や王女がいるのだが、お隣とかも同じ守備範囲だそうだ。

 まあ、近所に似た境遇の奴が集まってる時点でお察しだけどな。



 と言うわけで帝国幼年学校に入った俺は壮絶な争いを経てそこの頭になった。

 え、なにやってるんだって?

 幼少から家来にしておけばいいって戦国魔王も言ってただろう。


 それは冗談だけど出身で馬鹿にされるのは気に食わなかっただけだ。

 そして俺が高等部へと進むまで平穏に暮らしていたと思う。

 お約束のダンジョン攻略とかしながらだ。


 祖国が魔族に攻められるまではな……


 俺は帝国の部下である皇太子に頼み帰国することになった。



 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



 俺は生まれ故郷に戻ってきた。

 どうしても同行するといった仲間と共にな。


 城は焼け落ちる寸前だった。


 ああ、俺はぶちぎれたよ。


 あそこには巨乳で美人な俺の母親と乳母や獣耳がいるんだぞ?

 あと序に父親もな。


 伊達に10年ダンジョン攻略しまくってた訳じゃない。


 俺は異能も全開で突っ込んだ。


 ああ、ぶちのめしたさ。

 魔族国家の英雄さまだかなんだか知らないが異能全開だぜ?

 楽勝だったね。

 ワンパン余裕だよ。



 そして今俺はそのまま魔王とやらの居城におじゃましている。

 ん、判らないか?

 勿論魔王ぶちのめしてケジメ取るんだよ。


 俺の思い出の地を汚したケジメをな。



 だってのに……

 くそったれが、三日前に魔王が死去して新魔王は娘だぁ。

 え?

 俺がぶっ飛ばしたのが魔王だっただと……



 馬鹿野郎、女は殴らない主義なんだが困ったな。

 俺に挑んできたんだ。

 三日連続の戦闘は俺が一方的に防御する戦いで結末を迎えた。


 お腹が双方減ったからな。

 メシ食べないと戦どころじゃないだろう。

 そうやって一緒に飯食えばもうそいつはダチだ。



 で、端的に言うとだ、俺はこの魔王の娘と結婚する事になった。

 まあ、よくわからんが拳で語り合って知り合った仲だ。

 それに責任を取れって言われたんだよな。

 確かにコイツの親をぶっ飛ばして、そのせいで魔王になったんだもんな。


 仕方が無いから了承したってことになるが、まあサキュバスでエロカワだったからいいだろう。

 んでもって帝国の義弟にも連絡をいれた。

 ああ、同時についてきた聖女は第一皇女でな……

 知らなかったが学生時代から惚れていたそうだ。

 いやもうそんな事言われたら同時挙式だろ。


 と、まあこうなりゃやるっきゃねえよ。

 仕方が無いだろう、面倒だから統一だよ統一。

 なんで戦争なんてあるかって?

 国が沢山あるからだよ。

 一緒の国なら喧嘩のしようがねーだろうがよ。


 あとは自治だ、喧嘩したら俺らが〆るシステムだ。


 もんくがあるなら掛かって来い!

 俺は特異体質のようだ、異能で念動力やらなんだと使えるが、魔法も使えたからな。

 まあお陰で100年経った今でも現役だぜ?


 いや、なんか魔法が使える=長寿なんだとか。

 まあその辺りの仕組みはいま解明中だ。

 なんだ、異世界でも異能は異能だったって事だな。

 だがなこれだけは言える異世界のおっぱいもおっぱいだった。

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