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最弱の魔王候補  作者: 木魚
第一章 最弱の行く道
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最弱の烙印

説明会っぽくなってしまいした。それを踏まえてお読みください。

何処までも続いていそうな、果てしなく長い廊下。全体的に薄暗く、やけに静かすぎるのも不気味さをより一層際立たせる。魔王の部屋へ通じる道を、ダウトの話を聞き流しながら歩くこと十分ほど。その扉はようやく姿を現した。


「でっけえ……」


 アレンが思わずそんな言葉を漏らすほどに、扉は威圧感を放っていた。しかし、その威圧感をも簡単に凌駕するほどの存在感も確認できた。

 ――――魔王。

 この先に居る。一瞬でそう断定できるほどに、その存在は圧倒的過ぎた。


「さて、重ね重ね言うが、くれぐれも無礼の無いようにな。文字通り塵にされても、責任は取れん」

「ああ、分かってるよ」


 アレンがそう言った時だった。突如、何かが擦れあうような轟音が響いた。あまりの五月蠅さに思わず耳をふさぐ。それと一緒に細めた目で扉を確認してみれば、ちょっとずつだが開こうとしていた。音の正体は扉の開閉音。 そう確認したところで、音はようやく止んだ。少し耳がキーンとするが、頭を振って無理矢理意識を扉の方へ向ける。


「って、あれ? あんたは……」


 扉を内側からこじ開けたのはセバスだった。


「愚弟子から紹介されてるとは思いますが、改めて名乗っておきましょう。私、アレン様の世話係を仰せ仕った、セバス・チャンと申します」


 斜め四十五度の完璧な角度のお辞儀をし、セバスはアレンを中へ入るよう促した。しかし、アレンからすればそれどころじゃなかった。横のダウトを肘で小突くと小声で問いただした。


「おい、世話係ってなんだ?何も聞いてねえぞ」

「……お前なあ。逆に聞くぞ。ここへ来る途中の話聞いてなかったのか?」

「いや、その、別に聞かなくてもいいかな~なんて思って……」


 気まずそうに話すアレンを見て、ダウトは天を仰いだ。その後、盛大な溜息を吐くと早口でしゃべり始めた。


「いいか、もう一度だけ話すからよく聞け。まずあの爺さんはお前の世話係兼、師匠だ。そしてお前がこれからすることは魔王様へのあいさつ、そしてランクを聞くこと。それだけだ」


 そこまで聞いたところで、アレンが待ったを入れた。


「あのじいさんの事と、魔王へのあいさつは分かった。……だが一つだけ。ランクって何だよ?」

「……そこからか。となると魔王継承のシステムから話す必要があるな。……面倒な」


 頭が痛い、と言うように頭を抱えると、さらに早口で喋りはじめた。


「まず、とある魔法を使い無数にいる魔王候補から、上位百人を選出するんだ。そして何年か後、その選出された魔王候補たちが闘い、勝者を魔王と定める。これが魔王継承までの簡単な流れだが、ここまで言えばわかるんじゃないか?」

「……百人の候補者たちに、順位を付けるってことか?」

「正解だ。そのランクに応じて対応も変わってくる。例えば、上位の者には魔界屈指の実力者が指導に就き、さらに充実した環境が与えられるが、下位の者にはそう言った特典は何もない。言い方を変えれば、ふるいにかけるようなものだ。将来有望なものを重点的に育て、より強くする。これが、魔王継承の伝統だ」


 これで話しは終わりだ、とばかりにダウトは肩を押した。それに一瞬戸惑い、後ろを向いたが意を決したように歩き出した。この先の結果で、自分の未来は変わってくるだろう。そう自覚しながら、アレンはついに魔王の部屋へ一歩をふみれた。


「……っ!!」


 瞬間、アレンを一つの感情が埋め尽くした。膝が震え、歯が噛みあわなくなる。冷や汗まで出てきて、つい後退りしそうになる。

 ――――怖い。

 それだけしか考えられない。思考が停止しそうになる。だが、そんなことは許されない。人間界で別れた彼女の為にも、前へ進まなければならない。アレンは歯を噛みしめ、再び歩みを始めた。

 やっとの思いで、魔王の前へたどり着いた。鋭すぎる眼光、鍛え上げられた肉体、そしてすべてを威圧させる圧倒的オーラ。たっぷりの沈黙の後、魔王はようやく口を開いた。


「お前が……最後の候補者か。名を名乗れ」


 地の底から響くような低い声。そして、どこか怒りを帯びているようにも感じる。ひょっとすると、待たされたことにイラついているのかもしれない。

 下手すればホントに殺される。直感でそう感じとり、体がいつでも動けるよう警戒態勢になる。


「俺は、アレン……アレン・アヴィスだ。……あんたは」

「散々待たせやがって、俺の名を教えろだあ?生意気な小僧だな。本来なら殺してやるところだが……『奴』の頼みだ。まあいい、俺はアレクサンダー。百七代魔王、二つ名は《雷帝》。……さて、挨拶も終わったことだ。教えるとしようか、ランクを」


 アレクサンダーは軽く腕を振った。すると、彼の目の前に透明なパネルが現れた。眼を滑らせ、何かを確認すると再び腕を振るった。パネルが消え、再び静寂が戻るとアレクサンダーは突然笑い始めた。


「ハハハハ!!血は争えないってのはこういうことを言うのか。こいつァ傑作だ!!」


 さらに一頻り笑うと、アレクサンダーは上機嫌で言った。


「ようこそ。『最弱』の魔王候補よ」


 アレクサンダーが確認したパネルに映っていたのは魔王候補者全員の名前とランク。そして、アレンの名の横へ書いてある数字は――


「お前のランクは……百位だ」


 最弱の烙印、第百位。

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