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始業式

 「あー、心臓がどきどきするなー」

俺は思わず声に出して呟いてしまった。

何故ならば、今日は新学期の日であり、待ち望んでいたクラス替えの日だったからである。


昨日から今日のクラス発表を待ち望んでいたため、部活にも身が入らず、部長には怒られて林間コースの周回を追加されてしまった。

家に帰る前には近くの神社に寄って思わず神頼みもしてしまった(100円もお賽銭を入れた)


何故俺がそんなにクラス替えを待ち望んでいたかというと、単純な理由で、好きな子と同じクラスになりたかったからだ。


いつもより10分早く学校に行き、クラス発表がされている正門そばの掲示板に行く時には緊張で気持ちが悪くなりそうだった。

改めて神様に祈りながら、掲示板を見た。

1組から順番に名前を見て、俺の名前は4組にあった。

彼女の名前を探し、同じ4組を見たとき、思わず心臓がはねた。


 「やった、植木の名前が4組にある」

小さくつぶやいた時に横から声をかけられた。

 

 「よかったな、マッチャン。植木と同じクラスじゃないか」

同じ部活のライバルであり、親友であるイトちゃんがからかうような口調で話しかけてきた。


 「うるさいな、別に関係ねーよ」

 「よく言うよ、マッチャンが植木を好きなのはバレバレだって。素直にそう言えばいいのに」

 「本当に関係ないって。それよりイトちゃんは何組?」

 「俺も4組だったよ。今年1年宜しくな」

 「本当かよ!こちらこそ宜しく!」


俺の神頼みが効いたようで、最高のクラス替えになったようだ。


俺の名前は前田雄二。常盤中学に通う2年生だ。

常盤中学は都心近郊のベットタウンにある中学で、全校生徒が約1000名と、少子化の今ではそこそこに大きな公立中学校だ。

俺はそこの陸上部所属で、専門は中距離をやっている。一応次期部長候補であり、今年は県大会位ならば十分に狙えると思っている。

イトちゃんこと伊藤は長距離が専門で、1500m以上を走るときはいつもいい勝負になるので、お互いに負けたくないと思っている関係だ。

ただ、基本的には気のいい奴で、普段は馬鹿話をしたりしていつもつるんでいる。

だから、俺が植木を好きな事もイトちゃんには知られていた。


 「お、あれ植木じゃねーか。おはよう、植木!」

イトちゃんが声をかけたので正門の方を見たら、確かに植木が入ってきたところだった。


 「おはよう伊藤君、前田君。クラス替えはもう見た?」

 「見たよ、俺もイトちゃんも植木も4組だったよ」

 「そうなんだ。1年間宜しくね!」

そう言って植木が笑った時、どきどきして思わず視線をそらしてしまった。

我ながらチキンだと思うが、思春期少年はこんなもんだろ?


 「そろそろ始業式が始まるから体育館に行くか」

 「そうね、一緒に行きましょう」

そう植木が答えたとき、強い風が吹いて正門近くの桜から花びらが舞い降りてきた。

なんとなくうれしい気分になりながら、始業式に出るため、体育館に向かっていった。

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