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*第4章*――アンケート用紙

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


扉を開けたとたん、そこは上空だった。


嗚呼、さっきのもこもこは雲だったんだな。


うすれていく頭でボヤボヤと考える。


それにしてもすごいスピードだ。


もはや「落下」じゃないか?


いや・・「落下」なのか。


頭が痛い。


「っっっっ!」


地上につく5mくらい前に、


速度がブレーキがかかたように急に弱まった。


すごい衝撃・・・手荒だな・・天界って。


そうして俺はゆっくりと地面に降り立った。


「ふぅ・・。」


周りには人がたくさんいるのに、


俺の存在に誰も気がついてくれない悲しさ。


セリスが言うに、話しかけて答えてくれるのは、


親族以外らしいから、


存在に気づいてなくても答えてくれるのだろうか?


でも無駄にあと5回を使いたくない。


触れるのもあと5回。


天界との行き来は自由だけど、


1回の移動に数10分はかかるし、時間がもったいない。


なんせ制限時間はたったの48時間・・2日なのだから。


そうして俺はとりあえず、元居た病院に行った。


病院の各室からはたまにすすり泣きが聞こえる。


病院は悲しいところだな。


自分の病室に入って、


なおも横たわる俺を見て心が痛んだ。


葬式やらなにやらに行っているのか、


病室に人はいない。


「あ!いいこと思いついた!」


誰も答えてくれない独り言もかなしい。


そう思いつつも行動を始める。


まず紙を持つ。


これでふれるのは1回目、あと4回。


次にペンを持つ。


これで2回目、残り3回だ。


俺は紙になるべく母、和子の字ににせて文を書いた。


「奈々子さんへ。


いつも智樹がお世話になっていました。


そこで聞きたいことがあるのですが、


直接は聞きがたいことなので、紙に書きました。


1,智樹が死んで何を思いましたか??


【                    】


2,智樹は死ぬ前、死ぬことを予想していた、


そのようなこと、または近いことをいってましたか??


【                    】


3,智樹の死因はなんですか?


【                    】


有り難うございました。   和子」


最後の質問はちょっと卑怯だし不自然だけど・・。


まあいいだろう。


「カサ・・。」


回数を減らさないよう、机に触らないように紙を置く。


紙の存在くらいなら、きずいてくれるだろう。


すると、


「ガラガラガラ。」


なおも目を赤くはれ上がらせた奈々子が、


病室に入ってきた。


「・・・・・・?」


奈々子が紙の存在に気づく。


「この字は・・・和子さんからね。」


そう奈々子は言うと、書き始めて5分、


いきなり泣き出してしまった。


そっと用紙をみると、死因の欄が空欄だ。


「・・・・・・・ひっく・・・。」


しばらくして落ち着くと奈々子はなにやら文字を書き込んだ。


【そんなこと、思い出したくありません。】


・・・・空振りかよ・・・。


しかも泣かせちまった・・・。


「ガラガラガラ」


俺が後悔の余韻にひたっていると、


和子が病院にはいりこんできた。


俺はとっさに紙をとり、棚の影に隠れた。


「あら?奈々子ちゃん。どうして泣いているの?」


「・・・和子さん・・・ひどい。


どうしてあんなものを私に書かせるんですか?


そんな人だとは・・思いませんでした!」


「紙・・・・何かしら?紙とは・・・?」


話が変な方向に向かってきた。


「この紙ですよ!・・・あれ?ない!紙が・・・。」


「・・・?変な奈々子さん。


よっぽど智樹が死んでショックだったのね。


休んだほうがいいわ。」


そういって、和子は引き気味で病室を出て行った。


「・・・・??」


その後、奈々子は尚も戸惑っっていた。

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