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Story1

 オレの名はリレイト=アドラー。

 歳は12歳。背の順だと前から……言いたくない!

 そしてこの人はリザルト=アドラー。通称リザ。

 オレより2つ上の14歳。

 え、兄弟かって?

 違うんだなぁ、コレが。


 オレ達は何を隠そうイ・ト・コなのだ!つまり親同士が兄弟だってコト。

 でもオレ達の親の場合、姉妹らしい。

 じゃあ何で苗字が同じかって?

 まぁまぁ、焦らないで聞いてよ!

 このままだとオレ達苗字違うんだけど、オレ達のお父さんがどっちも逃げちゃったらしくて。

 オレ達は母親の旧姓になったんだ。ま、コレはオレ達が生まれて間もない時の話だけど、さ。

 そしてお母さんはというと…事故だか何かで逝ってしまわれたらしい。よ。

 しかもじっちゃんもばっちゃんも既に他界済み。

 引き取ってくれる人、皆無。


 それも小さい時の話。2人じゃ生活できないし…

 小さい時は2人まとめて『シンセキノオジサン』が世話してくれてたっぽいんだ。

 何はともあれオレ達は今は2人で生活しているわけで、

 生活費はと言えば……


「こんにちは――」

「はい、こんにちは。今日は早いのね、リザルトさん」

 小さいが綺麗な店に入ると、50代くらいのおばさんがリザルトを迎えた。

「ああ。今日はゴセさんがいないから大変だろうと思って」

 そう言いながらリザルトは店の奥に入って行く。おばさんは店の端っこに積んであったダンボールを持ってリザルトの方に歩いて来た。

「そ、そうっありが、と……と、とととりあえずこれを向こう…にっ運ッ、痛っっ!」

「マ…マーサさん、無理しなくていいから」

 リザルトは駆け寄るとマーサの抱えていたダンボールを受け取り、軽々と運ぶ。

「悪いねぇ……」

 イタタ、と唸りながらマーサは感謝の念を表す。リザルトは微笑んだ。

「いや…マーサさん達にはすごくお世話になってるし…」


 マーサ=ロットとゴセ=ロットの二人は、近くで百貨店を営んでいる夫婦だ。子供がいない為か、俺達の事を本当の子供のように可愛がってくれている。

 俺が14なのに働けるのも、この二人のお陰だ。

「――ただいま」

「おかえりー!」

 リザルトが家に帰ると、出迎えたのはいつも通りハイテンションなリレイトだった。

 ゲームのCDをくわえて走って来る。

 何でもかんでも口にくわえるのは、彼のクセだろう。

「見て見てー超難しいRPGゲーム、全クリしたっ!!」

「食うな。」

 冷たい言葉で即答するリザルト。売れんだから、と言葉を付け足す。

 裕福でもないこの生活で、クリアしたゲームは人気のあるうちに売り払う――というのはリザルトにとって当たり前の行動だった。

「つーかまだ学校の時間じゃねえか」

 思い出したようにリレイトに疑問を投げ掛ける。リレイトは平然として、

「ん〜〜〜〜ジシュソウタイ?」

 と答える。

「サボるな。」

「む――っ、そーゆーリザだってホントなら学生じゃん、中2じゃんっ」

 リザルトは学校を病欠という事で休み、マーサとゴセの元で働いている。

 本当ならいけない事だが、仕方のない事だった。

「俺が働かなかったら誰が働くんだよ」

 リレイトに背を向け顔だけこちらを見ながら、そう呟く。だからオレだって働くよ! と、リレイトは叫んだ。

「駄目だ。」

「何で……」

 それでも食い下がるリレイトに、リザルトは一言、

「小学校くらい卒業しろ。」

 と言った。

 リレイトは返す言葉を探す。しかしその前にリザルトはいらない後付けをした。

「だってお前馬鹿だし」

「……どうせ……。そりゃリザみたいに天才的だったら文句ないだろサっ」

 リザルトは言葉を返さない。ただ横目でリレイトを見詰める。

 彼が頭がいいのは確かだった。こんなに学校を休み、塾にも行かず勉強もせずとも、たまに学校に行きテストを受けると全て常識問題のように解いてしまう。

「俺寝るから。おやすみチビ。お前も寝ないと大きくなんねえぞ」

「早っ!!チビじゃないってばぁ!」

 まだ時間も早いというのに、リザルトは寝室のドアを閉める。そんな彼とは違い、リレイトは少し夜更かしをする人だ。

「ちぇ――――お煎餅買ってきたのに…」




 深夜。

 リレイトさえも寝静まった頃。

 リザルトは一人、布団の中目を開いていた。



 何か、ひっかかる……――昔から…

 俺の母親は、本当に死んだのか?

 “違和感”

 何か違う……何かが……

 何故何も思い出せない?



 何かが………………


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